車輪の下 の商品レビュー
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時分の命を人質にすることで生きやすくなってしまったりとか、何となく見下していた肉体労働を楽しんでしまったりとか。自分の本当にしたいと思ってることや意思がどんどん周りの環境に負けて言ってしまう感じが、僕自身とダブりすぎてしんどくなる。 僕もこのまま車輪の下敷きかもな
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15歳の頃、学校の推薦図書のような雰囲気でやむを得ず読み、とにかくつまらない本だと思った。 「果たしてあの本はそこまでつまらなかったのか」と30歳の頃に思い、再び購入して読み直してみたが、やはりつまらなかった。 「あれから30年、今読んでもつまらないのか?」と思い3たび読んだ45歳。 とうとう興味を惹かれ面白いと思った。 それは、私が親になったから。 ハンスが自分の息子だと思ったら、実に切ない。 未来に満ち溢れた若者を、大人たちが寄ってたかってだめにする。 自分が若い頃は、この本の大人たちへの反感が強すぎて胸糞が悪く、つまらなく感じたのだと思う。また田舎の牧歌的な情景の描写が長すぎて退屈だったんだけど、これは強いられたハンスの生活と対比するための描写だったんだなと知る。 (自然の中で子どもが育ってゆく素晴らしさと必要性、今ならわかるけど、若い頃は自身が田舎育ちで田舎を嫌悪していたから分からなかった) 学校でのハイルナーとのくだりは脳内でBLに変換され大変ときめいた。
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今でこそ一般化している「教育虐待」だけど、この時代に過剰教育の悲惨さをかけたのはすごいと思う。 親友と主人公、天才と秀才の対比が悲しかったな。 それでいて情景の表現がきれいで面白かった。特に神学校に受かったあとのつかの間の休息、釣り、川、優越感、イキイキと輝いて見えた。最後はその川で死ぬっていう対比…… つい最近まで受験生だったので特別に響いた
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まだ10代だったハンスがどんどん落ちていく様子を見ていくのは、涙が出なくとも心を締め付けられて辛かった。 しかし繊細な心情描写や情景描写にかなり読み応えがあり、とても楽しませてもらった。 個人的に大人になったら読み返したい本TOP5に入るぐらい痺れた一冊だと思う。
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現代の話と言ってもいいほどの本だと思った。 教育の問題、教育現場での問題は、変わらないんだと感じた。 教育に限らず、少年から青年への移行期に自分が考えていたことがそのまま書かれていたりして、普遍的な問題なんだなと再評価できたりした。 自分が高校生の頃読んだことがあるけど、まった...
現代の話と言ってもいいほどの本だと思った。 教育の問題、教育現場での問題は、変わらないんだと感じた。 教育に限らず、少年から青年への移行期に自分が考えていたことがそのまま書かれていたりして、普遍的な問題なんだなと再評価できたりした。 自分が高校生の頃読んだことがあるけど、まったく覚えてなかった。子供を踏み躙る側の大人になった後の方が受け取るものが多いのだろうか。 悲しいかな、教育者の側の考えもすごくよく分かると思ってしまう。自分が少年から青年への移行期から遠く離れてしまったからだろう。成長期の人間を信じてあげることができないんだろうな、と自分自身を振り返った。 教える側である教師たちの欺瞞がはっきりと描かれているが、こういうのって子供たちに見透かされてるのかもな、と感じる。子供を一人の人間として見てるか、ということを突きつけられた感じがした(反省しました)。 ハンスは、大人の期待に応えなきゃと思ってただけで、優越感はあっただろうけど、周囲を故意に見下したりはしてなかったと思う。見下してたら、意地でも機械工にはならなかっただろう。 また、単に、詰め込み勉強がいけなくて、子供には人との触れ合いが大切、ということを書いてるわけでもない。子供を一人前の人間として扱わず、大人の身勝手な考えだけで子供を追い詰めて行くことが間違いだということが言いたいんだろう。大人の身勝手な期待、考えに押しつぶされてしまった、車輪の下になってしまった子供がハンスなんだろうと考えた。
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最初から最後まで悲しすぎるというか、切ないお話だった。 表現がとても豊かで詩的。それが心の繊細な部分を正確に表現していて、自分たちも似た経験を一度はしたなぁと共感しながら読むことができる。また、この歳の子供の心理描写や精神面、天才児ならではの苦悩などもリアルで面白い。この気持ちをこのような言葉で表現するんだと感心する場面も多く、語彙力を上げるのにもとてもいい。 ただ、話に救いの場面が少ないところがちょっと辛かった。自分の意志を出す事ができず常に弄ばれる世間知らずの子供。その子供が社会の波に揉まれて成長するお話といえばわかりやすいか。綺麗な表現なだけに、結末は現実的に残酷なところがちょっと皮肉にも感じる。 人におすすめはできます。文章の綺麗さや子どもならではの心理描写を楽しめる良い作品だと思います。
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あとがきの″主人公が、決して非凡な英雄ではなく、単にやや秀才肌の、かよわい少年″と言い切る文句がさらに悲壮感を際立たせてくれた 何をするにしてもやはりガッツは必要…
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心がぐにゃあって、なんか重くて、真っ暗い何かに包み込まれてるような気がして、暗くて深いどこかに滑落してるような気がして、
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平凡な家に生まれた秀才のハンス。学ぶことが好きであったハンスは、周囲の期待を受け、言われるがままに神学校への進学に挑戦する。以降、自然の中で魚釣りをすることが好きな少年は勉強中心の生活に。その後、苦労の甲斐あり神学校に入学するも、閉鎖された環境のなかハンスは更に不安定になっていく...
平凡な家に生まれた秀才のハンス。学ぶことが好きであったハンスは、周囲の期待を受け、言われるがままに神学校への進学に挑戦する。以降、自然の中で魚釣りをすることが好きな少年は勉強中心の生活に。その後、苦労の甲斐あり神学校に入学するも、閉鎖された環境のなかハンスは更に不安定になっていく。 勉強のプレッシャーを描いた作品として有名。読んでみて、学校時代やそれ以降の生活のほうがメインであったことを知った。挫折を味わった若者の苦悩が丁寧に描かれている。
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世間からの期待、要請に応え続けること。 幼年期に年相応の娯楽から隔絶され、抑圧される。 さらにがんじがらめの規則に溢れた学校での生活に馴染めなくなる。 結果が出ているうちは良かった。 結果を出し続ける以外の生き方をしている人が突然現れると、その人が魅力的に見えるよな。 今まで人に役に立つものを作ることがなかった→それが自分の手の中で出来上がっていく感覚はこれまでにない感情を思わせた。 こんな感情を抱くことができたのに… 飲み過ぎで鬱状態になってしまう。 死因は明言されていない。 これで良いんじゃないかな。 大学時代に挫折した一冊でしたが、今読むことができて良かった。
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