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アンナ・カレーニナ(上) の商品レビュー

4.1

75件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2017/04/03

 『アンナ・カレーニナ』はトルストイの作品であり、言うまでもないがロシア文学の代表作の一つである。文学好きなら読んだことはないにしろ、名前は知っているであろう。トルストイの『戦争と平和』程は長くないが、それでもかなりの量があり、読み終えるだけでも一苦労である。  この作品を私は...

 『アンナ・カレーニナ』はトルストイの作品であり、言うまでもないがロシア文学の代表作の一つである。文学好きなら読んだことはないにしろ、名前は知っているであろう。トルストイの『戦争と平和』程は長くないが、それでもかなりの量があり、読み終えるだけでも一苦労である。  この作品を私は二週間近くかけて読み終えた。そして、読み終わった際の感想として自分の心を覗いてみると、中々に複雑な気持ちをこの作品に対して抱いていることに気づく。すなわち手放して賞賛しようという気持ちはないし、駄作として唾棄しようというわけでもない。私はこの作品に 対して賞賛の気持ちを持っているのか、否定の気持ちを持っているのか、中々自分でも判断しづらいものがある。    『アンナ・カレーニナ』という題名である以上、やはり主人公は夫人アンナである、と考えてもいいだろう。彼女は恋愛のない結婚生活に嫌気がさし、不倫へと走り、やがて駆け落ちをしたり、離婚を申請したりする。ここを沿っていけば、一つの不倫物語としてこの作品を読み取ることができ、そういう一側面を持っていることは間違いのない事実である。  しかしながらこの作品を読み終えた者は、この作品が単なる不倫物語ではないことは、当然ながら気づくはずである。もう一人の人物レーヴィンが登場して、彼もまた結婚をおくることになる。そして単にそれ だけでなく、彼を通してロシアの農業問題、政治問題についてや、道徳問題についても多々言及され、それにより物語は単なる不倫物語として片付けていいものではなくなってしまう。この作品をアンナの不倫物語として取り扱う場合、これらの要素は別に読み飛ばしても差し支えがない。しかし、どうもそういうわけにはいかなさそうだ。この作品を正しく評価するにあたってはこういった要素も鑑みないといけないのではないだろうか。  なんでもこの作品は当時の社会情勢を細部に至るまで書きつくそうという意図を持って書かれたらしい。それが作者の自発的な意志なのか、それとも社会の要請なのかはわからないが、やはりどうしても無視できそうなものでは間違いない。   しかし作者の真意が何であれ、また学問的にはどのようにこの作品がとらえられていようが、私はこの作品内における農業問題、政治問題、道徳論については、退屈を覚えたことを素直に告白しなければならない。まあ当然といえば当然なのかもしれない。この文学が成立した時代や場所と私が生まれ育った環境は違うのだから。それ故私はこの作品内の作者の描こうとした情勢・思想的なものについて殆ど記憶に残っていない。私がこの作品を読んで印象に残っているのは、結局アンナの不倫とそれを取り巻く人間関係である。アンナの不倫が最終的ににどのような結末を迎えるのか、という社会的な興味ではなく個人的な興味を持って、結局この作品を追っていた。情勢・思想は一応一通 り読んだが、私が仮にこの作品を再読する場合、おそらく読み飛ばすだろう。    ではこの作品が不倫物語としてはどうなのか、と聞かれたら、面白いとは答える。しかしながら述べたようにそれはあくまで物語の一側面である故、どうしても不倫物語として消化不良が目立つ。結局夫との関係子供との関係もはっきりとしたエンディングを迎えなかったし、アンナ亡きあとのウロンスキィに関する描写もどこかあっけない。どうにも読み終わって私はやきもきさせられた気持ちを抱くことを申し上げねばならない。それにこの作品は長い。壮大であるが、それ故読むのに骨が折れる。その長さを読み終えたことによって相応の報酬があったか、と聞かれれば、私は否定はしないものの、かといって肯定しようという気にも中々なれない。結局のところ私はこの作品の感想を聞かれたら、賞賛も非難の声も挙げず、沈黙を強いられることにになるだろう。

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2017/02/17

うーんこの本で得たものって何だろ「結婚」と「女」についてはとても考えが深まったかもしれない。これこそまさに「女」という感じの主人公アンナ・カレーニナ、女とは愛すべきものであり理解すべきものではない…恋愛の教科書みたいな感じは楽しかった。正直この本の凄さみたいなものを充分理解出来て...

うーんこの本で得たものって何だろ「結婚」と「女」についてはとても考えが深まったかもしれない。これこそまさに「女」という感じの主人公アンナ・カレーニナ、女とは愛すべきものであり理解すべきものではない…恋愛の教科書みたいな感じは楽しかった。正直この本の凄さみたいなものを充分理解出来てないんだろうなと思う。難しくて退屈な箇所もあったし世間的な評価ほどは感激しなかった、再読はもう少し大人になってからかな。文学に何を求めて読むのか、芸術か思想か娯楽か人生の教訓かをよく考えて本選びをしようと思った

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2017/06/28

10数年ぶり?の再読。 長い!が、中身も濃い。 この作家は人間の心理への観察力がずば抜けている。 美貌の主人公・アンナに好きな男ができて、 それと並行して夫への嫌悪感を募らせていく(今風に言えばキモいというのだろう)。 夫の、関節を鳴らす音さえも嫌でたまらない。 このあたりの描...

10数年ぶり?の再読。 長い!が、中身も濃い。 この作家は人間の心理への観察力がずば抜けている。 美貌の主人公・アンナに好きな男ができて、 それと並行して夫への嫌悪感を募らせていく(今風に言えばキモいというのだろう)。 夫の、関節を鳴らす音さえも嫌でたまらない。 このあたりの描写がリアルすぎる。 何でトルストイは女性の心理がこんなに分かるのだろう?

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2017/02/04

結婚後、夫の悪い面が鼻につくようになり、アンナはヴロンスキーとの恋に落ちていく。この作品に限らないが、ロシアの登場人物の名前が分かりづらい。同じ人物が呼び名を変えて出てくるので、なおわかりづらい。2016.8.23

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2016/06/07

状況描写、心理描写が自然で、するする読める文章。 ということは、翻訳もすごいということかな? 主人公の容姿を想像する楽しみがある。 前情報なく手に取った本で、まさかストーリーのメインが既婚者の恋愛だとは思いもよらず。 そんな文学のど素人でも面白く読める本。 ただ登場人物の名前...

状況描写、心理描写が自然で、するする読める文章。 ということは、翻訳もすごいということかな? 主人公の容姿を想像する楽しみがある。 前情報なく手に取った本で、まさかストーリーのメインが既婚者の恋愛だとは思いもよらず。 そんな文学のど素人でも面白く読める本。 ただ登場人物の名前が慣れないカタカナ名が多いかな(笑

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2015/12/03

学生時代、家にあったかなり古い訳で読んでみたが名前がわからなくなりギブアップ。 改めて挑戦。新訳は解りやすい!さくさく読めます。 アンナの開き直りにびっくりしたけど、この先が楽しみ。

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2015/08/22

海外TVドラマを見ているかのような。すごい大きな展開はないけれど、それぞれの人々の生活を眺めているような読後感。アンナやキチイがどういう姿の人なのか想像するのも楽しい。

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2015/06/15

30年ぶりの再読である。名作である。2組のカップルは対照的で効果的である。とても丁寧に書かれている。心理や行動、農民、貴族の描写は素晴らしいのひとことにつきる。ヴロンスキーとアンナの悲劇は不倫ゆえの因果なのか。戦地に赴くヴロンスキーと、残された2人の愛の結晶の女の子の運命も気にな...

30年ぶりの再読である。名作である。2組のカップルは対照的で効果的である。とても丁寧に書かれている。心理や行動、農民、貴族の描写は素晴らしいのひとことにつきる。ヴロンスキーとアンナの悲劇は不倫ゆえの因果なのか。戦地に赴くヴロンスキーと、残された2人の愛の結晶の女の子の運命も気になる。

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2015/02/24

映画を観てからの小説挑戦となりました。あらかじめ大体のあらすじはつかんでいたため、割とすんなり上巻を制覇できました。ロシア物は『カラマーゾフの兄弟』で苦労した思い出があるので… さて、上巻は、ヴロンスキーと人妻アンナの恋が始まり、ヴロンスキーに恋するキチイが病気を癒すまでの展開...

映画を観てからの小説挑戦となりました。あらかじめ大体のあらすじはつかんでいたため、割とすんなり上巻を制覇できました。ロシア物は『カラマーゾフの兄弟』で苦労した思い出があるので… さて、上巻は、ヴロンスキーと人妻アンナの恋が始まり、ヴロンスキーに恋するキチイが病気を癒すまでの展開になっています。様々な人物が入り乱れる展開となり、あらすじがわかっていないと、混乱しがちかもしれない。 いろんな人の人生観の違いが明らかとなっていて面白い。オブロンスキーとその親友リョーヴィンよ恋愛に対する考え方は明らかに違うし、夫であるオブロンスキーに浮気をされたドリーを慰めたアンナが浮気をしたりなど、対照的だなと思う。

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2015/01/23

有名な書き出し、「幸福な家庭は全て互いに似通ったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣が異なっているものである」という一文に惹かれ購入。 上巻は、カレーニナとキチイの2人を中心に話が進む。結局のところ、結婚した後に素敵な人が現れるかもしれないし、結婚して相手がどういう人かわか...

有名な書き出し、「幸福な家庭は全て互いに似通ったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣が異なっているものである」という一文に惹かれ購入。 上巻は、カレーニナとキチイの2人を中心に話が進む。結局のところ、結婚した後に素敵な人が現れるかもしれないし、結婚して相手がどういう人かわかるようになるのは常である。 また、言い寄ってくる男が心からの愛なのかどうかは、口に出さないとわからない。愛していると良い方向に良い方向に考えてしまう傾向にあるから、熱く冷静になる必要がある。 時代が不倫も女が男に振られるのも耐え難いもの、悲痛、恥という感じだからか、現代の考えからは多少ズレている感がある。 オリーブの枝というのは、平和の象徴らしい。

Posted byブクログ