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華岡青洲の妻 の商品レビュー

4.2

104件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2017/08/25

日本の小説では一番好きな作品かも。 旦那を立てるという、本来控えめな妻の立場なのに、全然違う。主人公のあの芯と意志の強さに、つくづく感嘆。 女って、大変だよなぁ…。

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2017/02/18

嫁姑って今でもこんな心境なんだろうな。 周りを見ても、母、息子、嫁を取り巻く思いはこんな昔から変わらないものだと思った。 最後まで二人の確執が続いていたのも現実味があった。 遠く離れて暮らす、夫の母もこんな思いなのかしら。 私には加恵さんほどの愛はありませんが(笑) ド...

嫁姑って今でもこんな心境なんだろうな。 周りを見ても、母、息子、嫁を取り巻く思いはこんな昔から変わらないものだと思った。 最後まで二人の確執が続いていたのも現実味があった。 遠く離れて暮らす、夫の母もこんな思いなのかしら。 私には加恵さんほどの愛はありませんが(笑) ドラマ化されてたの知らなかったので、見たかったな

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2016/09/21

切れ味、迫力あり。芝居にもなり有名な作品であるからこそ、だいたいのストーリーもわかっていて読んだ気になっていたが、それはもったいないことだ。きちんとこの文章を読むべきだ。これぞ小説だ。

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2016/07/09

「生まれてくるのが華岡の家の者というなら、産もうとしている加恵は華岡家ではまだ他人なのか。加恵の歯も舌も胃袋も、華岡家の代継ぎを養うための杵と臼のような道具でしかないというのか。」 再び有吉佐和子。読むとそうそう、有吉佐和子といえばこれこれと頷くような女の妬みや情念の世界に引き...

「生まれてくるのが華岡の家の者というなら、産もうとしている加恵は華岡家ではまだ他人なのか。加恵の歯も舌も胃袋も、華岡家の代継ぎを養うための杵と臼のような道具でしかないというのか。」 再び有吉佐和子。読むとそうそう、有吉佐和子といえばこれこれと頷くような女の妬みや情念の世界に引き込まれる。 社会に役立ったり誰かを助けることができるなら、自分の命は惜しくないと思わないこともないが、やはり人間自分が結局一番可愛かったりして自身を売ることなどできない。 医者の妻、医者の親であれ、自分の命を懸けてまで麻酔の実験台になると思うであろうか。 加恵の気持ちは想像できる。売られた喧嘩は買わねば。女に嫉妬されたら必死で守らなければ。それが義母であろうと。でも、まだ於継の心情はわからぬ。いつか愛しい息子などを産み育て、お嫁さんをもらう日がきたらわかるのだろうか。 華岡青洲は、世界で初めて全身麻酔手術に成功した医者(江戸時代)。

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2016/05/19

多分学生時代以来の再読、やっぱ有吉佐和子は書ける作家ですな。この間読んだ本はなんやったのか? さておき女の情念でしょうか?怖いなぁ、嫁姑の怨念に満ちた争いもそうだが、姉の透徹さも。それを見て無ぬ振りというか、多分本質的に分かってないんだろうな、男は。(男)社会・歴史上での評価との...

多分学生時代以来の再読、やっぱ有吉佐和子は書ける作家ですな。この間読んだ本はなんやったのか? さておき女の情念でしょうか?怖いなぁ、嫁姑の怨念に満ちた争いもそうだが、姉の透徹さも。それを見て無ぬ振りというか、多分本質的に分かってないんだろうな、男は。(男)社会・歴史上での評価との落差含めて上手く描かれていて、ほんとすらすらと読める(褒め言葉としての)王道娯楽小説です。 ところで本作、史実を歪曲してるとか何とかいった論争があったやに聞いておるのですが、小説に何故そんなことを言う?よく分からん、まさに言い掛かりと思うのだが、時代が時代だったということなのかな?すいません、よく承知していないのに詰まらん戯言を最後に記しまして。

Posted byブクログ

2016/03/25

世界に先立つこと40年弱、1804年の日本に世界で初めて全身麻酔術を成功させた人がいたことを、この本で初めて知りました。注目すべきは手術の腕ではなく、麻酔を作り上げたという功績。 当然ながらマッドサイエンティストのように人体実験を繰り返してたどり着いたわけでないにせよ、最終的には...

世界に先立つこと40年弱、1804年の日本に世界で初めて全身麻酔術を成功させた人がいたことを、この本で初めて知りました。注目すべきは手術の腕ではなく、麻酔を作り上げたという功績。 当然ながらマッドサイエンティストのように人体実験を繰り返してたどり着いたわけでないにせよ、最終的には人間での臨床は欠かせない。 そこで最終的には、母と妻が自らその実験台にと手を上げた。そして、臨床を経てついに手術は成功。 どう考えても美談として語られる内容。 実際に、きっと美談として語り継がれてきたんだと思います。それを、まさかこんなにも深い女性の業を見せる作品に描くとは、相変わらず有吉さんの底知れなさに慄きました。 美しいだけの話では終わらせない、というのは、 美しいだけのものなんてないんだ、という真実を伝えようとする潔いまでの著者の覚悟を映し出しているように感じます。 よく言う嫁と姑の確執ですが、そもそも同じ舞台で戦うことができないこの両者に、決着なんてつけようがない。 愛を交わせる妻が相手では姑は分が悪いけれど、 我が子を生み出したという深い繋がりには、妻は太刀打ちできない。 どちらにとっても唯一無二で大切なものだから、不毛だとわかっていても「その人にとって自分が特別である」と思いたいし、そう認められたいんでしょうね。 気持ちは、わからないでもないです。 でもその想いの強さというのは、渦中の人には見えなくとも、端から見ているとなかなか壮絶でしょうね。 華岡青州の功績はもちろん素晴らしいものですが、小説として日本の医療界の一幕を世に知らしめた著者の功績も素晴らしいものだと思います。 本当に、いいものはいつまで経っても色褪せない。

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2015/11/21

世界最初の全身麻酔による乳がん手術に成功した華岡青洲。麻酔薬の通仙散を完成させる為に自らを実験台にと申し出た妻と母。美談かと思いきや青洲の愛を得んとする女の争いなのでありました。 いやー怖い怖い。有吉佐和子さんの描く女性はドロドロしていて、読むたびに女性が怖くなっていきます。特に...

世界最初の全身麻酔による乳がん手術に成功した華岡青洲。麻酔薬の通仙散を完成させる為に自らを実験台にと申し出た妻と母。美談かと思いきや青洲の愛を得んとする女の争いなのでありました。 いやー怖い怖い。有吉佐和子さんの描く女性はドロドロしていて、読むたびに女性が怖くなっていきます。特に母の執念がきりきりとねじ込まれてくるように感じます。 義理の妹が亡くなる時につぶやいた、私は嫁がなくて幸せだったという言葉が印象的でした。

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2015/10/27

やっぱり有吉さんの文章力はすごい。 やめられない、とまらない。 けれど、女の業とはかくもすさまじいものなのかと。 有吉さん定番の、顔も美しいけど、中身も素晴らしい女性、美っつい於継さんの姿に、私も見た目は、現状レベルだとしても、いつも居住まいがきちんとしているお上品な女性にな...

やっぱり有吉さんの文章力はすごい。 やめられない、とまらない。 けれど、女の業とはかくもすさまじいものなのかと。 有吉さん定番の、顔も美しいけど、中身も素晴らしい女性、美っつい於継さんの姿に、私も見た目は、現状レベルだとしても、いつも居住まいがきちんとしているお上品な女性になりたいものだと思っていたのに、なんとまぁ烈しいお人であること・・・。 みんなの賞賛の眼・声がその人をより美しくするのはわかるけれども、家事をしつつも日に何度もお化粧を直し、着物を直しというところまで徹底しているかと思うと、世の中の綺麗な人を見るのが恐ろしくもなる。 そしてその於継さんに勝つ加恵さんもすごい。 姑に勝つことと夫の愛を得ることがイコールなのが、またなんとも・・・。 結婚とは恐ろしい。

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2015/06/01

華岡青洲の母と妻は自らを人体実験に捧げた。 しかし、行いの見かけの美しさの裏では、2人の女がお互いよりも優位に立とうと意識を張り巡らせて争っていた。 最後の華岡青洲の妹に当たる人物が語った言葉が印象的。 嫁にも姑にもならずにいられたことが幸せだ、と。 一番恐ろしかったのは華岡青...

華岡青洲の母と妻は自らを人体実験に捧げた。 しかし、行いの見かけの美しさの裏では、2人の女がお互いよりも優位に立とうと意識を張り巡らせて争っていた。 最後の華岡青洲の妹に当たる人物が語った言葉が印象的。 嫁にも姑にもならずにいられたことが幸せだ、と。 一番恐ろしかったのは華岡青洲だったのか? 当時は個人が幸せに生きることを最優先にできなかった時代。 家族のひとりひとりが「家」を繁栄させるための道具としてあることが当たり前だった時代。 結局それが一番恐ろしいものだと思った。

Posted byブクログ

2015/05/04

華岡青洲というのは、世界ではじめて全身麻酔による がん摘出手術を成功させた人なんだそうです 全身麻酔の技術を確立させるため、人体実験もおこなったが その際に献体としたのは、自らの妻と母親であった 嫁姑の間柄で、家庭を舞台に無言の争いを繰り広げていたふたりは 今回もまた、どちらがよ...

華岡青洲というのは、世界ではじめて全身麻酔による がん摘出手術を成功させた人なんだそうです 全身麻酔の技術を確立させるため、人体実験もおこなったが その際に献体としたのは、自らの妻と母親であった 嫁姑の間柄で、家庭を舞台に無言の争いを繰り広げていたふたりは 今回もまた、どちらがより青洲の役に立てるかと 張り合うように未完成の劇薬を飲むのである 後遺症どころか、狂死の可能性も知った上でそうなのだから それこそ一種の宗教的狂気というべきだろう 肉体をより深く傷つけたほうに愛の証が立てられるというのは 負けたものに勝利が宣せられる、倒錯的チキンレースにほかならぬ その結果は一読していただくとして 問題は、そのようなふたりを、周りの人間がどう見ていたか ということなんだ 一度も嫁ぐことなく世を去った青洲の妹は、死の間際において 結婚できなかったことを、むしろ幸福であったと言う もちろん、嫁姑争いの醜さをずっと目の当たりにしてきたためだ そしてさらにはそれを利用し ふたりに毒を飲ませた青洲こそもっとも怖るべきもので 自分はふたたび生まれ変わるとしても 女にだけはなりたくないと言う ここにおいて明らかにされるのは フェミニズムの本質にある処女信仰のようなもので やはり宗教的狂気は見て取れるが なにもそれに敗北感を感じることはないよな、と僕は思ったよ

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