白痴(上) の商品レビュー
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途中、なんだか同じ事の繰り返しに思えてしまった、キリストがモデルという公爵とエパンチン家の人々の人情劇。 ナスターシャ・フィリポブナもかなり狂っているが、公爵もよっぽどだし、アグラーヤも何がしたいのかわからないし、ロゴージンあたりが割とまともだったかもしれない。 まぁ、まともだっただけに、最後罪を犯してしまったのだが、結局あそこまで拗れてしまったら誰か死ぬか殺されるか自殺するかしないと収集がつかないだろうなとは読みながら思っていた。 ある意味ロゴージンはナスターシャを解放してあげたのかもなぁと思う。それは公爵が絶対出来なかったことだし。 ふと気がついたのだけど、「白痴」って一発変換できないようになっているのですね。現代では差別用語だからかな。
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癲癇の持病を抱え、驚くほど温和で純粋な人柄を備えた公爵が祖国ロシアに戻り、絶世の美女、彼を慕う人々、白痴と嘲る人々と接して周囲を刺激していく物語。 この癲癇という病気の症状や、それを迎える当の本人の心境の描写についてはドラッグのそれと同じく、紙面から想像することしかできないが、...
癲癇の持病を抱え、驚くほど温和で純粋な人柄を備えた公爵が祖国ロシアに戻り、絶世の美女、彼を慕う人々、白痴と嘲る人々と接して周囲を刺激していく物語。 この癲癇という病気の症状や、それを迎える当の本人の心境の描写についてはドラッグのそれと同じく、紙面から想像することしかできないが、そう言った点からもこの公爵がどこか通常の人間を超越した存在であることを思わせる。 ドストエフスキーの長編にしてはサクサク読み進められるぞと思ったけれど、やはり途中から登場人物ラッシュとロシア独特の愛称の罠に襲われ、今話してるこいつ誰だよ現象となってしまった…。
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再読了、一番好きな小説で考え方から感じ方まで生き方を変えられた物語。憐れみ深く繊細な心の美しさを持つ主人公が地上的な恋と天上的な愛に引き裂かれて最後は… ドストエフスキーの中で一番悲しくて美しい作品だと思う。
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40年前の高校生の頃、父親の本棚から世界文学全集を引っ張り出して読んでいた。「嵐が丘」、モームの「劇場」、「月と六ペンス」、「若きウェルテルの悩み」等。活字が古かったから、若しかしたら、古本だったのかもしれない。 白痴もそうして読んだ内の一つ。 辻原登「東京大学で世界文学を学ぶ」...
40年前の高校生の頃、父親の本棚から世界文学全集を引っ張り出して読んでいた。「嵐が丘」、モームの「劇場」、「月と六ペンス」、「若きウェルテルの悩み」等。活字が古かったから、若しかしたら、古本だったのかもしれない。 白痴もそうして読んだ内の一つ。 辻原登「東京大学で世界文学を学ぶ」でこの小説の恐ろしさに触れていた。日曜のFM番組で小川洋子さんも取り上げていたので、久しぶりに再読することにした。 冒頭の車中でのムイシュキン公爵とロゴージンの出会いは覚えていたが、後は全く忘却していた。ムイシュキンの人となりやロゴージンの暗い情熱は覚えているんだが。良く知った人の知らない話を聞くような感覚。 主人公ムイシュキンは、聖なる愚か者のよう。高校時代に読んだ中世騎士物語にあったパルジファルを思い出す。(ワーグナーのように立派なものじゃない)。プーシキンの「あわれな騎士」が登場人物の会話に出てきたが、このドン・キホーテ的な無垢な人間は公爵への比喩のようだ。 しかし、時間が掛かり過ぎだ。話が一つ山を越えると、もうお腹いっぱいで読み続けられない。ドストエフスキーの文体も、無駄が多いし、訳文のリズムにも問題があるかもしれない。しかし、年を取ると読書量が低下するのは、老眼の所為だけじゃなく、気力の問題もあるようだ。 下巻はもっとペースを上げなければ。
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まるでカーニバル、とても賑やか。ここまでうるさいと冷静さが一種の美徳に思える。 好きな人物がいない。 ナスターシャとアグラーヤという二人のファムファタール。ムイシュキン公爵の深みのない白痴さ=純真さ加減。 ナスターシャが10万ルーブリを火に焚べて、取って来いという場面の狂気...
まるでカーニバル、とても賑やか。ここまでうるさいと冷静さが一種の美徳に思える。 好きな人物がいない。 ナスターシャとアグラーヤという二人のファムファタール。ムイシュキン公爵の深みのない白痴さ=純真さ加減。 ナスターシャが10万ルーブリを火に焚べて、取って来いという場面の狂気は迫真。
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残り100ページを残して断念、『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』についてはストーリーが追えたのだが、こちら最初のちょっとしたお話し以外はまったく頭にはいらない。そんな小説も過去にはあるにはあった。『ニュークリア・エイジ』 (文春文庫)ティム・オブライエン著とか『グレート・ギャツビ...
残り100ページを残して断念、『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』についてはストーリーが追えたのだが、こちら最初のちょっとしたお話し以外はまったく頭にはいらない。そんな小説も過去にはあるにはあった。『ニュークリア・エイジ』 (文春文庫)ティム・オブライエン著とか『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド著どちらも村上春樹訳である。下巻を購入した手前630ページまで読むも数行のお話しすら追えなくなってきた。頭が・・・潮時かな…いみしん(笑 追記:6/7映画『ザ・ヘル ネクストステージ』を観ていると、おたくなメガネっ子がタブレットで『白痴』を読んでいる場面があって、音読するのだがそれがまた意味不明なのであった。とても印象に残る。
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「どこそこの弁護士が、貧しさのためには人を六人殺すほど自然なことはないとかなんとか。」 白痴としてスイスで療養していた公爵がロシアに戻ってきた。相変わらず高潔への姿勢が重視される。それゆえ、それを当てにしたえげつない話し合いが行われる。 私が好きなのは、公爵がひきつけを起こしたのちに、レーベジェフの別荘で激論する場面だ。夫人の見通しが素晴らしい。そして、全員激情の中に生きている。
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登場人物の名前や関係性が覚えづらく、600ページまでようやくたどり着きました。下巻を読み終えて、自分がどのような感想を持つのか、楽しみです。 思ったことと、口にする言葉が違ったり…人間って面白いなと思わされました。 さすがドストエフスキー
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登場人物がみんな半端なく激しくて、読むのは疲れるけど、ドストエフスキーの他の作品と比べると、分かりやすく面白い。ドストエフスキーの思いもそこかしこにしつこく散りばめられている。
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癲癇の発作のため、外地で療養生活を送っていたムイシュキン公爵。 ロシアに帰国した彼は、"白痴"とバカにされながらも、巻き込まれる事件の渦中で高潔にふるまいます。 第1部のクライマックスは、美しくも高慢な女性の結婚を巡る騒動。自ら不幸な境遇に身を投じようとする女性を助けるため、公爵は彼女に求婚します。 この場で持ち上がるスキャンダルに、"白痴"である公爵は厳粛に対処しますが、それを取り囲む人々の狂乱が白痴的であるという、白痴の逆転現象がおきます。 第2部では遺産を相続した公爵のもとに、さる義理を理由に金銭を要求する若者たちが詰めかけてきます。ここで勃発する騒動では、利用されていると知りながら金銭を提供しようとする公爵、興奮しながらすべてが狂気じみていることを指摘する夫人をふくめて、全員が白痴のようです。 この作品で描かれているのは、信仰という拠り所を失った人々の狂気のお祭り騒ぎだと感じました。 もちろん、"殺人よりも死刑のほうが残酷である"など、 ドストエフスキー独特の思想も随所に散りばめられていて、ドストエフスキーらしさをたっぷり味わえる作品。 人々の乱痴気騒ぎは、下巻ではどのような展開をみせるのでしょうか?
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