悪女について の商品レビュー
いやー。おもしろかった。 主人公「富小路公子」は一切喋らない。死亡しているから。 関係者が彼女について喋るんだけど、これが全然違うことを喋る。ある人には良い人、ある人には悪女だ!と言われる。 誰に対しても上品な言葉で誠実そうな態度で接する。 ただ空気を吸って吐くように嘘をつく。 ...
いやー。おもしろかった。 主人公「富小路公子」は一切喋らない。死亡しているから。 関係者が彼女について喋るんだけど、これが全然違うことを喋る。ある人には良い人、ある人には悪女だ!と言われる。 誰に対しても上品な言葉で誠実そうな態度で接する。 ただ空気を吸って吐くように嘘をつく。 そして用意周到。相手が知らない間に婚姻届けを出し、子供を産んだり、タイミング良く複数の恋人を産婦人科へ呼び寄せ「あなたの子よ」と嘘をつく。 被害者ぶって、恋人の両親に楯突き、金をゆする(前もって弁護士を用意していた)。 本当の悪女って、悪口を言わない、嫌みをいわない。 そして近い人ほど本当の姿を見せない。 いくら遠い人が「悪女だ」と言っても信じさせないように。逆にその人の方を悪だと信じ込ませるように。 まんまと騙され、それでも「彼女が悪女だなんて信じられない」という男、お目出度き人だよ。 でも一番かわいそうなのは悪女である、公子かもしれない。こんなに孤独な人はいない。
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「悪女について」というタイトルだけど、この人(富小路公子)は本当に悪女かなぁ? 「子供が出来た」と言われて、「それは困る」とか言ってる男が何人か出てくるけど、それはお前だって悪いんであって、そんなことで「悪女」とか言われてもねぇ。 27人の話の中に出てくる公子さんは、本当にいろいろで、どれが本当の姿なのかわからなくなるけど、私はなんだか途中から「いいぞいいぞ、公子さん、いいぞ!」という想いで読んでいた。 27人全員の話が複雑に絡み合っているので、さらにもう一度読み返してみたい気がする一冊でした。 有吉佐和子さんの本、初めて読んだけどおもしろかったので他の本も読んでみたい。
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ドキドキ謎解き。 そして最後まで読んでも、結局この人は 悪女だったの?もしかしたら違ったの?と 疑問が残る感じが又たまらない。 有吉佐和子さんが早くに亡くなられたことが 悔やまれます。
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27人の男女により, それぞれ全く異なった顔の「悪女」が語られる。 はっきりとした落ちがあるわけじゃないですが, スリリングで良質なミステリ。 ちなみに,島本理生が薦めていたのが読んだきっかけ。
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一人の女性について周囲が語っていくという構成。こういうの好きです。 主人公の自分の価値観をとことん追求する人生は、ある意味すがすがしくさえあると思った。悪女ではないと思った。
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主人公の「公子」は既に作品の中では死んでいて、生前の知り合いがそれぞれ自分の知っている「公子」について語っていく。構成が面白い。
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「悪女」こと公子は出て来ません。27人が語る公子像、というお話です。見方は千差万別。ここまで書き分けられる有吉佐和子はすごい。ハマります。
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家の本棚に並んでた古い本の一つ。 様々な人物に対するインタビュー形式の告白で、一人の女の素顔が浮かび上がるストーリー展開に、読んだ当時はすごく斬新さを覚えた。 また、人が変われば、彼女の印象ももちろん変わるところが、なんとも人間の心理をとらえていて、すごく面白い。エンディ...
家の本棚に並んでた古い本の一つ。 様々な人物に対するインタビュー形式の告白で、一人の女の素顔が浮かび上がるストーリー展開に、読んだ当時はすごく斬新さを覚えた。 また、人が変われば、彼女の印象ももちろん変わるところが、なんとも人間の心理をとらえていて、すごく面白い。エンディングを、ほぼマザコンのような息子の告白で締めたのは、やはり、この「悪女」も息子にとっては、一人の愛しい母親だったからなのだろうか。そこもまた、余韻が楽しい。 高校時代は、悪女にあこがれまくっていたが、これを読んだら、「やっぱ、ここまで悪いのはあかんやろー」と悪女になりきれない自分を発見してしまった。
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有吉佐和子ってきっと悪女からはかな〜り縁遠いタイプの女性だと思うのに、ここまで書けちゃうってすごいなぁ。さすがプロの小説家、って当たり前なんだけど。
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ひとり、またひとりに語られるごとに 「悪女」が一人の女として立体的になっていくのが面白い。私の脳みそではなんで死んだか分からんかったけど。
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