車輪の下 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
学びはいずれ、人生を豊かにするものだと思っていた。現在 学歴で自分の可能性を閉ざされてしまうことに悔しさを覚えて勉強中であるが、それは本当に幸せへと繋がっているのだろうかと疑問を感じてしまった。 自伝小説ということは、ここに記されているハンスの心情はヘッセが少年時代に秘めていた思いの欠片である。ヘッセにとって少年時代はかなり辛かったのではないだろうか。
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著者ヘッセの自伝的小説と言うが、偏った思考の狭い世界における教育、社会の『車輪の下』の下敷きとなってしまった少年の苦悩、転落する姿が悲しかった。 この主人公の少年をもっと理解しようとする大人がいてくれれば。。せめて母親がいれば。。などと終始思わずにはいられない。息子に愛情を持ちな...
著者ヘッセの自伝的小説と言うが、偏った思考の狭い世界における教育、社会の『車輪の下』の下敷きとなってしまった少年の苦悩、転落する姿が悲しかった。 この主人公の少年をもっと理解しようとする大人がいてくれれば。。せめて母親がいれば。。などと終始思わずにはいられない。息子に愛情を持ちながら凡庸な父親の子供への接し方、考え方もももどかしいものがあった。 なおこちらの翻訳、私には少々読みづらかったかな。
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100年以上前に書かれたものなのに、ハンスの心情に深く共感した。 なぜ題名が「車輪の下」なのか最初はわからなかったけど、勉強に疲れ切ったハンスに対して、 『疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪のしたじきになるからね。』 と校長が言ったことで、なるほどとな...
100年以上前に書かれたものなのに、ハンスの心情に深く共感した。 なぜ題名が「車輪の下」なのか最初はわからなかったけど、勉強に疲れ切ったハンスに対して、 『疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪のしたじきになるからね。』 と校長が言ったことで、なるほどとなった。 形骸的な教育や社会制度の歯車の下敷きにならないようにと言う先生や親の言うままに勉強に身を削り、街に溢れる職人を半ば軽蔑していたハンスが、最終的には試験で苦労して通った学校を自主退学し、歯車を磨く職人として働くようになる。 本来、自分や社会を豊かにさせるための勉強であるはずなのに、ハンスが勉強すればするほど精神的に死んでいってしまうのが悲しかった。
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自然豊かな片田舎の少年ハンス。その天賦の才と勤勉さをもって、周囲の期待を一身に背負い、神学校へ入学する。 神学校でのハンスは、規律・学問という教育社会の車輪の下で苦悶する。詩人を望むヘルマンとの耽美的友情。彼の退学による孤立。ハンスは、精神的に疲弊していく。 田舎に戻り、機械...
自然豊かな片田舎の少年ハンス。その天賦の才と勤勉さをもって、周囲の期待を一身に背負い、神学校へ入学する。 神学校でのハンスは、規律・学問という教育社会の車輪の下で苦悶する。詩人を望むヘルマンとの耽美的友情。彼の退学による孤立。ハンスは、精神的に疲弊していく。 田舎に戻り、機械工を目指す。労働への挫折感。見下していた同級生との葛藤。その中でも、製造という営みに人間らしさを見出しつつあった。 ハンスは、友人達との酒宴の帰路、溺死する。 若い頃読んだ時、ハンスは自殺の印象だったが、死因については、ふれられない。事故かもしれない。 再読してその理由は不要なのかと思う。 自伝的小説とのことだが、ハンスとヘルマン二人が、ヘッセを表現しているかと。ヘッセ自身は、神学校を退学し、詩人への道を模索するが、神学校という車輪の下に残された意識の破壊の表現と思えた。 ラストの場面は、印象的で、初読の後内容は忘れても、ミレーの「オフィーリア」に脳内変換されていたのだが、もう少し普通の川。
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秀才のエリートであるハンスは、周囲の期待に応えようと必死に勉学に励み、次第に心を壊していく。作者の自伝的小説とされていますが、敷かれたレールの上で挫折し、車輪の下敷きになるかの如く周囲の期待に押し潰されてしまう様は、現代においても既視感があります。
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全体的に低いテンション感で物語が進んでいった。 特に終盤にかけて尻下がりになっていった印象。 あんま面白くなかったなぁ 年取ったら面白くなるのかな?
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純朴で勤勉な少年が周囲の大人に恵まれず運命の車輪の下敷きになってしまう悲劇。画一的、詰め込み型の教育に対するアンチテーゼ。真面目な若者が普遍的に陥ってしまう可能性を示唆する作品です。
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※このレビューにはネタバレを含みます
親や先生、周りの人々の期待によって敷かれたレールの上を走る車輪の下敷きになってしまう少年ハンス。詰め込み式の教育はやはりまずいということを感じた。心の優しい人ほど車輪の下に轢かれてしまいやすいのではないかな。周囲の期待に応えようと必死になって、気づいた時には自分を見失ってしまう。 神学校で天才肌のハイルナーに出会ったことによって、ハンスはようやく車輪の下から脱却するが、失ったものも大きい。かつては神童として扱われていた故郷に、何も成し遂げないまま帰ってきたハンスは苦しむ。自殺も考えるようになる。 その後機械工として働いていくことになる。そして、仕事に満足感も感じるようになり、仲間たちとも上手くやっていけそうな雰囲気になったときに酔っ払って死んでしまうという皮肉な結末。 この小説は「子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝的小説」だと裏表紙に紹介されていた。自伝的小説なのになぜ主人公が死ぬという展開にしたのだろうか。 最後にハンスが死んでしまうのは大人になったからなのかもしれない。ハンスが現実を見て、機械工として生きていくことになり、もう子どもには戻れない大人になった。死の直前にはお酒を大量に飲む描写があるが、これは大人になった象徴と考えられるのではないか。 想像でしかないが、これは筆者自身の戒めかもしれないと思った。自分がハンスのように、子どもの心と生活とを忘れて完全な大人になってしまった時、書き手としての自分も死ぬという戒め。ハイルナーは筆者にとっての理想的な生き方なのだと思う。 詩的で、流れるように美しい文章。それがかえって淡々と日常が過ぎていく残酷さに拍車をかけている。
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思春期ならではの葛藤、悩み、勉強、友情、初恋など様々な要素が詰め込まれている。 重圧をかけ続けた周りの大人たちとハンスを理解できる大人の不存在がハンスの身と心を破壊していった。 詰め込み式教育の問題点と、子供が子供らしく過ごす権利を大人たちが一方的に奪っていくことに対し、作者から...
思春期ならではの葛藤、悩み、勉強、友情、初恋など様々な要素が詰め込まれている。 重圧をかけ続けた周りの大人たちとハンスを理解できる大人の不存在がハンスの身と心を破壊していった。 詰め込み式教育の問題点と、子供が子供らしく過ごす権利を大人たちが一方的に奪っていくことに対し、作者からの問いかけのように思えた。 詰め込み教育を実際に受け、ハンスのような内気な秀才タイプであれば、この作品に共感できるのかもしれない。
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目の前にありありと情景が浮かぶ描写はさすが有名古典。ラストはちょっとビックリしたね。ええ〜、、、?という感じで。映像を楽しむ映画みたいな感じで名文を楽しみました。
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