橋のない川(第2部) の商品レビュー
橋のない向こう川の向こう側は、違う国や違う部落という解釈を(一)でしていた。 しかし妹山や背山の離された話を聞くと、現世とあの世という見方もある。 エタの手は夜蛇のように冷たい噂。不幸者は不幸者としか幸せになれないのかと、堂々巡りを考える。 読むほどに、噛むほどに、解釈の広が...
橋のない向こう川の向こう側は、違う国や違う部落という解釈を(一)でしていた。 しかし妹山や背山の離された話を聞くと、現世とあの世という見方もある。 エタの手は夜蛇のように冷たい噂。不幸者は不幸者としか幸せになれないのかと、堂々巡りを考える。 読むほどに、噛むほどに、解釈の広がるタイトルであり、色んな意味を持たせてくれる住井すゑさん。ささやかな幸せが、好きだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
徳川幕府が作った身分制度、士農工商エタ非人。エタは生まれた時からエタ。大きくなってニカワをたくか、靴を作るか、まちの便所くみをするしかない者。村から出た者は、みなうまれ故郷をかくそうとする。住井すゑ「橋のない川(二)」、昭39.12刊行、541頁。誠太郎は大坂へ丁稚奉公に。孝二は高等小学校に進学。明4年「解放令」が出てから43年、エタに対する差別は変わらず。明治天皇大葬の夜、杉本まちえから手を握られた孝二は、まちえの好意とずっと思い続けていたが、エタの手が夜温いか冷たいか知りたかったからだと知る。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
誠太郎が大阪へ丁稚奉公に出て、孝二は高等小学校へ進学する。小森からは貞夫も高等科へ進んでいた。時々無力感を感じる2人だが、勉強は良くできる。エッタであることを面と向かって言うものはほとんどいないが、先生やクラスメイトの偏見は以前よりひどい。差別はおかしい、と分かっていても、自分はそうでなくてよかったとしか考えられない。そしてそれを見透かしていると思うから先生だってエッタが怖い。偏見に浸かっていると正しい判断ができない。 誠太郎が大阪で仕入れた情報が当時の社会を示していて、役に立つ。
Posted by
一巻に引き続き、虐げられている部落民の切ない状況が続く。明治末期から大正初期の社会は第一次大戦のおかげで好景気となっているが、当然彼らにはそんな恩恵はなく、むしろ天皇中心主義、財閥の興隆など格差を感じる機会が多くなった時期でもある。そんな浮ついた状況を、子供の目線で冷静に純粋に感...
一巻に引き続き、虐げられている部落民の切ない状況が続く。明治末期から大正初期の社会は第一次大戦のおかげで好景気となっているが、当然彼らにはそんな恩恵はなく、むしろ天皇中心主義、財閥の興隆など格差を感じる機会が多くなった時期でもある。そんな浮ついた状況を、子供の目線で冷静に純粋に感じ取っている描写が切ない。
Posted by
再読です。 全巻の孝二は幼かったのですが今回は成長し、青年に近付いていきます。 成長と共に自分の境遇ととも向き合って行く。 答えのない悩みに、読んでいて一緒に胸が苦しくなってしまう。 産まれた時は皆裸でうまれて、違いはないのに。 思わず目を背けたくなってしまう。
Posted by
表紙裏 誠太郎は大阪へ丁稚奉公に出、高等小学校に進んだ孝二は副級長に選ばれる。しかし、明治天皇ご大葬の夜、孝二の手を握った同級生の美少女まちえの心の内がわかった時、孝二は消えてしまいたいような悲しみに胸をふさがれた。こんなにも温かい自分の手が、なんで人に試されねばならないのか。わ...
表紙裏 誠太郎は大阪へ丁稚奉公に出、高等小学校に進んだ孝二は副級長に選ばれる。しかし、明治天皇ご大葬の夜、孝二の手を握った同級生の美少女まちえの心の内がわかった時、孝二は消えてしまいたいような悲しみに胸をふさがれた。こんなにも温かい自分の手が、なんで人に試されねばならないのか。わしは人間や!冷たい周囲の眼に耐えて、孝二は高く、真直ぐに頭を上げて歩いてゆく。
Posted by
初めは「まちえ、ひどい!!」と思ったけど、本当にひどいのは周りの大人やそういった階層を意図的に作った権力なんだと思う。 この作品では孝二たち部落民②相対する存在として天皇家がたびたび登場するけど、実際に天皇家ゆかりの人たちが読んだ場合の感想を聞いてみたいものです。
Posted by
浦野所有。 昼間は普通の人間と変わらずに温かな手足が、夜になれば蛇(くつな)のように冷たくなる――。 そんな俗信を信じてしまう杉本まちえの悲しさ。そしてその真意を知った貞夫と孝二のむなしさ。『橋のない川』第二部はそれにつきます。少しずつ孝二への態度を硬化していく柏木先生も悲し...
浦野所有。 昼間は普通の人間と変わらずに温かな手足が、夜になれば蛇(くつな)のように冷たくなる――。 そんな俗信を信じてしまう杉本まちえの悲しさ。そしてその真意を知った貞夫と孝二のむなしさ。『橋のない川』第二部はそれにつきます。少しずつ孝二への態度を硬化していく柏木先生も悲しかったです。 それから第二部では作中、孝二が誠太郎と島崎藤村著『破戒』について語り合うシーンが印象深かったです。のちに孝二は従兄弟ともこれについて議論するのですが、恥ずかしいことに、このときの私は『破戒』を読んでいなかったので、孝二や誠太郎や、健一、和一、七重らと一緒になって話し合うことはできませんでした。『破戒』を読んだいま、もう一度、このくだりだけでも読み直さなくてはいけませんね。 また孝二と貞夫が、石川啄木の『一握の砂』についてやり取りする場面もありました。啄木にならって自分たちの心情を即興で詠んでしまうとは、2人ともとても豊かな心の持ち主なんですね。私も『一握の砂』を読んでおかなくてはなりませんね。
Posted by
胸が痛くなるほど辛い。 なんという仕打ち。 その仕打ちにどこまでも耐え忍ぶ人々。 ストーリ終盤が近くは、悲しみで胸が塞ぐ。
Posted by
この本を読んでる時期に テレビで『パッチギ』を観た。「あの生駒トンネルは大林組が造った言うとるけどあれは朝鮮人がつくったんや」というセリフ。 本文中にも被差別部落の人が生駒のトンネル事故で圧死したと書いてあって、その一言のセリフにすごい偶然を感じた。 さてさて 作者の淡々と綴...
この本を読んでる時期に テレビで『パッチギ』を観た。「あの生駒トンネルは大林組が造った言うとるけどあれは朝鮮人がつくったんや」というセリフ。 本文中にも被差別部落の人が生駒のトンネル事故で圧死したと書いてあって、その一言のセリフにすごい偶然を感じた。 さてさて 作者の淡々と綴られていく虚栄心のない文章は本文中のその時代へと抵抗なく我が身を預け入れられる。 被差別部落のうちの一軒 兄 誠太郎の小学校での不条理な状況下で生まれる心の傷と憤り。親が悲しむだろう故差別される理由を尋ねられない子供と 少しでも永く差別される民である事を気づかないでいて欲しいと願う親のお互いを想う気持ちが、ある言葉を飲み込んでいく。そしてその悲しみはそのまま弟 幸二のものとなって続いていく。 指をさされ賎民を言われ その原因がどこにあるのかさえ解らない時代になっても延々と続く差別。ただ親から生まれてきただけなのに。 同じ部落のお寺の若坊ん 父である住職と 部落の民を想う気持ちは共に同じでありながらも意見の相違で苦しみ 逃げ 成長して水平社を創立する。若坊んと同じ意見を先に提唱した人々もいたが、時代と権力に抹殺されていた。なぜ 若坊んが 水平社を創立できたのか。 満を持して?? 機は熟したり?? (○朝鮮の人民はいつ熟すのか?) なんのご縁なのかこの本にめぐり合えて、住井すゑ先生ありがとうございました。
Posted by
- 1
