あほうがらす の商品レビュー
男同士の友情が愛情に…
男同士の友情が愛情に変わる短編集。武士の時代にはそこまで愛せる人でなければ、たとえ主人のためとはいえ命を捨てる気にはなれなかったのではないか。
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<目次> 略 <内容> すべて時代物。短編ながら、主題作の「あほがらす」はじめ、実在の浅野内匠頭や大石主税、荒木又右衛門などを扱っても、ちょっと違う視点から切っていく。人生うまくいくものではないけど、捨てたものでもない、と感じられる珠玉の作品群。
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池波正太郎の書いた本を初めて読んだ。 11篇からなる時代小説で殿様、家来、家臣、そこから繋がる人間関係を読み込むほど、おもしろい話になっている。地位、お金、愛憎、欲、侮辱、と書いて何だ500年後にもあるものばかりだと、苦笑する。 そして、貫く思い、覚悟、看過、変貌それらが混ざり合...
池波正太郎の書いた本を初めて読んだ。 11篇からなる時代小説で殿様、家来、家臣、そこから繋がる人間関係を読み込むほど、おもしろい話になっている。地位、お金、愛憎、欲、侮辱、と書いて何だ500年後にもあるものばかりだと、苦笑する。 そして、貫く思い、覚悟、看過、変貌それらが混ざり合ってこの小説を愛おしくさせている。 全ての人間に生きる意味がある。
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あほうがらす。 現代で言えば、ポン引き。フリーのスカウト兼別れさせ屋の女衒士。 差が疎まれる生業ではあるが、その内容はピンキリで、職業倫理や矜持を持ちその道を極めれば、秀でた芸と呼べる。 11編の短編集。 古今東西、人間という生きものの不思議さを漂わせる一冊でした。 ...
あほうがらす。 現代で言えば、ポン引き。フリーのスカウト兼別れさせ屋の女衒士。 差が疎まれる生業ではあるが、その内容はピンキリで、職業倫理や矜持を持ちその道を極めれば、秀でた芸と呼べる。 11編の短編集。 古今東西、人間という生きものの不思議さを漂わせる一冊でした。 運というものの捉え方次第で、見え方は様々ですね。
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岡本綺堂『半七捕物帳』を読み終えるのが惜しくて、巨匠・池波正太郎の作品を間に挟もうと思った。岡本作品が江戸弁、江戸の街並を彷彿させる筆致だとすれば、池波作品は人情を描く。浅野内匠頭、鳥居強右衛門、荒木又右衛門といった有名どころを配するかと思えば、「あほうがらす」のように市井の……...
岡本綺堂『半七捕物帳』を読み終えるのが惜しくて、巨匠・池波正太郎の作品を間に挟もうと思った。岡本作品が江戸弁、江戸の街並を彷彿させる筆致だとすれば、池波作品は人情を描く。浅野内匠頭、鳥居強右衛門、荒木又右衛門といった有名どころを配するかと思えば、「あほうがらす」のように市井の……それも裏社会の商いをも描く。そして男色、今で言うBLも、江戸時代の武士の常識として書いているのが著者の作品としては珍しかった。
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人間というものの不思議さ。そして、人生一寸先は闇、ちょっとしたことでどうなるか分からないという、人生の不思議さ。 この、2つの不思議さを、池波は冷徹かつ現実主義的な、悲観的目線で描く。池波の、人間や人生に対する「無常観」のようなものが現れている。 また、ときにはその人の人生を貫き...
人間というものの不思議さ。そして、人生一寸先は闇、ちょっとしたことでどうなるか分からないという、人生の不思議さ。 この、2つの不思議さを、池波は冷徹かつ現実主義的な、悲観的目線で描く。池波の、人間や人生に対する「無常観」のようなものが現れている。 また、ときにはその人の人生を貫き通すひとつの信念であり、ときには訳の分からない動きをし、別のときには様々な顔を持つ―そのような人間の心の不思議を描く。 されど、読み手を考え込ませたり、読み終えてネガティブな気持ちにさせないのは、そのユーモラスな、人間の描き方、また、語り口で、面白く、小説を完成させているからであろう。 池波の描く、不思議な、しかし、人間や人生の本質をついているからであろう、全く別世界の話とも思われない、面白い小説でした。
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男色やポン引きと言った、光の当たらない人間らしさに焦点があたる作品が多く収録されている。清濁併せ呑む価値観と、武士道のような厳しさのコントラストが人間の生の楽しさを描いているようだった。
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「武士の名誉を生きるためには、いつどこでも死を迎えることになるかも知れぬという覚悟を日々新たにすると同時に、生きて迎える一日一日を充実せしめたい、妻を愛し、家を愛する心を日々新たにしようという又右衛門の生き方なのであった」。 死が身近なこの時代は、こうした考えで生きていたのだろ...
「武士の名誉を生きるためには、いつどこでも死を迎えることになるかも知れぬという覚悟を日々新たにすると同時に、生きて迎える一日一日を充実せしめたい、妻を愛し、家を愛する心を日々新たにしようという又右衛門の生き方なのであった」。 死が身近なこの時代は、こうした考えで生きていたのだろうが、東日本大震災や熊本地震など、実は身近な死を忘れている我々も、いつ愛する人を亡くしても、また自分が死を迎えても、後悔がないよう一日一日を充実させる姿勢が学ばれる。 江戸時代初期の武士・剣客であり、日本三大仇討ちの一つの「鍵屋の辻の決闘」で知られる荒木又右衛門の物語など、11編が収められている。
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人間の不思議さを描いた11編の短編をちりばめた一冊。なかでも私は忠臣蔵の悲劇の主人公浅野内匠頭の二面性を描いた「火消しの殿」が面白い。
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どの短編も、心にじんわりとしみる。一人ひとりの人物に血が通っているのが感じられる。淡々とした文章なのに、ドラマティックだ。読み終えた後、すがすがしい心もちになった。
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