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月と六ペンス(訳:行方昭夫) の商品レビュー

4.1

71件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2011/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

寝取られ展開のある小説ということで手にとったので、そこに注目して偏った感想。 そのシーンは大きな出来事ではあるけれども、寝取られる男が脇役でもあり、背景について丁寧な説明があるわけではないのが逆によかった。 ディルクは一見ごくごく楽天家で、人の嘲笑を受けるのも苦にしないようなキャラだけども、類まれな審美眼を持っているだけに、才能のない自分を道化することでしか自分を守れなかったんだと思う。 そして妻に対して、男として愛される努力をするのではなく、彼女を救ったという恩義や愚かな自分への憐憫、同情といったものだけで囲い込んできた。妻はそんな関係から心に不満を澱のように溜めていて、それをかき乱すストリクランドの存在を嫌悪し、また愛してしまったということか。 なかなかグッとくる情けなさ。よかった。

Posted byブクログ

2011/07/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どんどんと移り変わって行く物語 読後思わずゴーギャンの作品集を手にとってしまった。 ラストでストリックランドの妻ががあたかも前から夫の成功を分かっていたみたいに振る舞うところでは、ちょっと、お前。と思ってしまったけれど、それを主人公がシニカルに書いてくれたから満足とする。 主人公とストリックランドのやりとりが面白い。

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2011/04/13

ポール・ゴーギャンの人生に基づいた小説。 外国の小説は、翻訳された文章に「和訳」独特のクセがあって、読むのが苦手なのですが、この行方昭夫さんの翻訳は「日本の小説か」と思えるくらい日本語として自然で美しく感じました。 『月と六ペンス』という題名について、月は夢や理想を、六ペンス...

ポール・ゴーギャンの人生に基づいた小説。 外国の小説は、翻訳された文章に「和訳」独特のクセがあって、読むのが苦手なのですが、この行方昭夫さんの翻訳は「日本の小説か」と思えるくらい日本語として自然で美しく感じました。 『月と六ペンス』という題名について、月は夢や理想を、六ペンスは現実を表すと解説で述べられています。私はこの題名がとても好きです。六ペンスを手に持ちながら、月を見て考え込んでる情景が目に浮かぶ。どちらにしようか迷っている状況。悩ましい。

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2011/01/06

 今更ですが、再読。以前読んだときは「ふーん」で終わったものが、「今」読むとまるで違った印象としてとらえられることが、読書の醍醐味であるということをまた痛感させられた。 (同様のことを思うのは、実は宮沢賢治であるのだけど← 今と昔と印象が変わる)  絵を描くということにとり憑か...

 今更ですが、再読。以前読んだときは「ふーん」で終わったものが、「今」読むとまるで違った印象としてとらえられることが、読書の醍醐味であるということをまた痛感させられた。 (同様のことを思うのは、実は宮沢賢治であるのだけど← 今と昔と印象が変わる)  絵を描くということにとり憑かれたストリックランドの生き様に、ダンセイニの短編にえがかれたミューズたちの姿を連想するのは、きっと私だけではないと思う。人がどれほど拒もうと、自分にその力はない、と言おうと、「黄金の小枝で作った冠」を手にし、それをかぶって街の人々のもとへ行き、芸術の九美神の伝言を伝えよ、と言ってまつわりつき続ける女神たちの姿を。

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2019/01/16

画家ゴーギャンをモデルにエゴの塊のようなデモーニッシュな男を描く。特筆すべきはその筆致。 これほどシニカルでユーモラスな文体は       珍しいんじゃな い かなー。モーム、かなり興味持ちました。かなり自分の性に合ってます! 他の作品も読みたい! 

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2010/10/21

ゴーギャンをモデルにした画家の生涯を描く名作。パリの陰鬱な色彩、タヒチの強烈な色彩の中で、主人公スクリットランドと彼を取り巻く人々が鮮明に表現される。もっと前に読んでおけば良かった。特に、舞台をタヒチに移してからの展開が圧巻。

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2010/09/29

スクリットランドが財を投げ打って絵を描き困窮するところや、死の間際にしてやっと真の美に到達したところから、 美というものがとても残酷に描かれている印象を受けた。

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2010/10/18

時々、「名作」と呼ばれる昔の本を読みたくなって、図書館で借りることも多い。 好みかどうか、ということはあるけど、「つまらない」と思ったことはないかも。今回も面白かった。 40代半ばで画家を志した、チャールズ・ストリックランド。 これまでの安定した生活を投げ打ってフランスに...

時々、「名作」と呼ばれる昔の本を読みたくなって、図書館で借りることも多い。 好みかどうか、ということはあるけど、「つまらない」と思ったことはないかも。今回も面白かった。 40代半ばで画家を志した、チャールズ・ストリックランド。 これまでの安定した生活を投げ打ってフランスに渡って修業を重ね、安住の地を目指しタヒチへ移住、壮絶な最期を遂げるまでを、知人であるイギリス人作家の目を通して描かれています。 ストリックランドとゴーギャンとの類似点が多いのですが、伝記ではなくて、あくまでも、ゴーギャンをモデルとした画家の生涯を描いたフィクション。 自分の表現したい何かがあり、それを表現するためだけに生きる男の、強烈なエゴと強靭な精神。 世間の評価などまったく気にせず、自分を取り巻く人々をどれだけ傷つけても、まったく意に介さない。 この物語の面白いところは、40代半ばでの、会社員から画家への転身であるところ。 そして、その原動力となった、男の深部におさえつけられていた「美の表現」に対する欲望のすさまじさは深く心に残ります。 ストリックランドの言動はむちゃくちゃなんだけど、それに傷つけられ振り回される、「良識ある」人々が物悲しく、滑稽にも見えるあたりもまた面白い。 生前は不遇の身にあって、死後やっと認められる画家、って多い。 世間の評価なんて水物なんだなあ、と思うけど、世間というもの、社会というものと自分とを切り離して、ホンモノを見抜くということもまた難しい。

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2010/08/07

妻子も地位も捨て出奔した男は、取り付かれたように言う。「絵を描く」。 死後に世界的な画家として認められるその男、ストリックランドの軌跡を、一人の小説家が書き起こすという小説です。 ストリックランドは、本当にろくでもない男で、行く先々で他人を不幸にして回る、絵以外には何一つ執着でき...

妻子も地位も捨て出奔した男は、取り付かれたように言う。「絵を描く」。 死後に世界的な画家として認められるその男、ストリックランドの軌跡を、一人の小説家が書き起こすという小説です。 ストリックランドは、本当にろくでもない男で、行く先々で他人を不幸にして回る、絵以外には何一つ執着できないような男なんですが、不思議にも人を惹きつけ、その絵を見たいと思わせる。流浪の末、ハイチにたどり着いてから、最後の傑作を描くまで息もつかせぬ作品です。古典を読み始めたい人にもおすすめ!

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2010/08/07

芸術に取りつかれた男の物語でしょうか。モデルがゴーギャンとあって、読み終わってから思わず図書館で画集を借りました。ストリックランドの破天荒っぷり、芸術へのすさまじいまでの熱意にはなぜか読んでて元気というか、すっきりした気持ちになります。図書館で借りた本だけど、買って自分の手元に置...

芸術に取りつかれた男の物語でしょうか。モデルがゴーギャンとあって、読み終わってから思わず図書館で画集を借りました。ストリックランドの破天荒っぷり、芸術へのすさまじいまでの熱意にはなぜか読んでて元気というか、すっきりした気持ちになります。図書館で借りた本だけど、買って自分の手元に置いておきたい一冊になりました

Posted byブクログ