エネアデス(抄)(1) の商品レビュー
図書館で借りた。 エネアデス(Enneades, エンネアデスとも)とは、紀元後3世紀に生きた哲学者プロティノスの作品を弟子がまとめ上げたもの。哲学の世界では新プラトン主義と呼ばれる分野だそうな。 上巻には、プロティノスの伝記と、『善なるもの一なるもの』『三つの原理的なものについ...
図書館で借りた。 エネアデス(Enneades, エンネアデスとも)とは、紀元後3世紀に生きた哲学者プロティノスの作品を弟子がまとめ上げたもの。哲学の世界では新プラトン主義と呼ばれる分野だそうな。 上巻には、プロティノスの伝記と、『善なるもの一なるもの』『三つの原理的なものについて』『幸福について』『悪とは何か、そしてどこから生ずるのか』『徳について』が収録されている。 元々は54の論文が6巻にそれぞれ9論文収められていたそうで、それが完全数だとか数学的に意味を持っており、タイトルのエネアデスというのも「9つで1組のもの」を意味していた。その話から、数学的な話題もあるかと期待して借りてみたが、私の期待は空振りに終わった模様。ガッツリ哲学な話で、ちょっと厳しかった印象。
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ソクラテス以前の哲学者、プラトン、アリストテレス、エピクロスと読み進め、ルクレティウスからローマにわたり、マルクス・アウレリウスでストア派に触れて、アウグスティヌスに行こうかな、と思ってたところ、千夜千冊のオリゲネスにひっかかり、なぜだかグノーシス主義とかが気になり、そこからなぜ...
ソクラテス以前の哲学者、プラトン、アリストテレス、エピクロスと読み進め、ルクレティウスからローマにわたり、マルクス・アウレリウスでストア派に触れて、アウグスティヌスに行こうかな、と思ってたところ、千夜千冊のオリゲネスにひっかかり、なぜだかグノーシス主義とかが気になり、そこからなぜかプロティノスを読むことになった。オリゲネスの本がなかなか中古でも高価であることや、プロティノスによるグノーシス批判などがグノーシスを知るうえでも面白そうで。 で、正直、エネアデスの全点はもとより、そこから選りすぐったこの本ですらも全部読むのはなかなかの苦行。 というのは、別にプロティノスやネオプラトニズムに興味があるわけではなく、大きな思想の流れを掴んでいきたい、という程度の気持ちで取り組んでるからでしょうが、、、。 しかし、良い編集がされており、各篇の冒頭には概要がまとめてあり、ネオプラトニズムによほどの興味がない限りは、これを手掛かりに手元に置いておくだけでもよい気がする。 と思いつつも、流出説とか、なんのこっちゃ、という感じだったので、やはり翻訳とはいえ一次資料は読んでおきたいもの。 全体の半分以上は読んだと思う。 要するに、プラトンが対話篇という形式を選んだために、どうしてもそこには体系が見えにくく、解釈を読者に委ねる部分がうまれている。 それが、ホワイトヘッドをして、「西洋哲学はすべてプラトンへの脚注に過ぎない」みたいなことを言わせた所以でもあるのだろう。 そして、そのプラトンに脚注をアフォードされたプロティノスがひとつの大きな体系をなしたのがエネアデスとしてまとめられ、ネオプラトニズムの始まりとなった、というところだろう。 で、プラトンのパイドロス、国家、ティマイオス(これまたなかなか読むのが困難で半分くらいで挫折しましたが、、、)あたりを中心に広くプラトンを参考にしながら、 一者→知性→魂→自然→素材 と、一者から世界は流出してきた、という世界観をつくっている。 一者のなかで知性が自身を自覚したことで知性がうまれる、というようなのは面白い。 しかし、なかなか言ってることがわかりにくい、、。 プロティノスさん、もっとシンプルに出来る気がしますよ、、、。
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最高善たる「一者」を万有の始元とみるプロティノスの教説からは、唯一神による天地創造というような、何か宗教めいたものを想像してしまう。だがプロティノスの語り口は、あくまで論証的な哲学者のそれであり、プラトンやアリストテレスなどを援用しつつ自説を展開している。 ただその一方で、自...
最高善たる「一者」を万有の始元とみるプロティノスの教説からは、唯一神による天地創造というような、何か宗教めいたものを想像してしまう。だがプロティノスの語り口は、あくまで論証的な哲学者のそれであり、プラトンやアリストテレスなどを援用しつつ自説を展開している。 ただその一方で、自己の内面の無意識を重視したり、「一者」と合一する神秘体験を語るなど、従来の哲学の潮流からはみ出すかのような記述も目を引く。 「一者」を対象的に知ることはできず、それと合一することを究極の目標としている点は特に注目に値する。プラトン・アリストテレス的な、物事を対象化して分析的に理解しようとする態度とは、明らかに異質である。むしろ仏教などに通じるところがあり、興味深い。 訳文は訳者によって多少のばらつきはあるものの、総じて読みやすく、丁寧な注解とともにこの難解な書の理解を助けてくれる。
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古代ギリシャや古代ローマの哲学書で難しいと感じた本は今までなかったが、この本は少し驚いた。文章が晦渋である。 プロティノスの「一なるもの」に関する思想自体もかなり抽象的だが、これはなんとなく、古代インドのウパニシャッド哲学に似ているような気がする。アートマンとブラフマンの合一、み...
古代ギリシャや古代ローマの哲学書で難しいと感じた本は今までなかったが、この本は少し驚いた。文章が晦渋である。 プロティノスの「一なるもの」に関する思想自体もかなり抽象的だが、これはなんとなく、古代インドのウパニシャッド哲学に似ているような気がする。アートマンとブラフマンの合一、みたいな。 しかし用いている概念等はプラトンに由来している。 興味深くはあるけれども、これはこんにちの思考において何かの役に立つだろうか?と考えると、よくわからない。 我々としてはプロティノスの新解釈、のような新思想を待たなければならない。
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