夏光 の商品レビュー
「わしな、もうすぐ死ぬ奴が分かるんじゃ」 瀬戸内の小さな町に疎開してきた少年・哲彦は、スナメリの祟りと噂される黒い痣を顔半分に持った同級生・喬史と出会う。 喬史には、死期の近い者に群がる海蛍の青い光が見えた。「もうすぐ死ぬ人間を見ると、海蛍に喰われているように見える」。 そ...
「わしな、もうすぐ死ぬ奴が分かるんじゃ」 瀬戸内の小さな町に疎開してきた少年・哲彦は、スナメリの祟りと噂される黒い痣を顔半分に持った同級生・喬史と出会う。 喬史には、死期の近い者に群がる海蛍の青い光が見えた。「もうすぐ死ぬ人間を見ると、海蛍に喰われているように見える」。 それでも、喬史は哲彦に話す。「わしがなんぼ醜くても、わしの見るもんまで醜いたぁ限らんじゃろう」。 戦時下の少年たちのひと夏を切り取った主題作『夏光』では、しかし、最後に、一気に読者の心を揺さぶる展開が待っている。 『夏光』だけでなく、他の5篇の小説についても、ストーリーの構成、展開の仕方、人物や情景の描写、主題への着眼点、そのいずれをとっても抜群に優れている。 こんなに上手な文章を書ける人がいるのかと、心底、脱帽した。 【収録作】 ・夏光 ・夜鷹の朝 ・百焔 ・は ・Out of This World ・風、檸檬、冬の終わり
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- ネタバレ
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乙一に通じる何かがある。 「は」はぐろかったけれど、それ以外は不思議な感じ。 ゴシックホラーとでもいうのか。 キライではない。 地元ネタが多々でてきたのは、面白く読めたなー。 やっぱ舞台って大事だ。
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各編のタイトルとは別に 「め・くち・みみ」「は・みみ・はな」と二部構成を取った短編集。 偶然手に取った「メグル」に衝撃を受け 既刊本を次々読んで最後に手に取ったのが今作。 いやはやこれがデビュー作とは信じがたい完成度の高さ。 今後に期待大の五つ星。 【図書館・初読・10/1...
各編のタイトルとは別に 「め・くち・みみ」「は・みみ・はな」と二部構成を取った短編集。 偶然手に取った「メグル」に衝撃を受け 既刊本を次々読んで最後に手に取ったのが今作。 いやはやこれがデビュー作とは信じがたい完成度の高さ。 今後に期待大の五つ星。 【図書館・初読・10/18読了】
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短編集。100焔とは が面白かった。世にも奇妙な話。100焔は因果応報の話かと思ったら感動話でした。むしろこういう捻りのない話のが少ないから、むしろ新鮮。ぶすな姉の気持ちはよくわかる。器量よしの兄弟って人間性に関わらず、嫌なもんですよねー。は・・・は怖いwカニバリズム!
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タイトル作品の『夏光(なつひかり)』は、2006年の「オール讀物新人賞」受賞作品。著者の初めての作品集で、読み切りのホラーというべきかミステリというべきか迷うような6作品を収録。どの作品も人とは思えないむらのない出来だが、決して読んでいて気持ちの良いものばかりではない。この著者の...
タイトル作品の『夏光(なつひかり)』は、2006年の「オール讀物新人賞」受賞作品。著者の初めての作品集で、読み切りのホラーというべきかミステリというべきか迷うような6作品を収録。どの作品も人とは思えないむらのない出来だが、決して読んでいて気持ちの良いものばかりではない。この著者の持ち味なのだろうが、ことさらに人に生理的な不快感を感じさせるようなテーマが取り上げられている。しつこい描写力に感心しながらも、読んでいるうちにやるせなさで気持ちがふさぐのもやむを得ない。しかし、最後の作品『風、檸檬、冬の終わり』は、そういったものを越えてなかなかの名作。陰惨な話の向こうにいくばくかの明るさが見える話だ。『Out of This World』も、田舎の少年の目に映る不思議さに満ちて、良い作品。
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一応、ホラー短編集らしいけれど、別に怖くは無かった。ところどころ、残酷だったり、グロテスクだったりするからかな? 6編それぞれが違うテイストで飽きさせないし、淡々と描かれているのに核心をついていて、グッとくる。 文章も描写が巧くて、情景がパッと頭に浮かぶし、何より言葉の選び方とか...
一応、ホラー短編集らしいけれど、別に怖くは無かった。ところどころ、残酷だったり、グロテスクだったりするからかな? 6編それぞれが違うテイストで飽きさせないし、淡々と描かれているのに核心をついていて、グッとくる。 文章も描写が巧くて、情景がパッと頭に浮かぶし、何より言葉の選び方とか、言い回しのセンスとかが好み。 「メグル」から読み始めたけど、良い人みつけちゃったなぁ~。
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夏光(なつひかり) 以下の6つの短編で構成されています ・夏光 ・夜鷹 ・百焔 ・は ・Out Of This World ・風、檸檬、冬の終わり 本のタイトルにもなっている「夏光」という話はかなり強烈な印象として頭に残ります 疎開した先で仲良くなった哲彦と喬史...
夏光(なつひかり) 以下の6つの短編で構成されています ・夏光 ・夜鷹 ・百焔 ・は ・Out Of This World ・風、檸檬、冬の終わり 本のタイトルにもなっている「夏光」という話はかなり強烈な印象として頭に残ります 疎開した先で仲良くなった哲彦と喬史。 哲彦は喬史が大好きだったが、村の人々は喬史の事を「呪われた子」として激しく嫌っていた。 喬史はとても冷静で、大人びた綺麗な顔立ちをしていたが、顔の左半分目を覆うようにして真っ黒い痣があった。その気味の悪い痣は「呪い」の証であるという。 でも哲彦はそんな呪いは信じていなかったし、それよりも気になる事が他にあったのだ それは喬史の痣に埋もれた左目の奥に時折見える青い何かが・・・ 著者の乾ルカさんはこの作品で オール読物新人賞 を受賞したそうです そりゃするでしょう、これだけの作品ですから! 他の5編、一つとしてつまらないモノがない! 読み始めたら止まらない不思議ワールドです 現実にありそうでなさそうな、微妙な距離感が夢中にさせてくれます 印象的な表紙なので、結構目に付きやすいと思います 立ち読みでとりあえず2,3ページ読んでみてください 超オススメです!
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少年の顔半分をおおう、真っ黒な痣。 村人たちは、それをスアメリの祟りだと噂するが、 痣に埋もれた左目には、不思議なものが見える力があった。 ↑ 表題作をはじめ6篇の作品からなるこの本は、 それぞれ、目、口、耳、歯。。。など、顔のパーツが関係していて、 ホラーっぽい部分もあるけれ...
少年の顔半分をおおう、真っ黒な痣。 村人たちは、それをスアメリの祟りだと噂するが、 痣に埋もれた左目には、不思議なものが見える力があった。 ↑ 表題作をはじめ6篇の作品からなるこの本は、 それぞれ、目、口、耳、歯。。。など、顔のパーツが関係していて、 ホラーっぽい部分もあるけれど、不思議な余韻が残ります。 「夏光」のラストには、 はっ!?とする想像もしなかった驚きの結末が。。。! ぜひ、この衝撃を味わっていただきたいと思います。 他にも、 何もかもに優れた妹に嫉妬する姉が、 妹に呪いをかけた後に、妹の心のうちを知り愕然とする話や、 友人の家で手作りの料理を食べたのだが、 その中身は、実は。。。。!! などなど、ぞっとしたり、ジーンとしたり、 いろいろ楽しめる、素晴らしい本だと思います。おすすめ!
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直球で来ましたね。すごい方だ。この世界観、是非とも今後の作品チェックは必須でしょう。特にラストの一篇は、自分の周り全てが特別の空気で包まれてしまう・・・。
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収められている、6つの作品全てが、 完成度高く内容が練られている。 文章を巧みに操る魔術師のようである。 決して読みやすくはないのだが、 読めば読むほど、感動が反復されるのだ。 人間の焦燥、驕り、悲しみ、喜び、そして狂気が入り混じり、 ホラーと一言でまとめてしまうのはもったいない...
収められている、6つの作品全てが、 完成度高く内容が練られている。 文章を巧みに操る魔術師のようである。 決して読みやすくはないのだが、 読めば読むほど、感動が反復されるのだ。 人間の焦燥、驕り、悲しみ、喜び、そして狂気が入り混じり、 ホラーと一言でまとめてしまうのはもったいない。
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