大地(3) の商品レビュー
最後の 『だけど、あの土地は-僕が帰朝しても、あれだけは必ず残っているんだな。土地だけはいつまでも残っているんだな-』 には感動した。 そうか、こう繋がるのか・・・。
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王龍の三男王虎、そして孫の王淵に主軸が移っていく。名誉、富とも生活に苦労しない孫の世代になってくると、家という強い意識より、若者から生まれてきている新しい思想や考え方に感化され、より個に、個の自由になっていくように思う。 虎のひげを引っ張るなとまで言われた厳格な父・王虎のがん...
王龍の三男王虎、そして孫の王淵に主軸が移っていく。名誉、富とも生活に苦労しない孫の世代になってくると、家という強い意識より、若者から生まれてきている新しい思想や考え方に感化され、より個に、個の自由になっていくように思う。 虎のひげを引っ張るなとまで言われた厳格な父・王虎のがんじがらめの生活を嫌っていた息子王淵が、父を愛するようになる。子が親を超えたとき、親から開放されたと思う時から、その親を愛せるようになっていく過程があり、社会にあっては偉大でも、親として偉大である続けていると、危うい親子関係となり、王虎の失望と老いがこの危うさから抜け出ていく。世代交代ごとに繰り返されていくんだな、と思う。 結婚感の変化は時代の変化を思う。 ただ面白いことに、若者が「救国」の名のもとで革命を起こそうとすることに対して農民たちは自分達の暮らしに関係ないものと捕らえている。文革、近頃の「愛国」デモと重ねて見ても、主張を完全に理解しなくても熱くなってしまう国民性がみられた。 王淵も自分の問題を「救国」にすり変えてしまっている。
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王龍の孫である王淵は自分の土地こそが自分の故郷であることを悟り田畑を耕すことに専念する。しかし、息子に軍人になってほしい王淵の父は王淵に反発する。父の態度に嫌気がさした淵は逃げるように都市部に住んでいる母に身を寄せる。やがて、王淵はいとこである猛の誘いにより革命運動に参画する。...
王龍の孫である王淵は自分の土地こそが自分の故郷であることを悟り田畑を耕すことに専念する。しかし、息子に軍人になってほしい王淵の父は王淵に反発する。父の態度に嫌気がさした淵は逃げるように都市部に住んでいる母に身を寄せる。やがて、王淵はいとこである猛の誘いにより革命運動に参画する。しかし、革命は失敗し外国へ亡命する。 今回の第3巻において切望するところは自分の名誉に固執する淵の父と親から束縛されない自由を求める淵の対立から編み出されることを読者自身が読み取ることである。
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前半は2巻から継続して王虎がそのまま主人公。 勇猛果敢だった王虎が老けて、だんだんと枯れて孤独になっていきます。 さらに息子を愛するあまり、執着して、彼からも離れられていきます。 けっこう悲しい前半。 後半から、その王虎の息子・王淵が主人公。 この息子、いままで主人公だった王龍...
前半は2巻から継続して王虎がそのまま主人公。 勇猛果敢だった王虎が老けて、だんだんと枯れて孤独になっていきます。 さらに息子を愛するあまり、執着して、彼からも離れられていきます。 けっこう悲しい前半。 後半から、その王虎の息子・王淵が主人公。 この息子、いままで主人公だった王龍や王虎と違って覇気がないタイプ。 でも、どの主人公よりも自分に近いタイプで、やっぱり悲しい後半…… 中国が舞台の『大地』なんですが、巻が進むにつれて、目まぐるしく近代化していきます。 で、人も考え方もドンドン変わっていくんで、読んでいて、その変遷が面白いと思いました。
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王虎から王淵へ。 一地方の支配者としての地位を盤石にした王虎が自分の後継として期待をかける一人息子の王淵は、軍人として生きること(=父に生き方を支配されること)を嫌い、むしろ王虎が嫌う”大地と生きる”農民に憧れる。 世代(旧世代/新世代)や生活圏(都会/地方)の違いが、そのま...
王虎から王淵へ。 一地方の支配者としての地位を盤石にした王虎が自分の後継として期待をかける一人息子の王淵は、軍人として生きること(=父に生き方を支配されること)を嫌い、むしろ王虎が嫌う”大地と生きる”農民に憧れる。 世代(旧世代/新世代)や生活圏(都会/地方)の違いが、そのまま考え方の違いになっていて、互いが互いに不満や不理解を抱く構図って、どの世界にもやっぱり共通することなんやろうか。 物語が進むにつれて、個人的に設定していた時代背景が、近世から近代に修正された。
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前半は王虎を中心に話が進むが、後半から主人公が王虎から息子の王淵へと移る。 読んでいて面白いと感じたのは主人公たちの親や生きがい、女に対する感じ方を3世代という長いスパンで見つめて比較できること。 これは読み手の年齢によって共感できる部分もかわってくるんだろうなと思う。自分が若者...
前半は王虎を中心に話が進むが、後半から主人公が王虎から息子の王淵へと移る。 読んでいて面白いと感じたのは主人公たちの親や生きがい、女に対する感じ方を3世代という長いスパンで見つめて比較できること。 これは読み手の年齢によって共感できる部分もかわってくるんだろうなと思う。自分が若者→中年→ばあさんになったときに読んでどう感じるかというのが知れたら面白そう。 とりあえず今読んで感じてるのが老人への興味。王虎の変化には驚いた。ほんとにこんな何事に対しても淡白になるのだろうか。
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愛する妻に裏切られた王虎将軍は、自棄になって二人の妻を娶り、男児と女児が一人ずつ生まれる。王淵は祖父の血を引いて土地への愛着を持った青年に育つ。革命運動が中国全土を覆う中、王淵はいとこの猛に導かれて革命党に加わるが、捕えられ死刑になるところを、王一族に大金をはたいてもらって救いだ...
愛する妻に裏切られた王虎将軍は、自棄になって二人の妻を娶り、男児と女児が一人ずつ生まれる。王淵は祖父の血を引いて土地への愛着を持った青年に育つ。革命運動が中国全土を覆う中、王淵はいとこの猛に導かれて革命党に加わるが、捕えられ死刑になるところを、王一族に大金をはたいてもらって救いだされ、アメリカへと逃れてゆく。 時代はこの巻から大きく動き、旧社会から新中国への革命への機運が高まってゆく。 父との対立の末、自由を求めて妹の母のもとへ足を向け、そこで新たな生活を送る中で淵が感じる葛藤や、かねてから憧れていた農作業などが、少しずつ淵を変えていく様子がおもしろい。
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物語は王家の三代目に。時代は近代に渡り舞台の雰囲気も一気に変わります。三代目の王淵は自分に正直で生真面目。一番好感が持てますね。革命が起こり;波瀾万丈です。読みごたえ充分。ラスト一冊が楽しみ。
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