手紙 の商品レビュー
一片の手紙が持つ重み
重大な罪を犯し収監された兄から届く手紙に起因して、兄との断ちがたい絆や、自身や家族と周囲の人々との思うに任せない人間関係に、苦悩し煩悶しながら生きざるを得ない弟の姿が描かれていく。「差別や偏見のない世界」は「想像の世界でしかない」のかと自問しながら、また、一片の手紙が持つ重みやそ...
重大な罪を犯し収監された兄から届く手紙に起因して、兄との断ちがたい絆や、自身や家族と周囲の人々との思うに任せない人間関係に、苦悩し煩悶しながら生きざるを得ない弟の姿が描かれていく。「差別や偏見のない世界」は「想像の世界でしかない」のかと自問しながら、また、一片の手紙が持つ重みやその限界も感じつつ、物語の最終場面に至って、そんな澱んだ心が一気に晴れる感動の一冊である。
fugyogyo
おすすめ!
「強盗殺人犯の弟」……主人公の身に生涯つきまとうレッテル。人生の節目ごとに差別にさらされる主人公と、彼に手紙を送り続ける獄中の兄との絆。「加害者の家族」が抱える痛みを、正面から丁寧に描ききった話題作。
yui
主人公の直貴が、犯罪者の弟であるというレッテルを貼られて、何度も理不尽な思いをしていくのが辛かった。 私は最初は、兄が可哀想だから直貴はもっと手紙を出したり、面会に行ったりするべきだと思っていた。しかし、兄のせいでどれだけ頑張っても報われず、仕事も夢も恋人も失っていく姿には心が痛...
主人公の直貴が、犯罪者の弟であるというレッテルを貼られて、何度も理不尽な思いをしていくのが辛かった。 私は最初は、兄が可哀想だから直貴はもっと手紙を出したり、面会に行ったりするべきだと思っていた。しかし、兄のせいでどれだけ頑張っても報われず、仕事も夢も恋人も失っていく姿には心が痛んだ。それが終いには妻と子供にまで悪影響を及ぼすようになったことに、怒りを覚えた。 兄を大切に思う気持ちと、兄のせいで自分が幸せになれない憎しみが両立しているときに届く兄からの手紙に対する苛立ちは恐ろしかったと思う。 その度に、本の題名である「手紙」を見るのが私はしんどかった。 最後刑務所で歌うとき、兄の項垂れた姿を見た直貴がどんなことを思ったのか。そしてその後コンサートはどうなったのか。が、1番気がかりだ。 犯罪は悪でしかない。罪の重さに関わらず、被害を受けるのは加害者の家族だけに留まらず、仕事先、妻、子供、近所付き合いにも広がるのだ。
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過去録 家族が犯した犯罪によって、壊されていく自分の人生。 家族だからこそ許せない。でも、非常になって縁を切ることもできない。切ったとしても許してくれない世間。 自分が被害者側になった時に、どう感じるか、加害者側になった時にどう感じるか、色々と考えさせられた。。。
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自分がよかれと思ってしたことが、ただの自己満足となっていることがあるとつくづく気付かされた本。犯罪は自分だけではなく、家族も巻き込む。
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保護司になって初めて担当した少年が、少年院で読んだ本。面接時「主人公と俺は同じ」と言ったので読んでみた。主人公の兄が殺人を犯し刑務所から主人公に手紙を送ってくる。少年の兄も刑務所にいたことから自分を主人公と重ねていたのだ。母親と妹を守ると言った少年は、無事保護観察期間を終え自分の...
保護司になって初めて担当した少年が、少年院で読んだ本。面接時「主人公と俺は同じ」と言ったので読んでみた。主人公の兄が殺人を犯し刑務所から主人公に手紙を送ってくる。少年の兄も刑務所にいたことから自分を主人公と重ねていたのだ。母親と妹を守ると言った少年は、無事保護観察期間を終え自分の人生を送っている。どうかぶれずに、たとえ社会が冷たくとも乗り越えてほしいとずっと願っている。
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なおきが必死で生き抜く姿も感動したしこの差別と偏見の世の中で犯罪者の家族がどれほど苦しむのかも背筋が凍りそうなほど伝わってきた。そして被害者が「もう終わりにしよう」と発言したことがどれほどお互いに前に進める言葉になったか。刑務所で剛士を見つけやっぱり切れない思いも浮かんできただろ...
なおきが必死で生き抜く姿も感動したしこの差別と偏見の世の中で犯罪者の家族がどれほど苦しむのかも背筋が凍りそうなほど伝わってきた。そして被害者が「もう終わりにしよう」と発言したことがどれほどお互いに前に進める言葉になったか。刑務所で剛士を見つけやっぱり切れない思いも浮かんできただろう。結局何が正しいかわからない。それでも人は大切なものを守りながら生きていかなければいけない。読み終わった後もいろいろ考えさせられる。
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剛志は働きながら大学に入学するという選択肢があることを知らなかったのだろうが、方法をもっと調べるべきだったと思う。剛志は弟のためといって強盗殺人を犯したが、本質は腰を痛めて働けなくなり、人生に絶望した矢先に裕福な緒方家を思い出して憎らしい感情や、腹立たしいという思いが芽生えた結果...
剛志は働きながら大学に入学するという選択肢があることを知らなかったのだろうが、方法をもっと調べるべきだったと思う。剛志は弟のためといって強盗殺人を犯したが、本質は腰を痛めて働けなくなり、人生に絶望した矢先に裕福な緒方家を思い出して憎らしい感情や、腹立たしいという思いが芽生えた結果の衝動的な犯行なのではないだろうか。それを弟の学費を奪うという口実を付けて自分の行為を無意識に正当化したかっただけなのだと思う。 「加害者の家族として罰を受ける」 自分が犯した訳でもない罪によって苦しみ続けるという理不尽に直面したとき、どうするのが正解なのか。 周りは自分と加害者を一括りにして遠ざける。立ち向かおうと、善人のように振る舞っても結果は大抵変わらない。 差別と偏見にまみれた世界で生きていくにはどうしようもなく辛い。だからといって、諦めるのは悔しいし、憎らしい。 ただ、世間の加害者家族に対する態度は当然であり、悪いとは思わない。それは自己防衛の表れであり、それ故に差別や偏見は無くならないから。 剛志は弟のために強盗殺人の罪を犯したが、直樹は結局兄の力を借りずに働いて大学に入ったため、結果として直樹はただただ、兄に人生を狂わされただけに過ぎなかった。 直樹の境遇を考えると本当に腹立たしくなる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
再読。 強盗殺人犯の弟として生きる男の物語。 「犯罪者の家族」というレッテルを一生背負わされ、趣味も恋人も仕事も失っていく。 それでも、兄という唯一の肉親を完全に切り捨てることはできない——。 けれど、最後には自らの家庭を築いたことで、兄との縁を断ち切る決断をする。 犯罪は加害者と被害者だけのものではなく、その周囲の人生すらも大きく狂わせてしまう。 その現実が胸に迫る。 そして、罪を犯した者が背負うべき「責任」とは何か、深く考えさせられる一冊。
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