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華岡青洲の妻 の商品レビュー

4.3

122件のお客様レビュー

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2025/11/28

世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。 青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。 普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てていると...

世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。 青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。 普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。 母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。 どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。 口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。 ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ女性が抱えていた葛藤や、当時の社会における女性たちの複雑な感情が丁寧に描かれている。 生き生きしている女性たちの姿が浮かんでくるので、つい史実だと思いそうになるけど、この嫁姑バトルはあくまでもフィクションだそうだ。 華岡青洲と妻・加恵のことがもっと知りたくて調べてみると、青洲の直系の子孫が現在も札幌で麻酔科医として活躍されているとのこと。 またそのお子さんも麻酔科医だそうで、青洲の理念が時代を超えて今も受け継がれているのが本当にすごい。 私自身も全身麻酔のお世話になった身で、今の安全な医療の背景には多くの犠牲と努力によって成り立っているのだと思うと、青洲や加恵、華岡家の家族、たくさんの人々や動物たちに、改めて深い敬意と感謝の気持ちを伝えたい。 和歌山弁の語尾「のし」が妙に耳に残る。 嫁も姑も上品に「〜のし」って言うから、つい真似したくなるのし。 自分でも気づかないうちに「のし」が出ちゃいそうだのし。 有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。 Audibleにて。

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2025/09/30

この時代の嫁と舅のの確執といえば、それまでだが、今も通じる世界。世の中はかくも変わらないもの。でも少しは変わっているとも言える。 後100年後には、もっと良い世界に少しは変わっているだろうか

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2025/09/03

歴史は男性の歴史とはよくいったものだ。でも有吉佐和子さんの小説にかかれば、歴史が登場人物の墓の大きさ程度のもので、墓に入るまでが歴史であり、人の人生だとしみじみとわかる。

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2025/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

嫁姑問題が大きく見えるけど、女性たちの献身は結果を出した男性の陰に隠されてしまうとか、女性がいかに尊重されていなかったかっていうこの時代の背景もよく分かる本だった。この時代に限らず昔から今までそうだけど。

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2025/05/07

凄まじい献身物語、おぞましい嫁姑 男のエゴ 世界初、全身麻酔による乳がん手術成功者 通仙散(麻酔剤)成就

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2025/04/21

約200年前に麻酔剤を作り、それを使って乳癌手術を日本人がしていたなんて意外、と思った。 でもこの本の主題はそこにはなく、それを支えた妻と母、そしてその家族。今では考えられないほどの封建的な考えがあったことに驚かされる。

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2025/04/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

嫁姑の冷ややかな戦いの凄まじさ。花岡青洲という歴史に残る医者のもとで繰り広げられる。 表面に出てこないだけに恐ろしい。でも、ずっと目立たなかった小陸は「嫂さんが勝ったからやわ」と二人の戦いを見抜いていた。 もしかすると今でも同じような戦いが行われているのかもしれない。

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2025/04/14

華岡青洲自体は知らなかった。 それでもやっぱり有吉佐和子は間違えなくおもしろかった。 華岡青洲の妻と母の嫁姑問題の話。 今回も女性の気持ちが細かく描かれている。 まず、美しい母に請われて青洲が勉強中で家にいない中、結婚する。 青洲が帰ってくるまでは本物の親子のように仲睦まじく暮ら...

華岡青洲自体は知らなかった。 それでもやっぱり有吉佐和子は間違えなくおもしろかった。 華岡青洲の妻と母の嫁姑問題の話。 今回も女性の気持ちが細かく描かれている。 まず、美しい母に請われて青洲が勉強中で家にいない中、結婚する。 青洲が帰ってくるまでは本物の親子のように仲睦まじく暮らしてきたのに、青洲が帰ってきた途端、勢力図が変わり憎しみ合いが始まるところが見事。 また、青洲が研究している麻酔薬の実験台に自分を使ってくれと嫁姑で争うのがすごい。 苦しんだほうが青洲の役立ち、相手より優位に立てると思う女の強さ、醜さよ…。 そして姑が亡くなった後、青洲の妹がずっと当人だけしか気づいていないと思っていた嫁姑の確執をずっと見て、感じてきたことや、自分は嫁に行かず嫁姑の問題に巻き込まれず幸せだったと嫁に言うところはゾッとした。。

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2025/03/28

第6回女流文学賞 第2回新風賞 江戸時代末期に世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。 本書はそれを側で支えた嫁姑の静かな熱き戦いの話。 全身麻酔という医療技術を得るためには努力だけでなく、知られざる犠牲があったことにぞっとした。 麻酔がない時代では、癌に気付いても...

第6回女流文学賞 第2回新風賞 江戸時代末期に世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。 本書はそれを側で支えた嫁姑の静かな熱き戦いの話。 全身麻酔という医療技術を得るためには努力だけでなく、知られざる犠牲があったことにぞっとした。 麻酔がない時代では、癌に気付いても手術ができずただ経過を待つだけで、本人も家族もどんなに辛い思いで過ごしたのかと想像するだけで辛い。 麻酔の偉大さを思い知った。 嫁と姑の緊張感のあるやりとりや、醜く揺れてしまう心情がひしひしと伝わってきて、とてもおもしろかった。

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2025/02/19

華岡流医術の生みの親としてその名を馳せる華岡青洲の妻、加恵のお話。 加恵は天明2年、華岡家へ嫁ぐ。(21歳前後) 京都へ遊学している夫に代わって迎え入れてくれたのが、青洲の母である於継(おつぎ)だった。 於継は美人で賢く、何をしても髪の毛1本すら乱れない完璧な人だった。 加恵...

華岡流医術の生みの親としてその名を馳せる華岡青洲の妻、加恵のお話。 加恵は天明2年、華岡家へ嫁ぐ。(21歳前後) 京都へ遊学している夫に代わって迎え入れてくれたのが、青洲の母である於継(おつぎ)だった。 於継は美人で賢く、何をしても髪の毛1本すら乱れない完璧な人だった。 加恵はそんな於継を羨望の眼差しで見ていた。 義娘である加恵に対しても、実の娘のように接してくれた。 しかし、夫(於継の息子)の帰郷と同時に、於継の態度に陰りが出始める。 青洲の愛を巡って、2人の間で繰り広げられる女の戦い。 静かな軋轢は日を追うごとにエスカレートする。 遂には体を張って… この時代に「嫁ぐ」ということが、全く血の繋がりのない人間が一家で暮らすということが、どれだけ孤独で、過酷な事なのか物語っている。 於継も同じ道を通り、耐えてきたのだろう。 常に緊張感をもって生きてきたのだろう。 だからこそ、最愛の長男だけは誰にも取られたくなかったのかもしれない。 最後に、医学の発展に関与した人々に心から感謝したいと思った。多くの人間や動物たちの犠牲の元、現代医療があるのだと考えさせられた。

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