藤十郎の恋・恩讐の彼方に の商品レビュー
一見複雑な歴史背景に包まれて、案外と読みやすくて面白い作品でした。 そしてなかにも芥川と同じテーマだけど、全く違う捕え方で構えた作品で、随分前に芥川のバージョンを読んで微かな記憶まだ残れている今頃から、もう一度その情景を異なる按配で味わって、とても趣の深いことでした。 まあ一言い...
一見複雑な歴史背景に包まれて、案外と読みやすくて面白い作品でした。 そしてなかにも芥川と同じテーマだけど、全く違う捕え方で構えた作品で、随分前に芥川のバージョンを読んで微かな記憶まだ残れている今頃から、もう一度その情景を異なる按配で味わって、とても趣の深いことでした。 まあ一言いえば、菊池さんの作品は人情有り、芝居のような鮮やか有り、落ち着くところあり、そして条理正しく細かい所まで用心深いと感じます。 因みに新思潮の匂い処処漂ってますね(笑)
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●恩讐の彼方に●(12/24) ひたすら善根を積むことに腐心したが、身に重なれる罪は、空よりも高く、積む善根は土地よりも低きを思うと、彼は今更に、半生の悪行の深きを悲しんだ。 彼は、心の底から憎悪を感じ得るような悪僧を欲していた。 ●俊寛● 人間はいかなる場合でも、自分を怨まな...
●恩讐の彼方に●(12/24) ひたすら善根を積むことに腐心したが、身に重なれる罪は、空よりも高く、積む善根は土地よりも低きを思うと、彼は今更に、半生の悪行の深きを悲しんだ。 彼は、心の底から憎悪を感じ得るような悪僧を欲していた。 ●俊寛● 人間はいかなる場合でも、自分を怨まないで、他人を怨む。 灯もない小屋の中に蹲っている俊寛に、身を裂くような寂しさが襲ってくる。が、昼間の激しい労働が産む疲労は、すぐ彼をそうした寂しさから救ってくれ、そして彼に安らかな眠りを与えてくれる。
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これ超面白かったわ! 前編通して、人間の汚い部分を持った主人公が出てくるけど それぞれがきちんとその汚い部分に対して悩んでいて 性善説に近いところがあると思った。 世の中、自分の汚いところを自覚していたってなんとも思わない人だっていっぱいいるだろうに そうではない人間ばかりを描...
これ超面白かったわ! 前編通して、人間の汚い部分を持った主人公が出てくるけど それぞれがきちんとその汚い部分に対して悩んでいて 性善説に近いところがあると思った。 世の中、自分の汚いところを自覚していたってなんとも思わない人だっていっぱいいるだろうに そうではない人間ばかりを描いたところが あ〜菊池寛いい人!って思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テーマはコレです!と言い切ってしまえる作品が多いので、文学的に多少薄っぺらいきらいもありますが、面白いことは面白いです。 芥川と形が似てますが、もっと温かい雰囲気の作品が多いです。私が好きなのは『恩讐の彼方に』かな。
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背景を主に江戸時代に設定した短編集である。読みやすい。 各作品、主人公の苦悩やそれをどう乗り越え、またはどう解決したかしっかり描かれており、すっきり読める作品である。
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