劒岳 新装版 の商品レビュー
この本を読んでから三角点への見方が変わった。山へ行って三角点を見た時にこの本の物語が思い浮かぶし、これを設置した方への敬意を忘れない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明治40年に剱岳に有史以来の初登頂を達成した柴崎隊の記録.柴崎隊,といっても登山隊ではない.参謀本部直属の測量部が,三角点設置のために登頂するのである.日本における登山はまだ黎明期で,山岳会がようやく数年前に結成されたばかりであった.測量のためなので,登山は手段でしかなく,測量機器を背負って登るのである.しかも山岳会に先を越されては軍隊の沽券に関わる.柴崎氏自身は文官であるが,軍の体面にも振り回されながら,前代未聞の難題を成し遂げた,その記録である.
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点の記:三角点設定の記録 明治40年に測量隊柴崎芳太郎らによって成し遂げられた剱岳初登頂の小説。 長い間本棚に積読になっていたのを、この春は剱岳を目前に滑ったのをきっかけに色んなところで剱岳のことを目にすることがあって読んでみた。 当時まだ日本では山岳会という民間の会は発足して...
点の記:三角点設定の記録 明治40年に測量隊柴崎芳太郎らによって成し遂げられた剱岳初登頂の小説。 長い間本棚に積読になっていたのを、この春は剱岳を目前に滑ったのをきっかけに色んなところで剱岳のことを目にすることがあって読んでみた。 当時まだ日本では山岳会という民間の会は発足しておらず、ほとんどの山は役所の測量部によって登頂されていたそう。しかも道なき道を行っていたのだからすごい。先人は偉大です。立山は何度か行ったことのある山域で山の名前や地名も知っていたから、割にするする読み進められた。物語としてもとても面白い。 三角点ってほとんど興味なかったんだけど、今度見かけたらタッチしたくなりそう。 2021.5.24
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登山の楽しみと大変な部分を多少なりとも知ってるため、とても楽しめた。 過酷な部分は想像するしかないけれど、道なき道を拓いていくことや自然を相手にすることの苦労を擬似体験でき、響いてくるものがあった。 それにしても、現場を知らない背広組は身勝手でひどいものだ。上官といい、富山の土木...
登山の楽しみと大変な部分を多少なりとも知ってるため、とても楽しめた。 過酷な部分は想像するしかないけれど、道なき道を拓いていくことや自然を相手にすることの苦労を擬似体験でき、響いてくるものがあった。 それにしても、現場を知らない背広組は身勝手でひどいものだ。上官といい、富山の土木課の職員といい。 それらを反面教師にしつつ、柴崎測量官の偉業と山を知るものへの尊敬を持って本を閉じた。 また、完全に無知であった山岳信仰についてなんとなく知るとこができたのも良かった点。
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前人未踏の針の山といわれ、立山信仰でも決して登ってはいけない山と恐れられた劒岳。 そこに三角点設置を命じられた測量官の話。 時代からしても、測量が軍隊だったことからも、大変な苦労だったんだろう。
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前人未踏といわれ、地元でも長らく登ってはならない霊山とされてきた劔岳。それまで、越中奥山の地図には立山以外の山は等高線すら入っていなかったが、日露戦争後、その空白地域の地図を完成させるため、測量官の柴崎芳太郎が三等三角網完成の仕事の命を受ける。 陸軍の陸地測量部に属する柴崎は、国...
前人未踏といわれ、地元でも長らく登ってはならない霊山とされてきた劔岳。それまで、越中奥山の地図には立山以外の山は等高線すら入っていなかったが、日露戦争後、その空白地域の地図を完成させるため、測量官の柴崎芳太郎が三等三角網完成の仕事の命を受ける。 陸軍の陸地測量部に属する柴崎は、国の年度予算に縛られるなか、優秀な案内役、宇治長次郎らとともに、1年のうちごく限られた時期にしか登れない劔岳に挑み、多くの苦労の末、初登頂に成功する。 当時は今のような山登りの装備があるわけでもなく、時に命がけとも言える挑戦をしなければならない、測量官の仕事のハードさに驚き、改めて尊敬の念を抱いた。 当然のように目にする地図も、最初にそれを完成させるときには並々ならぬ苦労があったことを思いながら眺めると、もっと細部まで見なければいけないような気持ちになってくる。
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山岳小説の白眉といわれる本書をついに手を取りました。柴崎芳太郎らの測量班により明治40年7月に登頂に成功した剣岳と立山連峰周辺の測量記録に基づく小説であり、山の厳しさと地図の奥深さに一層の興味を抱かせてくれる一冊でした。 明治時代には測量の基本であった三角測量についての知識(選...
山岳小説の白眉といわれる本書をついに手を取りました。柴崎芳太郎らの測量班により明治40年7月に登頂に成功した剣岳と立山連峰周辺の測量記録に基づく小説であり、山の厳しさと地図の奥深さに一層の興味を抱かせてくれる一冊でした。 明治時代には測量の基本であった三角測量についての知識(選点・造標作業)やその過酷さを理解することができました。常に危険と隣り合わせで山の中で天幕を張って数週間過ごさないといけないのは、想像を絶します。 さらに物語を楽しむためには剣岳周辺の詳細な地図や何より実際に上ってみることが一番だと感じました。
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地形図がどのようにして作られているのか、その過程と苦労がつぶさに分かる、読み応えのある一冊でした。 柴崎測量官の遺族や関係者から聞いた実話がもとになっていますが、淡々とした記録ではなく、この先どうなるのか気になる展開があって面白かったです。 同じ新田次郎の『孤高の人』と違って、剱...
地形図がどのようにして作られているのか、その過程と苦労がつぶさに分かる、読み応えのある一冊でした。 柴崎測量官の遺族や関係者から聞いた実話がもとになっていますが、淡々とした記録ではなく、この先どうなるのか気になる展開があって面白かったです。 同じ新田次郎の『孤高の人』と違って、剱岳初登頂の主要メンバーが全員実名で出ていて驚きました。 古来からの立山信仰によって山麓の村が栄えていたことも興味深かったです。 立山連峰の山々に登りに行く際の見どころが増えました。
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測量の仕事はすごい。テント一つ取っても進化してるから快適さが違うだろうなとか。立山信教についてや地元の人の劒岳の関わりなども興味深い。
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測量という仕事を知ったうえで読むと、さらに面白く読めたのかもしれない。登山と測量のことを少しかじった上で再読してみたい。
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