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スティル・ライフ の商品レビュー

4.1

249件のお客様レビュー

  1. 5つ

    88

  2. 4つ

    68

  3. 3つ

    53

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    2

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2018/01/13

透明感があって、触れると消えてしまいそう。 「雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ」(P32)あまりにも美しい言葉をいつまでも転がしていたくなりました。 表題作も良いですが、「ヤー・チャイカ」も秀逸です。現実と、それを...

透明感があって、触れると消えてしまいそう。 「雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ」(P32)あまりにも美しい言葉をいつまでも転がしていたくなりました。 表題作も良いですが、「ヤー・チャイカ」も秀逸です。現実と、それを俯瞰するような宇宙的な視点。万人向けではないものの、日々生き急ぐように何かに追われる生活に、ストップをかけてくれるような素敵な作品でした。

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2017/11/26

スティルライフの方しかまだ読んでいないけど、読んでる期間はやっぱり小説はいいなぁと思った。とても感覚的なお話。

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2017/10/28

読書日記バイオリニスト 庄司紗矢香(1)『スティル・ライフ』 説明できないもの 無心で表現 2017/10/19付日本経済新聞 夕刊  バッグには必ず本を入れていて、電車に乗ったら開く。夢中になって、改札を出て歩きながら読み続けてしまうこともある。私にとって読書は食事と同...

読書日記バイオリニスト 庄司紗矢香(1)『スティル・ライフ』 説明できないもの 無心で表現 2017/10/19付日本経済新聞 夕刊  バッグには必ず本を入れていて、電車に乗ったら開く。夢中になって、改札を出て歩きながら読み続けてしまうこともある。私にとって読書は食事と同じ。脳みそが栄養を吸収する時間なのだ。  数年前、作曲家の細川俊夫さんに薦められて、池澤夏樹さんの小説を手に取った。独特な世界観に興味をそそられ、立て続けに読んだ。なかでも忘れられないのが『スティル・ライフ』(中公文庫)。山の写真を撮るのが趣味の男性が、大きく広げたシーツにプロジェクターで次々と写真を映し出し、主人公に見せるシーンがある。  「ただの山の写真だ。だから見方にちょっとこつがある」と男性はささやく。「なるべくものを考えない。意味を追ってはいけない」  すごくわかる気がした。なんだか、演奏するときの心境に似ている。  演奏会に向けて音楽家は何百時間も練習を重ねる。作品の歴史はもちろん、ありとあらゆることを勉強し尽くす。そのうえで実際に観客の前に立ったら、一旦、リセットする。なぜなら、音楽はすべて意味を説明できるものではないから。説明できないものを表現するところに神髄がある。本番でどこまで無心になれるかが勝負なのだ。  小説の中で主人公は次第にこつをつかみ、「自分の意識を消すことがうまく」なり、「ぼくの全体が風景を見てとる目に還元された」という境地に至る。私も、私の全体を音楽を聴く耳に還元したい。そう思いながら舞台に立っている。  しょうじ・さやか 1983年東京生まれ。99年パガニーニ国際バイオリン・コンクールに史上最年少優勝。欧州を拠点に活動。

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2017/10/03

スティル・ライフとヤー・チャイカの二本立て短編集。 スティル・ライフは、主人公とバイト先で知り合った佐々井の三ヶ月間の秘密の株売買が主線。しかし、メインストーリーで読ませるのではなく、所々に登場する星についての議論やスライドで投影される山の写真などの表現が科学的でもあり、文学的で...

スティル・ライフとヤー・チャイカの二本立て短編集。 スティル・ライフは、主人公とバイト先で知り合った佐々井の三ヶ月間の秘密の株売買が主線。しかし、メインストーリーで読ませるのではなく、所々に登場する星についての議論やスライドで投影される山の写真などの表現が科学的でもあり、文学的でもある所にこの話の魅力がある。 巻末の解説にもあるが、いつしか分断されてしまった科学と文学との亀裂を修復するような表現が著者にはできるのだろう。読んでいて、静かにひとりで星でも眺めようか、と思わせる独特の力がある小説。

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2017/07/27

ステイルライフ:まだこの作品を超えるような池澤夏樹の小説には出会えていない。独特の雰囲気と手ざわり感。

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2017/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

3 宇宙や科学を語る変わった青年佐々井との話スティルライフとロシア出身の木材商人クーキンと文彦カンナ親子とのやりとりの話ヤー・チャイカの二本立て。 星を見たりやせせらぎや蝉時雨により、山脈や人や染色工場などからなる外の世界と君の中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることが大事らしい。 全般的にゆったりとしたイメージで会話の流れなども面白い。最後の、佐々井が微粒子的な話やカンナの恐竜ディッピーとの話など不思議で感覚的な部分もある。不思議な感じ。しなやかな感性と端正な成熟らしい。

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2017/04/22

この人の書く日本語は素敵だ。文章が簡潔で読みやすい。まるで詩を読んでいるみたい。 よく村上春樹みたいと言われるが、個人的には池澤氏の文章の方が断然好きだ。 どちらも独特な世界観の中編。とぎれとぎれに場面は展開し、どのエピソードも好きなんだけど、途中でしばしば脱線する氏の宇宙愛がす...

この人の書く日本語は素敵だ。文章が簡潔で読みやすい。まるで詩を読んでいるみたい。 よく村上春樹みたいと言われるが、個人的には池澤氏の文章の方が断然好きだ。 どちらも独特な世界観の中編。とぎれとぎれに場面は展開し、どのエピソードも好きなんだけど、途中でしばしば脱線する氏の宇宙愛がすごすぎて、戻って来たときにはこちらはすでにちょっと飽きているような…(笑) 2017/04

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2017/04/12

池端さんの小説を読むのは、初めて。 率直に言うと、難しかったし、面白いとは思えなかった。 村上春樹ほどの独特な表現ではないけれども、共感し辛い表現。だけど、描写がありありと伝わって来て、話の筋に沿った比喩。 という印象を受け、 どこがよかったのかと言うのは難しい。 けれども、...

池端さんの小説を読むのは、初めて。 率直に言うと、難しかったし、面白いとは思えなかった。 村上春樹ほどの独特な表現ではないけれども、共感し辛い表現。だけど、描写がありありと伝わって来て、話の筋に沿った比喩。 という印象を受け、 どこがよかったのかと言うのは難しい。 けれども、 「スティル・ライフ」では染色工場の色の管理についての会話のくだり、雪が深々と降るシーン、山の写真を見る僕、「ヤー・チャイカ」では非現実的なディプロドクスと私とのやり取りなどがスッと自分の中に入って来て、話全体が色鮮やかになるから不思議だ。 この人の話をまた読んでみたい、と思った。

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2017/04/09

難しい。たぶん 自分の 内なる世界 と 外の世界 の 2つの世界を目線を変えて 描いた小説2編。タイトルに 意味があると思う 「スティルライフ」は 静止画の意味。星や外の世界を 静止画として 自分の内なる世界と別物として見る目線。小説の中での 佐々井の役割=外の世界を暗喩 「...

難しい。たぶん 自分の 内なる世界 と 外の世界 の 2つの世界を目線を変えて 描いた小説2編。タイトルに 意味があると思う 「スティルライフ」は 静止画の意味。星や外の世界を 静止画として 自分の内なる世界と別物として見る目線。小説の中での 佐々井の役割=外の世界を暗喩 「ヤーチャイカ」は ロシア女性宇宙飛行士のコールサインを意味。宇宙(外の世界)から 自分の内なる世界を見る目線。小説の中での 恐竜の役割=自分の内なる世界の変化を暗喩

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2017/02/05

初めてこの方の作品を読んだんですが、とても面白かったです。 正直なところ、手持ちのブックカバーと表紙の柄がそっくりで、それがきっかけで買った本だったのであまり期待してなかったんですが、運命的な出会いでした。 わたしもスライドショー(?)したいです。 これくらい格好いい生き方が出来...

初めてこの方の作品を読んだんですが、とても面白かったです。 正直なところ、手持ちのブックカバーと表紙の柄がそっくりで、それがきっかけで買った本だったのであまり期待してなかったんですが、運命的な出会いでした。 わたしもスライドショー(?)したいです。 これくらい格好いい生き方が出来たらいいのになあ。 特に文句はないので星5!

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