梟の城 の商品レビュー
この時代に生きている人を、忍者を、本当に見てきたかのような見識と描写。 司馬遼太郎にしかなしえない、取材力と想像力を結集した最高傑作。 描かれた一人一人の思考に没入しすぎてしまう中クライマックスの、優しさというか司馬遼太郎らしさが、またカッコよすぎる。
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1960年(昭和35年) 前半期の直木賞(第42回)受賞作 あらすじ 織田信長による伊賀侵攻である天正伊賀の乱から10年後、伊賀忍者・葛籠重蔵(つづらじゅうぞう)は隠遁生活を送っていた。仇としていた信長はすでにこの世の人ではなくなり、生きる希望を失っていたが、かつての師匠・下柘...
1960年(昭和35年) 前半期の直木賞(第42回)受賞作 あらすじ 織田信長による伊賀侵攻である天正伊賀の乱から10年後、伊賀忍者・葛籠重蔵(つづらじゅうぞう)は隠遁生活を送っていた。仇としていた信長はすでにこの世の人ではなくなり、生きる希望を失っていたが、かつての師匠・下柘植次郎左衛門から、太閤秀吉暗殺の依頼を受ける。忍者としての生涯を華々しく終えることのみを考えていた重蔵は依頼を引き受け、秀吉暗殺に乗り出す。堺の豪商・今井宗久のもとへ向かう途中、小萩という、宗久の養女が現れ、二人は通じ、密かに愛し合うようになる。だが、彼女は重蔵を見張る役目を持ったくノ一だった。重蔵は木さる、黒阿弥らとともに、伊賀を裏切った風間五平らと対決し、秀吉の居城伏見城へ潜入する。 感想 時代劇では無い、ハラハラドキドキ 記憶に残る一冊。
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ついにシバリョウに手を出してみました。 5月の初めに休業に入ったところで何かめんどうなものでも読もうと思って借りてみたんですが、読み終わるのに約1ヵ月かかりました。 さすがにおもしろくないわけはないのですが、文庫で650ページの厚さの上に歴史の話やら地理やら情報量が多すぎて咀嚼...
ついにシバリョウに手を出してみました。 5月の初めに休業に入ったところで何かめんどうなものでも読もうと思って借りてみたんですが、読み終わるのに約1ヵ月かかりました。 さすがにおもしろくないわけはないのですが、文庫で650ページの厚さの上に歴史の話やら地理やら情報量が多すぎて咀嚼するのに時間がかかる。「一揖」ってどういう意味?と使われている言葉をいちいち検索してみたり。 忍者のアクロバットな戦い、残酷でニヒルな殺陣、エロティックな女性たち、時代ものというよりはハードボイルド。 新聞小説だったこともありストーリーは一歩進んで二歩下がり、遅々として目的の秀吉暗殺に至らないのですが(京に入ってから決行まで4、5年かかっているという悠長さ)、登場人物のおもしろさで読ませてしまう。 美しい顔をしていながら冷酷な風間五平、謎の女小萩、奔放な木さる、派手な魅力のサブキャラに対し、主人公の葛籠重蔵はどちらかというと実直すぎて地味なんですが、読んでいくうちに「重蔵さま…」と小萩のような気分になる不思議なヒーロー。 「乱波」という言葉を初めて知りました。使命にのみ殉ずる忍者の生き様のカッコ良さと虚しさ。アメリカ映画だといまだにミュータント・タートルズかエスパーみたいな忍者像なのですが、葛籠重蔵のような渋い伊賀忍者こそ本道なのでこちらを映画化した方がいいのでは。と思ったらもう3度も映像化されてるんですね。 (というか、司馬遼太郎が日本における忍者のイメージをつくったのか。) 1996年の映画化では重蔵が中井貴一、五平が上川隆也、小萩が鶴田真由、木さるが葉月里緒奈という配役だったそうですが、う〜ん。 以下、引用。 源九郎義経やその従兄の義仲、さらにその末裔の足利武者をあげるまでもなく、この国の歴史は京の女とあずまの男とのたたかいであったといってもよい。しかもまだあずまの男の勝ったためしをきかないのである。 女というとは天性の乱波であろう。あの口先は相手だけではなく、おのれ自身の心まで詐略にかけおるわ 欲望が誕生し、燃焼し、そして死滅する連鎖を、生涯のうち何度くりかえして人は死ぬのか、と木さるは思う。 「女のいのちは、ただひとを慕うことによってのみ燃えつづけるもの。それにはお言葉が無うては叶いませぬ」 「この者は、小萩のかわゆい男じゃ。」 「忍び者を慕うのは、よいことではございませぬぞ。それは、かげろうを抱こうとするようなもの。あれらには、心があってないようなものでございます」 「おぬしは、悟りとやらが好きならばそこへ行け。わしは地獄が好きであるによって地獄に行く」 「いや風の話じゃ。人のいのちは、劫億のかなたより生れ来たって、劫億のかなたへ吹き散る。風も同様のこと。いずかたよりきて、いずかたへ吹き去るかは、なにびとも知らぬ。ただ頬を吹きなでてゆくときだけを、人は風とみる。しかし、たれも風を見たものはあるまい?」 「お坊さまがおいで遊ばされなくても世の中は持ちましょうが、おなごが居なくては世は成りたちませぬ」
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忍者ものでは、この作品が一番好きです。派手さはなくても、重厚な感覚と逆の疾走感も味わえる。読み終わるのが残念でした!
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豊臣から徳川へと天下が移り始め、再び戦乱の世へと転じようとしている最中、様々な思惑に振り回されながら、任務を全うする忍者の暗躍を描いた話。 闇討ちはもちろん、一騎討ちなど手に汗握る戦闘場面や、忍び達の偏った男女関係があったりと起伏に富んだ展開が続き、楽しみながら読めた。 歴史...
豊臣から徳川へと天下が移り始め、再び戦乱の世へと転じようとしている最中、様々な思惑に振り回されながら、任務を全うする忍者の暗躍を描いた話。 闇討ちはもちろん、一騎討ちなど手に汗握る戦闘場面や、忍び達の偏った男女関係があったりと起伏に富んだ展開が続き、楽しみながら読めた。 歴史小説読まず嫌いを克服させてくれた一冊。
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何度読んでも面白い。 主人公の葛籠重蔵の飄々とした生き様がよい。 小萩とのつかず離れずの関係もよい。 最終的に二人が平穏に過ごすのもよい。
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初めて読んだのは中学生の頃。私には感情の複雑さも官能シーンも刺激がかなり強かった。 その刺激が読書好きの今の私を作っている一つの要因。
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忍者同士の矜恃をかけた、命のやり取り。 味方でも、気を抜けば命を取られかねない。 緊迫感のある中で、小萩と木さるの女の矜恃も読み応えあり。忍者とは、何か。 男とは何かを教えてくれる。
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時間潰しにと思って読みやすくて, 内容もエンタメ系の梟の城。 実は正直忍者ものはちょっと苦手。 荒唐無稽な感じがするから。 それに主人公がカッコ良すぎる。 ヒーロー的な扱い。 いろいろな史実を元にしてるんだろうけど、 忍者って、本当はどんなことができたんだろうか? なんてな...
時間潰しにと思って読みやすくて, 内容もエンタメ系の梟の城。 実は正直忍者ものはちょっと苦手。 荒唐無稽な感じがするから。 それに主人公がカッコ良すぎる。 ヒーロー的な扱い。 いろいろな史実を元にしてるんだろうけど、 忍者って、本当はどんなことができたんだろうか? なんてなこと思いながら、読了。 サックと読むには良いかなぁ〜。☺️
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織田信長から抹殺の限りを尽くした天正伊賀の乱から時は流れ、時の天下は太閤秀吉の時代。 かつて、伊賀甲賀が入り乱れ跳梁跋扈していた時代は百地や上野のヒダリであったが、時代が下るとその子孫に移る。 下柘植次郎左衛門は爺さんになり、その弟子、葛籠重蔵、風間五平が物語の軸に。後の世に...
織田信長から抹殺の限りを尽くした天正伊賀の乱から時は流れ、時の天下は太閤秀吉の時代。 かつて、伊賀甲賀が入り乱れ跳梁跋扈していた時代は百地や上野のヒダリであったが、時代が下るとその子孫に移る。 下柘植次郎左衛門は爺さんになり、その弟子、葛籠重蔵、風間五平が物語の軸に。後の世に石川五右衛門と呼ばれる男だな。 戦後、忍者が主役となる小説は昭和30年あたりの本作が初であろう。 しかし、天正期またそれ以前の忍びの世界は、平成の超ブラック企業に社畜として従事するように見えるし、戦乱の世が終わり泰平の世になると忍びの需要はなくなり、忍びとしての働き方に違和感を覚え 新たな生き方に向かうも...この辺り社畜からの脱却をするも、ノマドライフでは結局食ってゆけず社畜に戻る姿にダブってしかたない。 とは言え、いつの世もどこの世も男と女というのは、求め方、与え方が違えど、まあ、そういうことだ、と。この辺りは男目線での描き方だな。 重蔵のハードボイルドながら、やっぱり女にほだされつつ、それでも捨て、でもやっぱり瀕死になり意識がなくなると気付けば、その女の元に。しかし、女の命を殺めようとするが、最後は... さすが、司馬遼太郎作品でした。
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