大地(3) の商品レビュー
徳田秋声の『あらくれ』と巴金の『家』を足して二で割ったような内容かな。少し違うか。 王淵のころころ変わりやすい考えはみていて一貫性がないだけにイライラするが、この年齢の青少年の移ろいやすさというか、芯がないというか、そういう思考パターンをうまく描いていると思う。それにしても王淵の...
徳田秋声の『あらくれ』と巴金の『家』を足して二で割ったような内容かな。少し違うか。 王淵のころころ変わりやすい考えはみていて一貫性がないだけにイライラするが、この年齢の青少年の移ろいやすさというか、芯がないというか、そういう思考パターンをうまく描いていると思う。それにしても王淵の芯のなさは天下一級。うちの弟そっくりでこれまたイライラする。勝手に熱をあげて、期待がはずれて一転憎悪の念にかわるパターンなんかまさにうちの弟そのもの。いや、自分自身も意識していないかっただけでそうなのかも。そうゆうイライラするところが『あらくれ』っぽいというか、とにかく同作品を思い出させる(褒めている)。 また、清朝崩壊後の混乱期を描いた一巻は生存を賭けた必死の物語だったが、時代が進み、共産党の中国統一に近づくにつれ、次第に思想闘争の色が増してきた。しかもそれに熱をあげるのが年端も行かない青少年(王龍に対する王虎から、王虎に対する王淵)なので、これがまたイライラさせる。封建制度との闘いは起こるべくして起こったもので、その主役が青少年や女性であったことも因果。そのあたりも細かに描きだせていると思う。 ただ、やはり一巻の波瀾万丈さから巻を追うごとに退屈になってくるのは否めない。しかも王淵は好男子でお金持ちの家系の生まれなので、陳腐さも否応なしに増してしまう。
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王龍の三男王虎とその息子淵の話が殆どである。 王虎は籠城する匪賊を破り、肥沃な地の実質知事も兼ねた軍閥の将軍として大陸統一の野望を抱く。兄の薦めにより二人の女性と結婚しそれぞれ男と女の子を産む、息子の淵を後継にすべく帝王教育を施し士官学校に入れる。軍政では民衆救済の大義のもと規律...
王龍の三男王虎とその息子淵の話が殆どである。 王虎は籠城する匪賊を破り、肥沃な地の実質知事も兼ねた軍閥の将軍として大陸統一の野望を抱く。兄の薦めにより二人の女性と結婚しそれぞれ男と女の子を産む、息子の淵を後継にすべく帝王教育を施し士官学校に入れる。軍政では民衆救済の大義のもと規律徹底で、淵の前で直訴の六人を銃殺する厳格処分で後悔の種を作る。淵は生真面目で戦いよりは土を耕すことを好み父の管理から逃れて王家の故郷「土の家」に脱出する。そこでの生活に心からの平安と満足を得るが父の病気を理由に引き戻されるも、また衝突し異母と妹の住む海岸の大都会(上海)に行き、大学に入って新しい生活を始める。革命軍活動に関わり逮捕され死刑を宣告されるも父や親戚の尽力で救出される。 前半の王虎の晩年期に至る記述は内容や表現が雑で冗長さが目につく。物語の主人公が初代の王龍と阿蘭から王虎を経由して王淵に替わる、そのための繋ぎという位置付けなのであろう。概して二代目の三人に対しては冷淡である。それに比べて淵の描写は成長過程や心の描写も含めてかなり丁寧で作者の思いが十分に醸されている。 「淵にとっては学問が一番楽しかった。‥‥一番興味を持って研究したのは植物の根とか葉とかの内部構造に関する学問だった。」上海の大学でのことである。 背景も中国大陸における清の支配が崩れ、跋扈する匪賊や軍閥への国民党の北伐戦争、そして共産党による統一へと激しく動いている。社会の激動がそこで生きる個人に人間であるが故の苦悩や喜びの物語を産みどこまでも人間の尊厳を追求するという建て付けは明確である。 親子や家族の在り方も様々な登場人物を通して何度も問いかけられる。リアルである。
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この巻で メインは王虎(わんふー)の息子である王淵(わんゆぁん)に変わる。 王虎のサクセスストーリーをもっと期待していたけど、息子を溺愛し過ぎて、スン と止まってしまったのが残念。 梨花(りほあ)も良い展開があるのではと期待していたけど、スン と収まるところに収まり残念だった。 ...
この巻で メインは王虎(わんふー)の息子である王淵(わんゆぁん)に変わる。 王虎のサクセスストーリーをもっと期待していたけど、息子を溺愛し過ぎて、スン と止まってしまったのが残念。 梨花(りほあ)も良い展開があるのではと期待していたけど、スン と収まるところに収まり残念だった。 しかし、登場する女性ほとんどが性格が悪いというか、協調性に欠けるというか、謙遜をしないのは時代のせいか?国民性ゆえか?
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金持ちの厳格な父に育てられた息子が都会に出て快楽を知り堕落していく。。わけでもなく、なんだかんだと上手くやってるわけですよ。 農民のように土とともに自由に生きたい、とか言いながらも、この無教養な間抜けどもめ、と言ってしまったりやら、乞食どもは目に入れるのも嫌だとか、実に金持ちらし...
金持ちの厳格な父に育てられた息子が都会に出て快楽を知り堕落していく。。わけでもなく、なんだかんだと上手くやってるわけですよ。 農民のように土とともに自由に生きたい、とか言いながらも、この無教養な間抜けどもめ、と言ってしまったりやら、乞食どもは目に入れるのも嫌だとか、実に金持ちらしいムカつく感じが、でも逆に清々しくもある。 でも一番上手くやってるのは王大さんで、基本的には働くこともなくなのに、親の財産で好き勝手やりおってからに、ともかくおじいちゃんが頑張って土地を集めたお陰で皆金持ちなんだから、やっぱ不動産業って儲かるのは今も昔も変わらんということやね。
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小さな村の一角から始まった物語は、海沿いの租界地へと移り、主人公も王虎(ワンフー)からその子王淵(ワンユアン)に変わる。古い世代と新しい考え方との板挟みで悩む。いつの時代も子どもは親の思い通りには決してならないものだと王虎は自分の若い頃を振り返って思わないのか、不思議だ。王虎が王...
小さな村の一角から始まった物語は、海沿いの租界地へと移り、主人公も王虎(ワンフー)からその子王淵(ワンユアン)に変わる。古い世代と新しい考え方との板挟みで悩む。いつの時代も子どもは親の思い通りには決してならないものだと王虎は自分の若い頃を振り返って思わないのか、不思議だ。王虎が王龍の言うことを聞かなかったように、王淵も王虎の言うことを聞かない。しかし!この本の最後で劇的に場面は展開する。
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主人公は王虎から王淵へ。大地に固執し愛した王龍に対し大地への従属を嫌い武を選んだ王虎。王虎の子王淵は、王龍と同じく、王虎の道を否定し再び大地に戻った。しかし王淵の「大地」は憧憬であり生活ではなかった。王淵は馴染まぬながらも都市に生活し合間をぬって農耕に勤しむ一方、農耕を生活とする...
主人公は王虎から王淵へ。大地に固執し愛した王龍に対し大地への従属を嫌い武を選んだ王虎。王虎の子王淵は、王龍と同じく、王虎の道を否定し再び大地に戻った。しかし王淵の「大地」は憧憬であり生活ではなかった。王淵は馴染まぬながらも都市に生活し合間をぬって農耕に勤しむ一方、農耕を生活とする貧民層を嫌悪し蔑如する姿は、桃源郷への望郷に近しいものがある。 王龍と王淵の観念は同じようで本質は全く異なる。時代は繰り返さずとも螺旋に進む故であろう。本作品が出版されたのは1931年であるが、孫文による革命の気運と成就がなった時代でありそうした時代の空気の移り変わりを巧みに捉えた小説である。
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淵の逃亡劇の巻。 土地に縛られない生き方に憧れた人々だが、結局、裏切らないのは土地だけだった。 最終巻へ
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いつの時代の出来事なのか、正直年表がほしいと思った。 それと、なんといっても淵。彼の思い込み度といったら、どうしようもない。 まっすぐで努力家で地道であることを恐れないたくましかった王龍(女好きだったけどね) 義理深く愛に深く正義と力に生きがいを見出した王虎(先見の明がなかったけ...
いつの時代の出来事なのか、正直年表がほしいと思った。 それと、なんといっても淵。彼の思い込み度といったら、どうしようもない。 まっすぐで努力家で地道であることを恐れないたくましかった王龍(女好きだったけどね) 義理深く愛に深く正義と力に生きがいを見出した王虎(先見の明がなかったけどね) 優しく思い込みが強く素直な淵。 一番魅力的だったのはやっぱり王龍だろうか。 それら若者が老い、愚かな老人へと変容してゆくさまを、作家は容赦なく書き出す。 それは中国という国もまた同じなのだろう。 国は若いほど力と魅力にあふれているのかもしれない。
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王龍の子供達の時代から孫達の時代に変わり、いろいろな考え方の違いなど、新しい価値観へ世界が変わっていくなかで「最後には土地が残る」という王龍の思いが、王淵にも受継がれる不思議ですね。
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中学生の頃、母親に勧められて、夢中になって学校で読んでたの覚えてます。 しかし、もう忘れてしまった。中国の壮大な話しだった記憶はあります。
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