1,800円以上の注文で送料無料

永遠の夫 の商品レビュー

3.7

27件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/10/18

(01) 滑稽の一種であるトルソーツキイであるが,翳りや不気味な属性もあり,彼に対する興味は尽きない.中盤の幽霊という章も秀逸であるが,彼の幽霊性というのは,もうひとりの主人公のヴェリチャーニノフの罪の分身(*02)として離脱された存在でもあり,この二人の兄弟性,相似性,補完性を...

(01) 滑稽の一種であるトルソーツキイであるが,翳りや不気味な属性もあり,彼に対する興味は尽きない.中盤の幽霊という章も秀逸であるが,彼の幽霊性というのは,もうひとりの主人公のヴェリチャーニノフの罪の分身(*02)として離脱された存在でもあり,この二人の兄弟性,相似性,補完性を楽しむのが本書の読み方であると考えられる. (02) トルソーツキイの登場に関してはドッペルゲンガー的でもあるし,「忘れえぬ人」あるいはデジャヴのようでもある.ヴェリチャーニノフの内面や心理を外化したガイストともいえる.ザフレビーニン家での二人の共演の一幕もコミカルで相当に楽しむことができるが,矛盾し乖離(*03)する二つで一つの魂として読むとなお楽しめるように思う. (03) 驚天動地な展開には彼の地の土俗的な劇作が影響しているのだろうか.予習なしで本書に望む読者は,予想の斜め上をいく展開に舌を巻くことだろう.キス,死,結婚,未遂など唐突であるが,それらがリアルな生をよくよく思い返したときに,わたしたちの生にも起こりえた/起こってきた唐突であることに,はっとさせられる.

Posted byブクログ

2016/11/17

毎度、新たな人間模様を描き切るドストエフスキー。今回は割り切れない大人の劣情を男性間で描く。女性の交換、共有というホモソーシャルな関係と言ってはそれまでだが、明日の見えない二人を通して、精神の放逸と束の間の対決・緊張の対比が見事。

Posted byブクログ

2016/05/15

※一部に暴力及び流血描写の含まれる作品です。 【印象】 家庭を知る男、知らない男。夫と情夫のふたり。 そして配偶者のみが全てである人間がそれを失うと。 両極性。重い鬱病。 気に入りました。 【類別】 小説。 【脚本構成】 頁130-131、中年男性ふたりのキスに物珍しさを覚...

※一部に暴力及び流血描写の含まれる作品です。 【印象】 家庭を知る男、知らない男。夫と情夫のふたり。 そして配偶者のみが全てである人間がそれを失うと。 両極性。重い鬱病。 気に入りました。 【類別】 小説。 【脚本構成】 頁130-131、中年男性ふたりのキスに物珍しさを覚えました。 頁170-171の墓地での情景描写が非常に好みです。 【表現】 地の文は三人称一元視点。 文体は平易。

Posted byブクログ

2016/03/12

夫としては理想的かもしれないけれど魅力がない「永遠の夫」。人はなぜそういう人をバカにしてしまうのでしょうか。結果犠牲になるのは子供。小作品ながら人間の怖さがダイレクトに描かれます。

Posted byブクログ

2016/03/07

2016/2/7 彼の作品の中では、比較的評価が低いのだろうなぁと思いながら読んでおりました。 個人的には、終盤が好きでした。 理屈じゃなく、感情が高まったときの、 あるいは、自然だと思っていたサイクルが突如剥がれたときの、 そういった、ふと暴かれるような、 こぼれ落ちてしま...

2016/2/7 彼の作品の中では、比較的評価が低いのだろうなぁと思いながら読んでおりました。 個人的には、終盤が好きでした。 理屈じゃなく、感情が高まったときの、 あるいは、自然だと思っていたサイクルが突如剥がれたときの、 そういった、ふと暴かれるような、 こぼれ落ちてしまったような、 そういった感情や心理を、本当にいつも見事にお描きになるなぁと。 私は、個人的に好きです。 というか、何だか憎めない作品です。 翻訳者の訳が、個人的には好みではありませんでした。

Posted byブクログ

2015/03/13

私にはよく理解できませんでした。『永遠の夫』なる人間の典型を提示しているのでしょうが、少なくとも今の私は特に面白いとも思いません。いつかこの面白さがわかる日が来るのかもしれませんが…。

Posted byブクログ

2014/08/29

かの文豪ドストエフスキー様の御作品に★★★とは、大それたことをしてますね… 何となく面白いなぁ~とは思うのですが、翻訳がちょっと読み辛かった。それにしても、ちょっと飲みすぎ!

Posted byブクログ

2013/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

な~んかモタモタした話です。 主人公の男も寝取られた旦那もどうにも煮え切らない。 妻亡き今、寝取られた旦那は浮気相手の男を責めたいのか、妻の死を慰めあいたいのかはっきりしない。 男の方も、浮気は過去のことだと知らんぷりしていいものか決めかねている。 ただただ2人ともオロオロモタモタ。 その狭間で少女1人死んでるし。 ドストエフスキー特有の懊悩する人間描写を味わうには最適だと思います。

Posted byブクログ

2012/06/16

ドストエフスキーの話はいつも難解ですが、この小説も最初はさっぱりで薄いのになかなか進まなかった。徐々にトルソーツキーがどこで妻の不倫と子供の本当の父親について知ったのか、想像させる展開になってきてようやく進みだしました。生涯ただただ夫であるにすぎないなんて寂しいですね。

Posted byブクログ

2012/02/02

他のドストエフスキー作品よりは、すんなりと読む事ができた様に思いますが、 難しかった…!! そして、トルソーツキーのネチネチした感じ! こんな人嫌だなぁ。 でもきっと、許したかったんでしょうね。 何より、リーザが可哀想。 もう一回くらい読まないと理解出来ない気がします。 ...

他のドストエフスキー作品よりは、すんなりと読む事ができた様に思いますが、 難しかった…!! そして、トルソーツキーのネチネチした感じ! こんな人嫌だなぁ。 でもきっと、許したかったんでしょうね。 何より、リーザが可哀想。 もう一回くらい読まないと理解出来ない気がします。 多分、再読はしないと思いますが!

Posted byブクログ