動物と人間の世界認識 の商品レビュー
動物はそれぞれの知覚の枠組みの中で世界を認識している。ダニ、猫、蝶、ニワトリ、ハリネズミ、イタチ ー それぞれにとって意味のある要素だけで世界は構成される。種ごとに固有の「イリュージョン(世界認識)」があり、その結果として環世界が成立する。 人間も例外ではない。私たちは客観的に...
動物はそれぞれの知覚の枠組みの中で世界を認識している。ダニ、猫、蝶、ニワトリ、ハリネズミ、イタチ ー それぞれにとって意味のある要素だけで世界は構成される。種ごとに固有の「イリュージョン(世界認識)」があり、その結果として環世界が成立する。 人間も例外ではない。私たちは客観的に世界を見ていると思いがちだが、実際には紫外線は見えず、超音波も聞こえない。知覚は限定されている。しかし人間は科学によって概念を積み上げ、認識の枠組みを拡張してきた。紫外線や超音波を直接知覚できなくても、概念として理解し、計測し、利用することができる。 人間は概念を構築すると、それによって世界を理解したかのように感じる。しかし歴史を振り返れば、その確信が何度も覆されてきた。天動説から地動説への転換のように、かつて真理だと思われたものが誤りであった例は少なくない。 だが、この点こそ科学の強さでもある。概念は誤り得る。しかし誤りが明らかになれば、それを修正し、より精度の高い理解へと更新していく。この自己修正のプロセスを内包している点で、科学は単なる「イリュージョン」とは異なる。 著者は最後に、私たちは新しいイリュージョンを探しているのだと述べる。確かに人間の認識は完全に客観にはなり得ないだろう。しかし私は、科学は幻想を更新しているのではなく、暫定的であれ真理に近づこうとする営みだと考える。誤りを前提としながらも、それを乗り越えようとする姿勢こそが、科学の本質なのではないか。
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ユクスキュルの『生物から見た世界』、岸田秀の『唯幻論』を引き合いに出しながら、「環世界」「イリュージョン」という著者独自の言葉で多元的な世界の捉え方について述べる。 モンシロチョウの主体の状況で変化する「環世界」のくだりは興味深かった。 後半はリチャード・ドーキンスの『利己的な遺...
ユクスキュルの『生物から見た世界』、岸田秀の『唯幻論』を引き合いに出しながら、「環世界」「イリュージョン」という著者独自の言葉で多元的な世界の捉え方について述べる。 モンシロチョウの主体の状況で変化する「環世界」のくだりは興味深かった。 後半はリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』を多く取り上げながら、生物の、植物の、人間の環世界や目的について考察する。 反復される言葉やエピソードが多かったので少しだけ飽きを感じてしまった。
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ハードル超えてこなかった。最近読んだオスとメスの本と認知の世界の本をかいつまんで薄めたような内容だった。
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面白かった。動物行動学者が、率直に素朴実在論を疑い、唯心論・唯幻論・表象主義の側に立つ点が。illusionはデカルトが懐疑するものだろう。
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ユクスキュルの環世界の話を中心に、動物や虫それぞれの世界の見え方、人間の世界の見え方の違いを書いた一冊。 詳しく知ろうとすると難しい部分があるものの、ざっくりとどういうことなのか学ぶ分にはかなりわかりやすくためになる本でした。 今でいう「世界に対する解像度」があがる話だと思い...
ユクスキュルの環世界の話を中心に、動物や虫それぞれの世界の見え方、人間の世界の見え方の違いを書いた一冊。 詳しく知ろうとすると難しい部分があるものの、ざっくりとどういうことなのか学ぶ分にはかなりわかりやすくためになる本でした。 今でいう「世界に対する解像度」があがる話だと思います。
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同じ内容をダラダラと繰り返しており、くどい。論旨をまとめるとせいぜい3ページくらいで収まることを、ひたすらに薄めてページ稼ぎをしていると感じた。
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ドイツのユクスキュルが提唱した「環世界」と「唯幻論」を展開した岸田秀氏を踏まえて筆者はイリュージョンという言葉を使っている。非常に面白かった。昆虫も動物も人間も知覚の枠の中でしか生きられないという事だ。輪廻や死の発見まで言及しており、納得がいくものだった。 「新しいイリュージョン...
ドイツのユクスキュルが提唱した「環世界」と「唯幻論」を展開した岸田秀氏を踏まえて筆者はイリュージョンという言葉を使っている。非常に面白かった。昆虫も動物も人間も知覚の枠の中でしか生きられないという事だ。輪廻や死の発見まで言及しており、納得がいくものだった。 「新しいイリュージョンを得ることを楽しんでいる」(p195)と書かれているように、私自身も実践していきたいものだ。
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人間以外の動物たちが、どのように自分の周りの世界を知覚し認識しているのかを興味深く知ることができる前半と、人間がいかに倫理的な(つもりの)枠のなかで世界を捉えているかを、生物学から哲学へと枠をまたぎつつ気づかせてくれる後半で構成された一冊です。平易で読みやすい文体でした。 動...
人間以外の動物たちが、どのように自分の周りの世界を知覚し認識しているのかを興味深く知ることができる前半と、人間がいかに倫理的な(つもりの)枠のなかで世界を捉えているかを、生物学から哲学へと枠をまたぎつつ気づかせてくれる後半で構成された一冊です。平易で読みやすい文体でした。 動物行動学者である著者が、「環世界」「イリュージョン」をキーワードに人間・動物がいかに世界を構築するかを説きます。 同じ環境にいても知覚能力に差があれば、まったく違う世界になる。紫外線を見ることができるモンシロチョウは、人間とは違う風景を見ていることでしょう。視覚は微弱でも嗅覚がするどい動物は、嗅覚をメインに世界を構築するでしょう。でも、嗅覚で世界を構築するって何だろう?人間には想像すらできません。そんな興味の途切れない不思議さを味わえます。生き物はすべて、それぞれが知覚できる範囲でしか世界を切り取れないし、本能や行動様式に沿った形で都合よくものごとを選びとって世界を認識しているのだなという気づきもありました。 そして後半部を読みながら「人間は他の動物より優れている」という無意識に付け上がったようなところが自分の中にあったことに気が付きました。「あらゆる生物のなかで人間こそが唯一 "客観的に" 世界を捉えている」「人間が真理に一番近いところにいる」となんとなく思っていたかも、と… 本書の最後に著者は「学者や研究者はいったい何をしているのだと問われたら、答えはひとつしかない」と語り、著者が導き出した答えがなんともユーモラスで思わず息がもれました。とても味わいのある読後感はこのオチのおかげかもしれません。おすすめです。
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以前から「自分が感じている世界と他の人が感じている世界は本当に同じなのか」という疑問を持っていましたが、それに対してのひとつの解答を得られたような気がしました。 文章も読み易く、読書が苦手な私でもサクサクと読み進めることができました。 丁度、写真家クレイグ・バロウズさんのUVIV...
以前から「自分が感じている世界と他の人が感じている世界は本当に同じなのか」という疑問を持っていましたが、それに対してのひとつの解答を得られたような気がしました。 文章も読み易く、読書が苦手な私でもサクサクと読み進めることができました。 丁度、写真家クレイグ・バロウズさんのUVIVFという技法を使った花の写真をネットで拝見したところだったので、モンシロチョウの世界はこんな感じなのかしら?と、思いを馳せつつワクワクしながら拝読させて頂きました。
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日高敏隆『動物と人間の世界認識 イリュージョンなしには世界は見えない』を読んでた。かなり平易な文章ですごくサクサク読めた。動物や人間の認知の仕組み的な本なのかなと思ってたら、ミーム概念からさらにその先の哲学的領域まで走り抜けた。 著者は日本における動物行動学の草分け的存在という...
日高敏隆『動物と人間の世界認識 イリュージョンなしには世界は見えない』を読んでた。かなり平易な文章ですごくサクサク読めた。動物や人間の認知の仕組み的な本なのかなと思ってたら、ミーム概念からさらにその先の哲学的領域まで走り抜けた。 著者は日本における動物行動学の草分け的存在ということで、わりと現在よく聞くように認知のことを考えてるように見えた。というか2003年の本だ。イリュージョン、なかなか面白い考え方だ。 実際にさらに最近の認知科学とか脳科学とか、そのあたりの学問では世界を認識するしくみについてどのように考えられているのだろう。また、ユクスキュルの「環世界(環境世界)」のあたりも深掘りすると楽しそう。
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