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個人的な体験 の商品レビュー

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117件のお客様レビュー

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主人公と火見子の会話…

主人公と火見子の会話や、綿密な心理描写がとても面白くて一気に読めました。短編よりも読み易かったです。作者自身によるあとがきも素敵でした。

文庫OFF

大江作品としては賛否…

大江作品としては賛否両論あるようですが、感動しました。自分のこどもに障害があることを受け止めるまでの主人公の懊悩が単なる奇麗事として描かれていない、美談だけではないところに。短編とまったく違う味わいです。

文庫OFF

ほかの大江健三郎の著…

ほかの大江健三郎の著作同様に、読みづらく、途中退屈もしました。ただ、彼の作品にはひとつひとつテーマがあります。後半になるにしたがって、作者のメッセージがすごく伝わってきました。「大人になる」とはどういうことか。十代、二十代の若者におすすめします。

文庫OFF

追い込まれゆく人間の…

追い込まれゆく人間の濃厚な心象描写に、息が詰まります。

文庫OFF

2026/04/10

火見子とバードの妻という「女」の描き方。 火見子はファムファタール的であるがバードにとってあまりに都合の良い女。バードの妻は名前すら語られない。「赤ちゃん、どうしたかねえ」と呟き、バードに「みすぼらしい溝鼠みたいね」と言う妻。女の存在、立ち位置の描き方へのモヤモヤは、この作品が6...

火見子とバードの妻という「女」の描き方。 火見子はファムファタール的であるがバードにとってあまりに都合の良い女。バードの妻は名前すら語られない。「赤ちゃん、どうしたかねえ」と呟き、バードに「みすぼらしい溝鼠みたいね」と言う妻。女の存在、立ち位置の描き方へのモヤモヤは、この作品が62年前が故、と一旦頭から追い出す。ここには書いておく。 生々しく、汚らしく、臭い。よくもここまでこのように書けるなと。(それが素晴らしいところ) 読み手は容易に、自分の不具の赤ちゃんの死を望む人間の心境に入っていける。それはそれは気分が悪く吐きそうで、実際にバードが嘔吐するシーンは本気で気持ちが悪くなりそうだった。バードが自分のなかの恐らく一番見たくない、醜悪な部分を直視しながら進む数週間、何年にも感じられるような地獄を一緒に血反吐を吐きながら進んでいくようだった。 最後の選択に私は安易に安堵してしまうが、それで良いんだと、著者自身のあとがきを読んで思った。

Posted byブクログ

2026/04/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

社会的役割と感情との乖離がある男が、その乖離と責任から、情欲と退廃に逃げる物語 具体的には頭に腫瘍のある奇形児が生まれてしまい、それを妻に見せず義母と共犯で殺す合理的な役割と、妻の手前や仕事先や病院で与えられる感情的な父親としての役割とに板挟みされた主人公が、そのどちらの演技も必要とせず、理解と議論とカウンセリングと性の解消を与えてくれる母親のようなヒミコに傾倒していく。 赤ん坊を確実に殺してヒミコとアフリカに駆け落ちしようとしたところで、主人公が昔裏切ったゲイの経営するバーに行くことになる。そこで突如、逃げ続けた結果どんな自分を守りたいのか?と自分に問いかけてみたところ、答えは出ず、ただ逃げるための逃避でしか無かったことに気づく。 最終的に赤ん坊の手術を受けたら、脳ヘルニアではなく、ただの腫瘍だったというオチ。 メタファーがすごく多く、主人公が極限状態で全てに対して疑心暗鬼になっている主観を追体験で来てたのしかった。これは大江健三郎の文体だから、"この主人公が'という訳ではないんだろうけど。 特児室での看護師の権力と監視の試練、医者に無理な反論を続け"白便"という言葉を生み出した荒唐無稽なチビ男、義眼の医者、ヒミコの同級生である守護霊の狸のような女、3p僻のある少年に、ハゲ頭の産婦人科医、ドラゴンのジャケットを着たハイティーン。 自分とバードを重ね合わせて、社会的役割から逃れたい気持ちに共感していたから、最後急に正気に戻られて裏切られたような気持ちになった。 自分はきっと、ヘッセの荒野の狼でも感じたけれど、自分よりも頭が良く寛容でカウンセリングのような対話をしてくれる女性が好きなんだな

Posted byブクログ

2026/03/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

頭が2つに見える赤ん坊が生まれ、夢を諦めて家庭に縛りつけられることに絶望を感じ、火見子との性行為に溺れる鳥。 自分の理想ではない子供を恥だと思って、衰弱死を願う鳥に心底呆れ返りイライラしたけど、みんな口には出さないだけでそれぞれに絶望があって、倫理からはかけ離れたような希望を抱くこともあって、そのうちに現実を受け入れていくことは確かにあるから、鳥のこの物語も成長とよべるのかもしれない。

Posted byブクログ

2026/02/24

人生でこれからも読み続けていくであろう一冊になりました。 畢竟、人は自分のために生きるべきである。うん、きっとそうです。人生で遭遇する幸も不幸も、それに伴する個人的な選択は必ず良いものではあるとは言えない。しかーし!余生での幸を慮り、果てしなく永い時間思い悩んで出した選択であれ...

人生でこれからも読み続けていくであろう一冊になりました。 畢竟、人は自分のために生きるべきである。うん、きっとそうです。人生で遭遇する幸も不幸も、それに伴する個人的な選択は必ず良いものではあるとは言えない。しかーし!余生での幸を慮り、果てしなく永い時間思い悩んで出した選択であれば何もその先を思いやられる必要なんてない!お前の選択だ!エレンイェーガーも言ってました。お前が始めた物語だろってね。これはフランスの実存主義者の言葉ですか? しかーし!! バードよ!君は表現力が豊かすぎるあまりグヌヌ!!と言う気持ちにさせられましたよ!もうかなんわ!男はセクースをしたくなるとIQが著しく低下するとよく言いますが、あなたは睾丸でさえも人間の脳の倍以上の知能があるのではないですか!本当にグロいです!グロいグロいグロい!でも癖になります!これはピータンです。ピータン本です。

Posted byブクログ

2026/02/01

決断する瞬間は他人から見ると案外脈絡のない突発的な気持ちの隆起から生じるものなのかもしれないと思った ふつふつと欺瞞に欺瞞を重ねて生きることは、充実した責任感と引替えに短絡的な楽さを得ること 責任感の重さは心の負担と必ずしも比例しないことは納得できる部分があった

Posted byブクログ

2026/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

火見子の多元宇宙論を聞いて余計に頭を悩ませる鳥のシーンが、読み終えた後も頭に残る。それは慰めにはならずむしろ鳥を悲観的にさせてしまったから。 鳥と正反対の人間として、医者と闘う肝臓のない子の父親や女プロデューサーを登場させるのが良かった。鳥の目からは彼が理想であり、同時になぜそんな子のために行動できるのかと奇怪に思える人物だったのではないか。エゴイズムのかけらもない彼は昔の日本人らしいと私には映った。彼女は鳥の自己欺瞞を指摘するが、父親とは違い責任の無い立場から自由に見解を述べているだけなので反駁する気持ちが強く鳥に宿ったのだと思う。鳥の意志を揺らがせるという点では2人は共通しているが。 しかし奇怪な赤ん坊と職業の喪失という大事件が立て続けに起こったことで得たものもある。それは陥穽の恐怖からの自由や日常生活の余裕。皮肉でしかないが今の私にとって羨ましくもある。 火見子という自己欺瞞を後押しする存在はこの物語の中で群を抜いて重要な人物だろう。性衝動のはけ口となり、アフリカに行きたいとまで言ってくれる彼女は理想的な存在であるに違いない。でもその誘惑というよりかは、一つの魅力的な選択肢を断ち切り、最終的に鳥が赤ん坊と共に生きる選択をしたのは普通なし得ないことだと思う。それに赤ん坊が想定よりもましな症状で、義父や妻からの信頼も回復するという結末はそれこそマルチバースの一つ、正解の選択肢を選び続けた末の偶然の結果のように思える。そこまで限定された結末を用意する必要があるのかと思ったが、それについての見解を作者があとがきで述べてくれていて嬉しかった。 火見子の視点から見ると鳥はエゴの塊で、振り回され続けた哀れな存在に見えるが、最初からそのエゴを理解した上で受け入れていたのがはっきりと描かれている。そこがとても秀逸だと思った。

Posted byブクログ