武家の女性 の商品レビュー
女性から見た、幕末水…
女性から見た、幕末水戸藩士の家庭生活誌。人々が己の領分を認識して秩序を守り生きていた時代もあったことが窺えます。現代の亡国の民には必読の書のひとつかも。
文庫OFF
戦に出て行く男を見送…
戦に出て行く男を見送り、留守中を守り、ときには政略結婚にも使われた武家の女性に迫る。
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幕末の水戸藩の武士の生活を書いたもの。 母の娘の子供の生活が垣間見えた。 「お縫子として」「きもの」「親類のおばさん」は秀逸。「受難時代」は戦争や差別の無い世の中にしていかなければと改めて感じさせられました。
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戦時下の1943年に書かれた幕末水戸藩の生活史。柳田国男の支援下で刊行されたもので、自身が住む村(今の神奈川県藤沢市)の民俗誌である『わが住む村』と対をなす。舞台が水戸藩なのは、菊栄の家系が水戸藩の下級武士だったためで、おもに母の回想に基づいて書かれている。 幕末水戸藩の文字通...
戦時下の1943年に書かれた幕末水戸藩の生活史。柳田国男の支援下で刊行されたもので、自身が住む村(今の神奈川県藤沢市)の民俗誌である『わが住む村』と対をなす。舞台が水戸藩なのは、菊栄の家系が水戸藩の下級武士だったためで、おもに母の回想に基づいて書かれている。 幕末水戸藩の文字通り血みどろの抗争や悲劇の数々と、それにもかかわらず営まれていた平穏な日常生活の双方が、ともに過不足なく記されている。この筆致に、圧倒される。 山川菊栄は、アジア太平洋戦争下でも、戦争協力に殆んど加担しなかった数少ない論客として知られる。それができたのは、本書で示されたような幅広い視野と、人びとの日常生活への温かいまなざしとを菊栄が備えていたからなのだろう。
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大河ドラマなどで幕末の人々の暮らしをかいま見ることはできますが、女性らしい優しい文体で書かれたこの本からは、脚色のない、実際の暮らしの様子が生き生きと伝わってきます。 「朝読み」なんて、今の「朝読」と同じだと思ったり。 歴史好きの人におすすめなのはもちろん、そうでない人も、興...
大河ドラマなどで幕末の人々の暮らしをかいま見ることはできますが、女性らしい優しい文体で書かれたこの本からは、脚色のない、実際の暮らしの様子が生き生きと伝わってきます。 「朝読み」なんて、今の「朝読」と同じだと思ったり。 歴史好きの人におすすめなのはもちろん、そうでない人も、興味を持つきっかけになると思います。
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家族の古写真を見つけると、自分のルーツやその時代の雰囲気を覗き見る事ができて胸がときめく。時代の生き証人として、戦争を生きた高齢の曽祖父等の言葉に触れる時も同じく。本著には、似たようなときめきを感じながら、やや惜しいのは時代の被験者や古写真の被写体ではなく、老母の思い出。勿論、そ...
家族の古写真を見つけると、自分のルーツやその時代の雰囲気を覗き見る事ができて胸がときめく。時代の生き証人として、戦争を生きた高齢の曽祖父等の言葉に触れる時も同じく。本著には、似たようなときめきを感じながら、やや惜しいのは時代の被験者や古写真の被写体ではなく、老母の思い出。勿論、それで何か古写真に写っていたはずのものが消えている、という事は無い。余す事なき、時代の語り部を果たしていると思った。 ー女の方は己を空しゅうして人に仕えるという、犠牲と服従の精神を涵養する点に重きが置かれ、女は大事にしてはいけない、粗末に育てようということになっていましたー 家の中では、ハイハイと口答えせずにお勤めし、妾をマネジメントしながら、時に、斬刑の息子、最期に望みの食をとの計らいに対し、斬刑後武士の腹に食べ物が出てきてはならぬと食べさせず。静かながらも壮烈な生き様。命が尊厳がより軽く、欲を満たす事は仕来りの後回し。時に情け、しかし体裁。生よりも名の方が大事。今とは異なる文化だが、通底するルーツをやはり覗き見できたという事で、本意を遂げられた。
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あんず文庫さんで良い本を得た。このような聞き書きからの作品は柳田國男の助言で書かれたという。柳田GJ
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2018岩波文庫フェア本。これは面白かった。武家の女性の生活を様々な視点で描いている。「男の子には玉を抱かせ。女の子には瓦を抱かせ」今の時代にそんな発言でもしたら炎上騒ぎもいいところ。だけど、山川さんのお母様が生きた時代はそれが当たり前。疑問を感じた女性もいたに違いないが、それは...
2018岩波文庫フェア本。これは面白かった。武家の女性の生活を様々な視点で描いている。「男の子には玉を抱かせ。女の子には瓦を抱かせ」今の時代にそんな発言でもしたら炎上騒ぎもいいところ。だけど、山川さんのお母様が生きた時代はそれが当たり前。疑問を感じた女性もいたに違いないが、それはそれ。時にはひどい結婚・離婚もあったり、時代柄理不尽とも思える仕打ちもあるところにはあったが、概ね、淡々と毎日を積み重ね、明るく力強く生きていた女性たちの姿がそこにはある。
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幕末、水戸藩の下級武士の娘、千世の昔話を娘の山川菊栄が著した。昔の武士の家庭が生き生きと描かれている。質素でも健気に生きる女性が描かれている。
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幕末にかかる時代の、水戸の下級武士の一家の生活を、一家の主婦である女性の視点から記したもの。その時代に少女だった、著者の母親への取材が中心になっているらしい。時代劇を見てもわからない、実際の武家の女性の生活が興味深い。当時の家庭はぼくらが考える家庭というより、小さい会社みたいなも...
幕末にかかる時代の、水戸の下級武士の一家の生活を、一家の主婦である女性の視点から記したもの。その時代に少女だった、著者の母親への取材が中心になっているらしい。時代劇を見てもわからない、実際の武家の女性の生活が興味深い。当時の家庭はぼくらが考える家庭というより、小さい会社みたいなものだと思っていたほうがいいのかもしれない。夫にも奥さんにも、家庭という会社の中で与えられた仕事があって、それをこなさないと会社の経営をしていけないのだ。10代後半の新入社員である嫁のチューターが先輩社員である姑ということなんだな。柳田國男にすすめられて書いたそうだが、淡々と丁寧な語り口が心に残る。 執筆時点(戦時中の出版)から見ても窮屈極まりない生活で、正直そういう時代が終わってよかったな、と思わずにはいられない。男もずいぶん窮屈だっただろうな。
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