藤十郎の恋・恩讐の彼方に の商品レビュー
「青の洞門」のお話で…
「青の洞門」のお話です。よく聞く話ですが、市九郎が人間らしさを失いまたそれを見出し、最後はみんなに笑われながらも槌を振るい目標を達成する姿に感動します。
文庫OFF
歴史物の短編10篇おさめる。昭和45年の第一刷であり、作品自体の古さはあるが、どの作品をとっても、読んだことはなくても何処か懐かしく、登場人物の苦悩を中心とする心象描写に、一定の安定さを感じた。 そこに安定さを見出したことは、ともすればこれらの作品により、自分自身が今まで見た作...
歴史物の短編10篇おさめる。昭和45年の第一刷であり、作品自体の古さはあるが、どの作品をとっても、読んだことはなくても何処か懐かしく、登場人物の苦悩を中心とする心象描写に、一定の安定さを感じた。 そこに安定さを見出したことは、ともすればこれらの作品により、自分自身が今まで見た作品のある雛型として成り立っているのかもしれない。 個人的には「忠直卿行状記」「形」がお気に入り。「形」は最も短編なるも、何処か人の真実味に迫るエッセンスが凝縮されているように思えた。
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菊池寛氏の歴史物10編を収める。吉川英治小説の解説によれば、これらの作品によって、菊池氏が封建思想の打破に努めていたことがハッキリするとある。そんな思想は抜きにして、読みやすいし、面白かった。『恩讐の彼方に』、何十年ぶりだろう。
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「ある恋の話」読了。 ラジオで聞いて興味を持ったので読む。 普段はハッピーエンドのフィクションを好んで読むが、こういった明治だとか大正時代の恋愛小説とも言えないような微妙な小説は、何も起こらないで終わるものが一番面白く感じる。
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いつかは読みたいと思っていた「恩讐の彼方に」を目当てに購入。10篇の作品がどれもびっくりするほど読みやすく、予想外に楽しめました。 特に「蘭学事始」「入れ札」「俊寛」面白かったー。
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短篇集です。「恩讐の彼方に」が、一番好みでした。最後の描写がなんとも感動的です。最後の「俊寛」も良かったです。どちらの作品も、どのような場所であれ、自分の役目と信じたことを貫き通すことで、認められたり、幸せが来るのかなって思いました。
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「大正から昭和の初めに当って、菊池氏の作品ほど、大衆の思想的、文化的啓蒙に貢献した作品は少ないと、いってもよい」(解説より)。なるほど、短編の中に教訓めいた展開が詰め込まれているように感じられたのは、意図的なようだ。歴史を題材としながらも創作の部分がかなり大きく、現代よりもよほど...
「大正から昭和の初めに当って、菊池氏の作品ほど、大衆の思想的、文化的啓蒙に貢献した作品は少ないと、いってもよい」(解説より)。なるほど、短編の中に教訓めいた展開が詰め込まれているように感じられたのは、意図的なようだ。歴史を題材としながらも創作の部分がかなり大きく、現代よりもよほど自由度が高い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「恩讐の彼方に」 このテクストは語り手によって人物の恩讐が語られることで物語が進んでいく。主人の市九郎に対するうらみの一太刀で物語は始まり、市九郎が主人を「兇悪な動物」と見て殺害したことで物語は展開していく。 市九郎はお弓に浅ましさを感じお弓のもとから飛び出し、浄願寺で得度して了海となる。物語冒頭より市九郎の恩讐の心情が語られていたのが、段々と恩讐の心情が語られなくなり、行為の描写が増えてくるのもこの頃からである。 それでも市九郎に対し「復讐の一義を、肝深く銘じた」実之助の登場により物語は続く。しかし、物語の最後で「二人は其処に凡てを忘れて、感激の涙に咽び合うた」様に人物の恩讐が語られなくなったことでテクストは終わる。 恩讐が語られることで物語は始まり恩讐が語られなくなって物語は終わる。したがって、このテクストは恩讐の非継続性について語るテクストであり、それがこのテクストの題名が「恩讐の彼方に」である所以である。
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【リアリティーショウ】 世にある、人の惚れた腫れたをネタにするリアリティーショウというのが好きではない。どちらかというとお金を払って芸事を楽しむということには積極的なの方だと自覚しているけど、地上波でセミプロ同士がじゃれ合ってる様子を楽しむおおらかさは僕には無い。 それほどまでに...
【リアリティーショウ】 世にある、人の惚れた腫れたをネタにするリアリティーショウというのが好きではない。どちらかというとお金を払って芸事を楽しむということには積極的なの方だと自覚しているけど、地上波でセミプロ同士がじゃれ合ってる様子を楽しむおおらかさは僕には無い。 それほどまでにシナリオ通りか、そこを踏み外した本気なのかのせめぎ合いを楽しみたいのなら菊池寛の「藤十郎の恋」を読めばいい。 青空文庫にもあって無料で手に入るし、20分くらいで読み終わる。 これを読めば、芸事に人のリアルな気持ちを持ち込むことの危うさと、もしそれをやるとするならばどれだけの覚悟がいるかが分かる。決して愉快な気持ちになんかはならない。
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短編揃いながら抜群のストーリーテラーのベスト盤。文豪という名声にビビッて手を出さないのはもったいない存在。 殿様が故の心の疎外感をあぶり出した忠直卿行状記・ドリアングレイの肖像をモチーフにしたある恋の話・芸事を極めるために人情を切り捨てた藤十郎の恋、地獄の火焔は天国の退屈をも...
短編揃いながら抜群のストーリーテラーのベスト盤。文豪という名声にビビッて手を出さないのはもったいない存在。 殿様が故の心の疎外感をあぶり出した忠直卿行状記・ドリアングレイの肖像をモチーフにしたある恋の話・芸事を極めるために人情を切り捨てた藤十郎の恋、地獄の火焔は天国の退屈をも凌ぐものであることを諭させる極楽・見た目が人にとっていかに大事かを示す形・杉田玄白と前野良沢の諍いをとりあげた蘭学事始・小物の自尊心の滑稽ぶりをあぶり出した入り札・巷語られる史実よりも救いある俊寛、そして、何よりも極悪人の一生をかけての改心に感動を抑えきれない恩讐の彼方に。 どれもこれも抜群に面白いです。注釈が多いですが知ってる用語は注釈を読まないほうがスラスラ楽しめるでしょう。
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