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孤高の人(上) の商品レビュー

4.2

147件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

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2017/08/29

新潮文庫の2014選抜だそうで、書店に平積みの本書を手に取った。山岳小説のロングセラーで、タイトルだけは知っていた。実在した加藤文太郎の山行と、第二次大戦に突入しようとする暗い時代に、会社の人間関係や女性への思いを織り交ぜた濃い小説だった。不器用なまでに人付き合いの苦手な加藤に腹...

新潮文庫の2014選抜だそうで、書店に平積みの本書を手に取った。山岳小説のロングセラーで、タイトルだけは知っていた。実在した加藤文太郎の山行と、第二次大戦に突入しようとする暗い時代に、会社の人間関係や女性への思いを織り交ぜた濃い小説だった。不器用なまでに人付き合いの苦手な加藤に腹立たしい思いも感じたが、書名どおり孤独を友とする人の性なのだろうとも思った。上巻の最後に「もし、この契約を破った場合は、山はお前の生命について責任が持てない」という加藤の中の単独行のなかの独白が、その後の結末に暗い影を落としている。

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2017/02/14

単独行こそ登山と考えてしまうのはなぜなのか。ストーリー自体にはベストセラーになるには通俗性が大事だよねと納得する。

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2016/12/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

加藤文太郎という単独行で日本の冬山登山を行い、ヒマラヤ登頂を夢見ていた、一種変わり者と言われていた登山者の物語である。 文太郎が登山をするのは、マロリーが言った、そこに山があるからだというものではなく、たんに汗をかくためだというものであった。一人をこのむ文太郎だったが、単独登山をしていると、逆に一人を恐れ、寂しがるという自分自身がいることにも気づいていた。 彼は、山での遭難は、複数で登ることによって、誰かに頼ってしまうということが最も問題だということを悟っていた。そんな彼ではあるが、唯一、どうしても付いていってやらなければならないと思うような後輩がいて、その後輩のために命を落としてしまう。 著者は、富士山観測所にいるころ、文太郎本人にあったという。経験豊かな著者だから描写しえる、畏怖すべき雪山の実態が浮かび上がってくるような本だ。 全2巻

Posted byブクログ

2016/05/02

内容(「BOOK」データベースより) 昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力...

内容(「BOOK」データベースより) 昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

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2015/09/30

面白かった。これぞ本格山岳小説の最高峰。 これを読んだあとでは「山ガール」も形無し。 2014/08

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2015/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

H27.9.15~H27.9.21 (あらすじ) 昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった”単独行の加藤文太郎”。 その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。 (感想) 戦国・近代戦争時以外の人物伝を読むのはとても珍しい気がします。山岳ものって初めてだけどどんなかな?と思ったら、とても面白い!山以外の、会社や恋愛のくだりも楽しく、すぐに読み終えることができました。 上巻は、15歳で神港造船所の研修員として所属し、山を知り、夏山~冬山に魅せられ、富山から長野への単独縦走を成功させるまで。

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2015/08/30

山を登るのが好きだから登山家になる。登山はそんな簡単でシンプルなものではない。文太郎のように自分の肉体や精神がどこまで耐えれるかを極限状態まで試し、日常生活でも全て登山のことを考えて鍛える。自己を証明するために山に登る。かっこいい。でも私は景色を楽しむために登る登山でいいな。

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2015/07/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

実在の人物であるということに驚く。 私が富士山に登って帰ってきた時に、母親が無事に帰ってくるかずっと心配していたと妹から聞かされた。 山は美しい自然があり癒しもあるけれど、人の命を奪う危険もある場所であることを忘れてはいけない。 加藤文太郎の孤独で不器用で人付き合いが苦手でありながらも、山にも仕事にも家族にも真っ直ぐな姿が印象に残った。 だからこそ、何よりも大事な妻と我が子との別れを彼が極寒の雪山の中でどのように迎えたのかを想像するだけで、どうしようもなく悲しみがこみあげてくる。 ☆☆☆ 彼はいまや山そのものの中に自分を再発見しようとするのだ。それは苦行によって悟りをひらこうとするバラモン僧とあい通じるものがあった。困難な立場に追いこまれれば追いこまれるほど、加藤文太郎は人間的に成長していったのだ。

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2015/06/08

この物語の主人公である加藤文太郎は実在した人物だというから驚く。 司馬遼太郎の『竜馬がゆく』と同じように、事実をベースに隙間は作者の想像で埋めているのだろうが、それにしても超人的なペースで山を移動したものだ。 やはり、超人的なところがある人間は一風変わったところがあるケースが多い...

この物語の主人公である加藤文太郎は実在した人物だというから驚く。 司馬遼太郎の『竜馬がゆく』と同じように、事実をベースに隙間は作者の想像で埋めているのだろうが、それにしても超人的なペースで山を移動したものだ。 やはり、超人的なところがある人間は一風変わったところがあるケースが多いのだなと感じた。

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2015/06/01

新田次郎の山岳遭難モノは期待を裏切らない。途中まで「聖職の碑」を抜いて、新田次郎本で一番好きになるかも…と思うほど夢中になった。加藤文太郎が単独行を究めていく過程が切ないほど理性的で、最初の冬山単独行で、ものすごく人恋しかったのに、それを乗り越えてしまったのがすさまじい。理系的な...

新田次郎の山岳遭難モノは期待を裏切らない。途中まで「聖職の碑」を抜いて、新田次郎本で一番好きになるかも…と思うほど夢中になった。加藤文太郎が単独行を究めていく過程が切ないほど理性的で、最初の冬山単独行で、ものすごく人恋しかったのに、それを乗り越えてしまったのがすさまじい。理系的な頭で自分を常に冷静にみつめ、計画的に冬山の備えをする、その描写も大変興味深かった。新田次郎は相当この主人公にシンクロしてたんだろう。新田次郎作品は、登場人物に死が近づいてくると描写がものすごくスピーディになり、無慈悲になる。そして最後の死の瞬間は、スローダウンし、優しさがほの見える。毎回、この描き方に鷲掴みにされてしまうのだ。なお、結局「聖職の碑」を上回らなかったのは、女性たちの描き方がちょっとステレオタイプで、イマイチだったからなのでした。男の人たちの描き方はとても面白かったのに。。。

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