眠る盃 の商品レビュー
短い短いコラム集。向…
短い短いコラム集。向田邦子さんのエッセイはなんでだか涙が出そうになります。懐かしい匂いがするとってもはまれる作家さんです。
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向田さんの2作目のエッセイ。心に染み込ませるように読んだ。愛猫の話がかなり沢山。パックの話、国語辞典の話も好きだった。中でも中野のライオンのお話は、自らの一瞬の夢みたいな出来事を、ロマンチックに完結されていてやはり流石だなと。
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人はそれぞれ多彩な顔を持つ。善き振る舞いや憎まれる悪態は日常茶飯事、誇らしく自慢したり言い訳をして悔やんだり、まさに一喜一憂を繰り返す。人はそんな完璧じゃない人を魅力を感じる。合点がいかない事も時が過ぎると許してしまう。安易に烙印を押すなかれ、すぐに結論や解答を求めると楽しくない...
人はそれぞれ多彩な顔を持つ。善き振る舞いや憎まれる悪態は日常茶飯事、誇らしく自慢したり言い訳をして悔やんだり、まさに一喜一憂を繰り返す。人はそんな完璧じゃない人を魅力を感じる。合点がいかない事も時が過ぎると許してしまう。安易に烙印を押すなかれ、すぐに結論や解答を求めると楽しくない。迷ったり思案したりする過程に本当の喜びが潜んでいるのだ。向田邦子が記す愛憎はそこを得心している。そして私たちの胸に響く。
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講談社文庫 向田邦子 「眠る盃」 父親、猫、食のエピソードを中心としたエッセイ。女性作家の女性読者向けエッセイと違い、男性が読んでも面白い。話のテンポがよく、予想外の方向へ話を展開するので 飽きない。さすが 売れっ子の脚本家だと思う。 「字のない手紙」と「鹿児島感傷旅行...
講談社文庫 向田邦子 「眠る盃」 父親、猫、食のエピソードを中心としたエッセイ。女性作家の女性読者向けエッセイと違い、男性が読んでも面白い。話のテンポがよく、予想外の方向へ話を展開するので 飽きない。さすが 売れっ子の脚本家だと思う。 「字のない手紙」と「鹿児島感傷旅行」は 随筆というより短編小説の完成度。書かれていない部分を想像しながら読める 水羊羹へのこだわり、レストランの味を真似する方法、丼ものをおいしく食べるコツなど食べ物エピソードは かなり面白い。 全体的に 幸田文 に似てる?
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向田邦子の2作目のエッセイ集 教科書に載っていた「字のない葉書」をまた読みたくなって購入 当時とは読んだ感想が違うかもしれない 今は親目線の気持ちがよりよくわかる 改めて、エッセイの出来が素晴らしいと思う 着眼点、描写、構成、表現などどれをとっても一級品 ただ、「父の詫び...
向田邦子の2作目のエッセイ集 教科書に載っていた「字のない葉書」をまた読みたくなって購入 当時とは読んだ感想が違うかもしれない 今は親目線の気持ちがよりよくわかる 改めて、エッセイの出来が素晴らしいと思う 着眼点、描写、構成、表現などどれをとっても一級品 ただ、「父の詫び状」よりも俗な話題が多い気がする 面白かったのは、ツルチック、中野のライオン、で読者から連絡が来て真相が判明するくだり 現代なら一般人でもSNSなどで容易に発信する事ができるし、運良くバズったりしたらわかるときもある 当時も有名な人であれば雑誌の記事などを目にした人から情報が寄せられたものなのだと感心する あと、没になったアイデアのもなかなかよい 記憶喪失の四十七士が現代に来て国を憂うアイデア 原稿は進んでいないのに嘘の進行を伝えつつ、三島由紀夫のあの事件によって企画自体が没を告げられる そしてあまり進んでいなかった事も看過されていたというオチ 他にも、若い頃に双子を名乗る詐欺の話を書いたが、リアリティがないと言われたやつ 実際にそんな事件が起きて、笑えてきてしまうというのも納得 向田邦子の小説は何作か読んだけど、他のももっと読んでみようかと思った
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とても人間味のあふれる文章で、読んでいて心地よかった。 著者の回想を読んでいるつもりが、なぜかいつの間にか自分の回想となっている事が多々あり、著者と自分の昔を重ね合わせながら読んだ。多くの思い出の引き出しを開けてもらい、とても不思議な読書時間だった。 著者の表現は、簡潔だが、...
とても人間味のあふれる文章で、読んでいて心地よかった。 著者の回想を読んでいるつもりが、なぜかいつの間にか自分の回想となっている事が多々あり、著者と自分の昔を重ね合わせながら読んだ。多くの思い出の引き出しを開けてもらい、とても不思議な読書時間だった。 著者の表現は、簡潔だが、本当にその出来事が起こっている瞬間にタイムスリップしているかのような、巧みな表現が多くその面でも勉強になった。特に最後の一文にとても味のある表現が多く、余韻まで楽しめるエッセイだった。
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タイトルの『眠る盃』は『荒城の月』の「♪めぐる盃~」を間違って覚えていた、という短いエッセイのタイトル。そういえば、 「♪うさぎ美味しい彼の山~」グルメ目線の『ふるさと』、「♪夕焼け小焼けの赤とんぼ、追われてみたのはいつの日か~」完全に虫の立場になっていた『赤とんぼ』、「♪赤い靴...
タイトルの『眠る盃』は『荒城の月』の「♪めぐる盃~」を間違って覚えていた、という短いエッセイのタイトル。そういえば、 「♪うさぎ美味しい彼の山~」グルメ目線の『ふるさと』、「♪夕焼け小焼けの赤とんぼ、追われてみたのはいつの日か~」完全に虫の立場になっていた『赤とんぼ』、「♪赤い靴はいてた女の子、ひい爺さんに連れられて行っちゃった~」大家族の里帰りみたいな『赤い靴』、「♪さよならトーカイターテガミ~」競馬のサラブレッドの歌と思っていた堺正章『さらば恋人』、「♪重い、コンダラ~」グランドをならすローラーが「コンダラ」なのだと信じて疑わなかった『巨人の星』 など自分も間違って解釈していた歌は多いな、と妙に感慨深くされてしまうのが向田邦子のエッセイだったりする。 人物に関するエッセイなどはさすがに時代を感じさせるが、こういう感性で書いた物語をまだまだ読みたかったなと、その早すぎる逝去が本当に惜しまれる。
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今まで読んだ向田邦子の本の中で、一番琴線に触れるものが大きかった。私自身、年齢を重ねていることも原因かも知れない。若い頃に読んだエッセイも、読み返したくなる。 本棚の中に「女の生き様」というタグをつくっているのだけど、タグが振られる中でも特にこの本は、男性には知覚できない部分が...
今まで読んだ向田邦子の本の中で、一番琴線に触れるものが大きかった。私自身、年齢を重ねていることも原因かも知れない。若い頃に読んだエッセイも、読み返したくなる。 本棚の中に「女の生き様」というタグをつくっているのだけど、タグが振られる中でも特にこの本は、男性には知覚できない部分が多かろうなと。ふと、逆に男性にしか感じ得ない機微がある作品はどんなものだろうと疑問を持った。私には思いつかない。
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30年経ってもエッセイが古びないのがすごい。 もしも向田さんが生きていたら今どんな脚本を書くのだろう。 もう新作を目にすることができないのがたまらなく口惜しい。
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表題作。 確かにあのメロディーなら「眠る盃」と思ってしまっても無理ないかも。 実は私が小学生のころ使っていた目覚まし時計のアラーム音が「荒城の月」でした。 起きれないって。あの曲では。 このエッセイが書かれた1970年代は、もちろん今とはもう生活スタイルは全然違うのだけど、それ...
表題作。 確かにあのメロディーなら「眠る盃」と思ってしまっても無理ないかも。 実は私が小学生のころ使っていた目覚まし時計のアラーム音が「荒城の月」でした。 起きれないって。あの曲では。 このエッセイが書かれた1970年代は、もちろん今とはもう生活スタイルは全然違うのだけど、それを超えてなお「あ~、わかる」と思えるほどに、人の心というものは変わらないんだなあと思ったり。 水ようかんに対するこだわりとか、ペットに対する愛情とか、旅先での残念なこととか、時代は関係なく、同じように人は感じたり思ったりするんだよね。 逆に、今では考えられないようなことも。 びっくりするのが、エッセイなどが発表されると、その反応が直接個人の家に郵便で送られたり、電話がかかってきたりすること。 個人情報保護法がまだないから。 電話の応対で仕事が手につかず、「後で必ず連絡しますから。」と、相手の電話番号を聞いて電話を切るということもしていたそうである。 これではベストセラー作家なんて、作品を書いている暇がないではないか。 1時間半も熱い想いを語るファンの話を聞いていたらしいです。 東京の中野のアパートで、ライオンを買っていた人もいたそうです。 終戦直後ですけど。 さすがに見間違いかと思ったら、「それは私です」と、やはり本人から連絡があったと。 そして、1970年代のエッセイに向田邦子は書いていた。 「ドン・キホーテではないが、見果てぬ壮大な夢を描いて突進し、傷つき絶望し這い上るのが青春だと私は思っている。一生に一度しかない、苦くて甘い闘いの場だと思う。 しかし、現代の若い成功者たちは、そんな無駄道はしない。夢も希望も程のいい大きさなのだ。」 当時の若者が今はいい大人になって(私よりも年上だよ)、「いまの若いものは…」とか、「自分たちの若かったころは…」とか言っているんだよね。 私も言われましたし、多分私も言うのでしょう。 そして「若かった頃って、昭和時代?」って言われるのさ。Orz
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