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ルポ 最底辺 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2018/03/04

あいりん地区や釜ヶ崎という地名を聞いても、遠くに住む人にはあまりピンと来ず馴染みがない。そうした場所がどんな様子かは、ニュースや本を通じて想像するものの、実態はどうなのだろうか。 本著はホームレスの実態を取り上げたルポだが、著者自らホームレス体験をした上で、ホームレスに好意的な...

あいりん地区や釜ヶ崎という地名を聞いても、遠くに住む人にはあまりピンと来ず馴染みがない。そうした場所がどんな様子かは、ニュースや本を通じて想像するものの、実態はどうなのだろうか。 本著はホームレスの実態を取り上げたルポだが、著者自らホームレス体験をした上で、ホームレスに好意的な立場から書かれている。これらの人に対し、自己責任論を押し付けるのは間違っていて、これは椅子取りゲームの結果としての構造的問題だろうと。 しかし、個人の感想として、やはり自己責任論は拭えない。ホームレスの状態を、誰にでも起こりうる仕方ないものと100パーセント言い切るのはおかしな論理で、それが正しいならば、窃盗なども、構造的に仕方ない事象となるだろうし、ホームレス虐待も仕方ないとなる。自ら選択し歩んだ結果がホームレスならば、やはり個人に責任はある。勿論そこに不運な事情もあるだろうから、再起のためのセーフティネットは仕方ないが。 ただ、ホームレスに肯定的な価値観、視点を感じてみるには良い一冊である。そうでもしないと、中々、彼らを肯定的に見るのは難しいものだから。

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2015/11/09

この本を読むまでは、路上生活者は気楽な自由人で、 一日寝て、のんびりとした生活を送っていると 思っていたが、思い違いをしていたかもしれない。 野宿をしている人が何気ない人から、理由もないのに 暴力を振るわれて、生命を失い、また、不貞になることもあり、また、不貞になると、野宿から抜...

この本を読むまでは、路上生活者は気楽な自由人で、 一日寝て、のんびりとした生活を送っていると 思っていたが、思い違いをしていたかもしれない。 野宿をしている人が何気ない人から、理由もないのに 暴力を振るわれて、生命を失い、また、不貞になることもあり、また、不貞になると、野宿から抜け出すことが難しくなる。また、生活保護も役所から、なかなか、受けることができず、最終的に路上で、命を失うこともあることが分かった。しかし、でも、新宿の動く歩道で、浮浪者がたむろして、においがすごくて、地下道を歩く人も少なくなり、スラム化しつつあったので、天幕の撤去は、今では、正しかったと思っている。それら、野宿の人は、かわいそうだが、周りの人の迷惑も考慮してほしい。そこで、4つにしました。しかし、筆者は、支援者としての傍観者ではなくて、実際に日雇いに参加してのルポで説得力があり、また、日雇い労働の過酷さがよく描かれて、実態がはじめて知りました。

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2015/08/23

大阪市西成区でホームレス問題に長年関わっている著者が記したルポタージュ。ホームレスと日雇い労働は切っても切れない関係にあるが筆者も日雇い労働者としての経験があり、現在は日雇い労働者を支援する側として働いている。 ホームレスに対して「よく言われるセリフ」にも根拠を示した論理的な説明...

大阪市西成区でホームレス問題に長年関わっている著者が記したルポタージュ。ホームレスと日雇い労働は切っても切れない関係にあるが筆者も日雇い労働者としての経験があり、現在は日雇い労働者を支援する側として働いている。 ホームレスに対して「よく言われるセリフ」にも根拠を示した論理的な説明がなされている。 「みんなが使う場所にいるのは迷惑だ」→世の中には公有地か私有地しか無い。行き場のないホームレスが公有地に野宿するのは必然。 「家に帰ればいいのでは」→家族の絆が切れているためにホームレス化、もしくはホームレスになると同時に家族の絆が切れる。 「福祉に相談に行けばいい」→福祉事務所はホームレスに対して十分な支援ができていない。 「努力が足りない。仕事をしようとしない。自己責任。」→自己の責任と社会のせいの境界は曖昧である。雇用をイス取りゲームに例えると、必ずあぶれる人が出てくることがよく分かる。 これらのよく言われるセリフは、発言者の市場、国家、家族に対する思い込みの上に成り立っているセリフだということがわかる。 他の社会学関係の書籍でも言われているように、「経済的貧困」と「関係的貧困」の2つが大きな要因となっており、人と人とのつながりが大きな財産であることもよく分かる。 これからの格差社会の先端を行っているルポであり、人事とは思えない切実さがある。

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2014/09/12

ネカフェ難民 寄せ場 ホームレスとhomeless(意味が全く異なる) 釜ヶ崎 シモーヌ・ヴェイユ ドヤ街 コンドラチェフの長期波動 釜ヶ崎暴動(1961) 結核(釜ヶ崎は世界最悪の感染地とも呼ばれた事がある) シノギ(路上強盗) みやうち沙矢『勉強しまっせ』(西成について差別的...

ネカフェ難民 寄せ場 ホームレスとhomeless(意味が全く異なる) 釜ヶ崎 シモーヌ・ヴェイユ ドヤ街 コンドラチェフの長期波動 釜ヶ崎暴動(1961) 結核(釜ヶ崎は世界最悪の感染地とも呼ばれた事がある) シノギ(路上強盗) みやうち沙矢『勉強しまっせ』(西成について差別的な説明がなされ、話し合いの場が生じた) 加藤組(かつて存在した暴力的な土建会社。同様の会社に山梨県の朝日建設がある) カイザ南津守(建設中に崩壊したマンション) アスベスト除去 アジアンフレンド(アジアからの出稼ぎ労働者のための支援組織) 90年釜ヶ崎暴動 エコノミークラス症候群(車中に住んでいる人がたまになる) 『バカの壁』(文中にホームレスについて触れている箇所がある) 行路病院(釜ヶ崎の人が運ばれる病院の通称。点数稼ぎ、身分の為に不適切な診療が行われる事がある) ホームレス襲撃(放火、刺傷、爆破など) 景観置物(ホームレスが寝るのを防ぐ為に置かれる事がある) 椅子取りゲーム カフカの階段(作家、カフカの父への手紙を引用して作られた考え方) 

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2019/04/23

釜ヶ崎地区に20年にも及んで自信をその場に置いた完璧なエスノグラフィーと、多大な参考文献で構成された非常に示唆に富んだ一冊。 私自身も誤解していたのだが、野宿者(ホームレス)というのは「これまでの努力が足りなかったんだろう」くらいにしか思っていなかったのだが、実はそうではなく、市...

釜ヶ崎地区に20年にも及んで自信をその場に置いた完璧なエスノグラフィーと、多大な参考文献で構成された非常に示唆に富んだ一冊。 私自身も誤解していたのだが、野宿者(ホームレス)というのは「これまでの努力が足りなかったんだろう」くらいにしか思っていなかったのだが、実はそうではなく、市場が“ゼロサムゲーム”であるがため、その瞬間の競争に負けたためにしかたなくそうなってしまっているとのことだ。働く意欲がないという人は非常に少なく、働きたいが働けないという人間が多いという。 これまではそれを家族が支えたり、国家が支えたりしているのだが、この市場、家族、国家の3つの輪のバランスがうまく行かないところにブラックホールのように野宿者問題というのが存在しているのだという。 なかなか自分では支援することができないのだが、なにか機会があれば支援してみたいと思う。良書。

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2014/01/13

講演会で生田さんのナマの話を伺う機会がありました。その前に本は読んでいたのですが、想像していたより声のトーンも静かな、押し付けがましくない包容力を感じさせる人だったのが印象的でした。生涯を社会問題の活動に投じる覚悟とその行動力に感銘を受けました。この本も薄い社会調査などを吹き飛ば...

講演会で生田さんのナマの話を伺う機会がありました。その前に本は読んでいたのですが、想像していたより声のトーンも静かな、押し付けがましくない包容力を感じさせる人だったのが印象的でした。生涯を社会問題の活動に投じる覚悟とその行動力に感銘を受けました。この本も薄い社会調査などを吹き飛ばす厚みがあります。

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2013/07/02

貧困や格差社会に興味があり読んだ。ホームレスの事、釜ヶ崎の事が広く浅くわかった。一気に読める分かりやすい本である。

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2013/03/31

ホームレスの現状(とはいえ2007年当時の)に関する本の中では、最もシビアな話が多いと思う。インタビューから得られた話ではなく、長く地道な活動を行ってきた著者ならではの内容。例えば貧困ビジネス、野宿者襲撃、危険な仕事などの生死に関わる問題など。釜ヶ崎の歴史から行政のホームレス支援...

ホームレスの現状(とはいえ2007年当時の)に関する本の中では、最もシビアな話が多いと思う。インタビューから得られた話ではなく、長く地道な活動を行ってきた著者ならではの内容。例えば貧困ビジネス、野宿者襲撃、危険な仕事などの生死に関わる問題など。釜ヶ崎の歴史から行政のホームレス支援の方向性まで丁寧に書かれている。支援には住居・仕事・人間関係が必要であるが、行政の支援が不十分で排除(不可視化)向かっている部分も大きいことがよく分かる。

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2012/08/16

日雇い労働者として、また支援者として、路上生活者と関わってきた著者の話は現実的。 全国釜ヶ崎化というまとめ方には説得力がある。

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2012/04/27

寄せ場の歴史を迫力をもって、伝えてくれる本。 表紙にもあるが、「20世紀は難民の世紀と言われた。だが冗談抜きで21世紀はホームレスの世紀となる可能性がある」との一節は、リアルだ。 私は横浜駅周辺で路上生活者の夜回りをしたことがある。一人ひとりに声をかけた。それはかけがえの...

寄せ場の歴史を迫力をもって、伝えてくれる本。 表紙にもあるが、「20世紀は難民の世紀と言われた。だが冗談抜きで21世紀はホームレスの世紀となる可能性がある」との一節は、リアルだ。 私は横浜駅周辺で路上生活者の夜回りをしたことがある。一人ひとりに声をかけた。それはかけがえのない経験だった。 足を運ぶ。このことの大切さが身に染みる。

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