季節のない街 の商品レビュー
山本周五郎先生の短編集。 昭和30~40年位でしょうか、その頃の貧民街で起こるあれこれ。 好みとしては、江戸時代ものがよい。
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本当の意味で愛するとはどういうことなのか。 自分の価値観はまだ未熟なのだなあと痛感した。 というか、生きているうちに山本周五郎先生の価値観を理解できる日が来るのだろうか。 ひたむき、とかまっすぐ、とかの純度を最高に高めると山本周五郎先生に行き着くような気がする。
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連作短編集。 たまらなかったのは「親おもい」。 放蕩者で、いつも金を無心にくる兄、母のこと、弟妹のこと、家のことを考えて、コツコツと貯金する真面目な弟。でも母は、そんな兄を可愛く思っている。 そんな中、また金を無心にきた兄に嫌気がさして弟が家を出た後、兄が交通事故に遭う。病院に行くと、もう助からないほどの大事故。枕元には、自分の通帳と印鑑が置いてある。母が自分に黙って、兄にやったことを知る…。 気持ちがすれ違う。 兄にとりすがる母を残し、弟は病室を出る…。 でも山本周五郎は、やはり長編のほうが好き。
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一つの貧民街の住人がそれぞれ出てくる短編集。決して羨ましくはないのだけれど、その人間性の高貴さにはっとしてしまうような人も中にはいて。
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年をとってくると、「山周」はぐっっと心にしみてきてクセになる。 「親おもい」「僕のワイフ」普通に考えたら絶対非のない人もワリをくうし、それぞれの事情やら感情がある。人生そんなもんだよね。1+1=2ばかりではない。
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山本周五郎の、戦後の裏街を舞台にした短編。 架空の列車がみえる少年、夫を入れ替える妻達、悪妻をもつ顔面神経症の男性、などなど多彩な顔ぶれ。 それぞれの人生、それぞれの価値観が面白かった。
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黒沢映画の原作となった話も含まれている、どこかにある「街」の話。少しばかりでも人生の苦渋を舐めた人間ならば、この街の登場人物にどこかしらに人間の側面を重ね合わせずにはいられないのではないだろうか。この街の人は皆一様に下世話でこころ弱く堕落して哀れで儚い。しかしどこか哀調に彩られた...
黒沢映画の原作となった話も含まれている、どこかにある「街」の話。少しばかりでも人生の苦渋を舐めた人間ならば、この街の登場人物にどこかしらに人間の側面を重ね合わせずにはいられないのではないだろうか。この街の人は皆一様に下世話でこころ弱く堕落して哀れで儚い。しかしどこか哀調に彩られたなかに一片の鈍く淀んだ輝きのようなものも交じっている。中でも、プールのある家の調度品や内装を妄想する乞食親子の話がなんとも言えない。目を背けたくなるような美しさ。
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小銭を無造作に投げ入れているうちにいつの間にか一杯になってきた瓶、今やその存在すら忘れられ掛けている瓶が我が家にあるんだけど、この街の住人はその瓶の中の一円玉や十円玉に焦点を合わせたような物語だった。時代背景がよくわからないところもいい。これが江戸明治昭和、どの時代の出来事だと想...
小銭を無造作に投げ入れているうちにいつの間にか一杯になってきた瓶、今やその存在すら忘れられ掛けている瓶が我が家にあるんだけど、この街の住人はその瓶の中の一円玉や十円玉に焦点を合わせたような物語だった。時代背景がよくわからないところもいい。これが江戸明治昭和、どの時代の出来事だと想像してもしっくりくるようなゆるさ。(でも決して平成ではない。) ラストの一文には痺れまくった。 このところアタリ本が続いていて嬉しい。続けて「青べか」を読むとしよう。
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貧民街に生きる人々を描いた短編集です。 -そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。- 現実の世界に「普通の」人間なんていないように、この物語に出てくる人物一人一人もまた個...
貧民街に生きる人々を描いた短編集です。 -そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。- 現実の世界に「普通の」人間なんていないように、この物語に出てくる人物一人一人もまた個性的。 個性的なんだけど、読み進めていくうちに、出てくる人物一人一人に愛着を持たされてしまう。「自分をさらけだすしかない」この街の人々に憧れているのかもしれない。 苦しみつつ、なおはたらけ、安住を求めるな、この世は巡礼である 「よしよし、眠れるうちに眠っておけ」とそれは云っているようであった、「明日はまた踏んだり蹴ったりされ、くやし泣きをしなくちゃあならないんだからな」
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昭和の時代にはこんな街があちこちにあったような感じ。近所同士が裸の付き合いをする。スマートでないが、滑稽でもあるが、極めてまじめにがむしゃらに生きている。そして生き生きしている。「がんもどき」がよかった。12.12.1
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