半島を出よ(下) の商品レビュー
頼むからもっとバカにしてくれ、とシノハラは祈った。 もっと軽蔑してくれ。もっと笑え。 おれはお前らに、最高のお土産を持ってきたんだ。 もっともっとおれたちを軽蔑して油断してくれ。
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高麗遠征軍を敵と認識したイシハラらのグループは、彼らが占拠しているホテルを独自に爆破して倒壊させる計画を立てる。後続の12万人の北朝鮮兵が福岡に迫るなか、暴走族の助けを得てホテルに侵入した少年たちは、作戦を開始するーーー。 上巻は背景説明に終始したが、話が徐々に進み始め、爆破計画が始まると一気に面白くなった。少年たちはただ純粋に高麗たちを倒そうとするのであり、日本のためなどと思っていないところが、シンプルで良かった。同時に、高麗たちにも心境の変化が出てきたりと、環境によって人の考えが変わってくることを実感した。
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18年ぶりに再読。なんで今再び読もうかと思ったか、高市さんが総理大臣になってから、周辺国の有事のことで騒ぎ出した。「ママ、戦争とめてくるわ」とか、訳分からんこと言い出したりして。 タイムリーな再読になると思ったからです。 私は防衛力というのは、国が行う最大の社会保障だと思ってい...
18年ぶりに再読。なんで今再び読もうかと思ったか、高市さんが総理大臣になってから、周辺国の有事のことで騒ぎ出した。「ママ、戦争とめてくるわ」とか、訳分からんこと言い出したりして。 タイムリーな再読になると思ったからです。 私は防衛力というのは、国が行う最大の社会保障だと思っている。 現実的に考えれば、平気で領海を犯して来たり、近海にミサイルを撃ち込んでくる国が海を挟んで隣にいるという現実を受け止めなければ行けないと思う。ミサイルが発射されたことを確認してから、考えましょうでは遅いのである。 チベットを侵略し、香港の自由を踏み躙り、天安門事件では自国民の殺戮を繰り返した。何と恐ろしい国が隣にあることか。 その時、日本は戦えるか? 「半島を出よ」というこの作品はそれを問うているのでも、あると思う。そういうことを考えるのに、最適な本だと思う。 膨大な情報量を丹念に緻密に積み上げてできている物語です。圧倒されます。 そして、いつもの生々しいバイオレンスな作風は相変わらずの村上龍。 よくよく考えると、そういうリアルな生々しい表現を使うことで、より一層暴力的なものへの嫌悪感をかきたてているのではないかと、ふと思いました。 対照的に、下巻の後半部分は、とても優しさに満ちた美しい物語になっている。 それまでの、生々しい表現に満ちた文体とはまるで違うことに、ちょっとホッとした。 と同時に、村上龍という作家の厚みを感じた。
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最後の300ページくらいはメチャメチャ面白かったんだけど、こんなに長い必要があったのか。 個人的な好みなんだけど、もっと要約しても良かったと思う。盛り上がる章と退屈な章が交互にあって、なかなか読み進まなかった。 あくまで個人的な感想ですが。 けど、面白い。
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本作を読み終えて最も強く残ったのは、北朝鮮特殊部隊「高麗遠征軍」の描写に宿る圧倒的なリアリティだ。単なる軍事エンターテインメントの枠を超え、組織を成立させる民族的な背景や、その内側で揺れ動く個人の精神構造が緻密に描かれている点に大きな学びがあった。 民族性と軍事論理の融合 彼らの強靭さは、単なる兵器の性能や訓練量に由来するものではない。その根底にあるのは、飽食の日本とは対極にある「飢え」の記憶と、自分たちこそが真の朝鮮民族であるという強烈な選民意識、そして「遺恨(ハン)」に基づいた生存本能だ。 インテリ層が抱える「知性の孤独」 また、武闘派の兵士とは一線を画す、ハン・スンジンらエリート層(インテリ勢)の内面的な葛藤が物語に深い悲劇性をもたらしている。 高度な教育を受け、外部世界を客観的に認識できる知性を持っているからこそ、彼らは自国の体制が抱える歪みや、国際社会における自分たちの絶望的な立ち位置を誰よりも理解している。日本側の甘い対話路線を冷徹に見抜きながらも、決して相容れることのない断絶に直面する彼らの姿は、単なる「敵役」ではなく、出口のない孤独を抱えた一人の人間として映った。 総評 「機能不全に陥った日本のシステム」と「機能しすぎて破綻に向かう北の軍事システム」。この対比を通じて、真のリアリティとはカタログスペック上の武力ではなく、それを行使する人間の思想的背景と生存への執着にあるのだと痛感した。 国家が個人の尊厳を飲み込むとき、知性はいかにして沈黙し、あるいは抗うのか。本作が提示した問いは、刊行から年月を経た現在の国際情勢においても、いささかも色褪せることなく牙を剥いている。
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や、やっとよみおわむた、、、、1つ1つの章のカロリー高くて、なかなか時間がかかってしまったけど、でもすごくすごく面白かった、、、!章ごとに語り手も変わるし、単語も日常で入ってこないものも多いし、登場人物も遠いから紹介と睨めっこしながらだったのになんでこんなに面白いんだろう、、、不...
や、やっとよみおわむた、、、、1つ1つの章のカロリー高くて、なかなか時間がかかってしまったけど、でもすごくすごく面白かった、、、!章ごとに語り手も変わるし、単語も日常で入ってこないものも多いし、登場人物も遠いから紹介と睨めっこしながらだったのになんでこんなに面白いんだろう、、、不思議、、、。1番感じたのは、同じ考えや価値観の人なんていなくて、それぞれ生まれ育った環境も親も何もかもが違くて、それぞれの正義があって、ぶつかり合ってしまうのは仕方ないことなんどなと、、、毎回それぞれに感情移入してしまったので。結局ね、大事なのは人の考えを否定せず、自分の当たり前が当たり前と思わず、認め合いながら生きていくことなんだな、と
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下巻です。 上巻のインパクトがあまりにも強く、辛い描写が多すぎて先の展開が気になるのに手に取る勇気がなくて、大分間が空いてしまいました。 そんな感じで意を決して読み始めたのに、下巻は上巻とは大分雰囲気が変わっていました。 荒唐無稽なはずの設定を、丁寧に丁寧に積み上げたお陰でものすごいリアルな現実を突きつけられた上巻だったのに、下巻では突然スピード重視、リアリティよりエンタメ性を優先、という感じでご都合主義な展開。。ええっーって思ったけど、やっぱり面白かったです。 物語の中でヒーロー的立場のイシハラ組は、もともと生きづらさを抱えた奇人変人異常者や犯罪者達。 大切な誰かのためとか、ましてや日本のために行動を起こしたわけではなく、それがやってみたい(テロをしたい、武器を扱いたい等)という命の重さを考えられない個々の単純な動機から戦闘を決意します。 彼らが結果的に日本を救ったことも皮肉だし、祖国のために命を投げ出す北朝鮮とは真逆な原動力でありながら、北朝鮮とイシハラの考える命の軽さは同じというのも皮肉でしたね。 リアリティがなくなった!と文句を言ったけど、やっぱり救いのある結末が、今は良かったなと思っています。 ただ、リアリティのためにスポットライトを当てた市井の人々のその後の運命も書いて欲しかった、とそれは心残りです。 活字が多すぎる、というレビューが多いから賛同してくれる人は少ないと思うけど。
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なかなかしんどい読書でした。 すごい熱量。 多視点から語られるが、一言だけ。 あれだけ多視点だったら、日本在住のアジア人の視点もあってよかったのではないか。 実際にあんなことがあった場合、日本に住むアジア人は壮絶な嫌がらせを受けるだろうなぁ。 …とふと思いました。
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小説全体から自分が感じる、何とも言えない他人事の感覚に自分自身驚きました。 登場人物の誰にも感情移入せず、只々新聞の記事でも読んでいるようでした。 これが平和ボケなのだろう。
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すごかった! その一言で終わらせてもいいくらい すごかった! 語り手がどんどん変わっていく 高麗遠征軍の兵士であったり 福岡の新聞社の人であったり 病院の医師であったり イシハラをはじめとする自由軍団だったり あらゆる方向から あらゆることが事細かく語られていく ものすごい情報...
すごかった! その一言で終わらせてもいいくらい すごかった! 語り手がどんどん変わっていく 高麗遠征軍の兵士であったり 福岡の新聞社の人であったり 病院の医師であったり イシハラをはじめとする自由軍団だったり あらゆる方向から あらゆることが事細かく語られていく ものすごい情報量! 解説でも多大な協力があったともいっている どの場面でも省くことなく どの立場でも偽りなく語られていることがわかる とにかくすごい!
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