強力伝・孤島 の商品レビュー
強力伝 驚いたことに、実際に大理石の風景指示盤を白馬岳山頂に運んだ富士山観測所の強力である小見山正さんをモデルにした小説で、その風景指示盤は現存するとのこと。Webサイトで調べると石を運んでいる様子の写真まで見られた。猿倉から大雪渓を経て白馬岳につづく道は昨年歩いただけに描写され...
強力伝 驚いたことに、実際に大理石の風景指示盤を白馬岳山頂に運んだ富士山観測所の強力である小見山正さんをモデルにした小説で、その風景指示盤は現存するとのこと。Webサイトで調べると石を運んでいる様子の写真まで見られた。猿倉から大雪渓を経て白馬岳につづく道は昨年歩いただけに描写される風景を心に描きながら読み進められた。 八甲田山 八甲田山の雪中行軍遭難事件で最初に発見された後藤伍長をモデルにした「江藤伍長」のお話。短編ながら次第に伍長の意識が朦朧として、身体が重くなっていく過程がよく描かれている。 凍傷 富士山頂に測候所を建設するために、冬季の富士山頂に滞在が可能であることを身をもって示した佐藤順一さんの執念がすごい。 おとし穴 落とし穴に落ちた万作と穴にいた山犬の対峙を描いた、非常に読み応えのある短編。 山犬物語 愛する娘と妻を山犬に奪われた太郎八が、仇を返す話。なんとも壮絶なストーリーである。 孤島 鳥島の測候所員の軋轢と鳥島の動物たち、特にアホウドリの話。昔に書かれた作品ということもあるが、労働環境としては過酷で、それに人間は動物に残酷なことをしている。
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久ぶりに新田次郎の作品を読んだ 山 海 風の厳しさに挑む者たちの話 自然の厳しさの中では 人は逆らうのは厳しい 状況を把握して冷静に対応できる 知力 体力 冷静さと 日頃の鍛錬が大事と考えさせられる
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自然の恐怖やそこに生きる人々の強さを感じる一冊だと思った。どの物語にも共通して仕事に対する熱意や自然と共存する中で生まれる人間の逞しさに読み進めるうちに新田作品に引き込まれていく感じがした。
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徳川家康の遺訓を思い出した。 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。 この小説は人の一生ではないかと思ってしまった。重荷(本書でいう巨石)は人それぞれだろうけど。
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直木賞受賞の強力伝を含む6編。 作者の初期作品群とのことだが、登場人物の心理描写がリアルで、自然現象についても氏の体験したことであろう、ただの想像では書けないような描写が凄い。 「八甲田山」は後の作品であろう長編とは違う凝縮した展開でテンポよく読める。「孤島」については実際に観測...
直木賞受賞の強力伝を含む6編。 作者の初期作品群とのことだが、登場人物の心理描写がリアルで、自然現象についても氏の体験したことであろう、ただの想像では書けないような描写が凄い。 「八甲田山」は後の作品であろう長編とは違う凝縮した展開でテンポよく読める。「孤島」については実際に観測に参加した観測員に取材したのだろうか、淡々としているが人の心理描写が面白い。「凍傷」のような過酷な場所の中で比較的安全な場所で立てこもるシチュエーションが何故か好きだ。
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新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。 この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」 他、初期の6編が収録されています。 「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。 これが、後の八甲田山死の...
新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。 この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」 他、初期の6編が収録されています。 「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。 これが、後の八甲田山死の彷徨に繋がるんですね。 「強力伝」は、ほぼデビュー作とのこと。 新田次郎さんは、気象学者で気象庁の技官だったそうです。 富士山頂観測所に勤務していた時の体験で、モデルになった人物も紹介されていました。 当時、山へ荷物を運び案内を仕事としていたのが強力。彼らの仕事に対する真摯な態度や信頼していた様子が伺われます。 ただ、この小説は、それだけでなく、強力という仕事に責任と自尊心を持ち過ぎた一人の男性が、無理な仕事で身体を痛める様子が辛い。 他の作品も 雪山を経験して風の計測を仕事として 現場に携わってきた作者の臨場感ある短編集です。
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引き締り緊張感のある文体。まるで目の前で事が展開されているような緊迫感。 まさしくこれはよく出来た短編ハードボイルド小説集。 直木賞を取った「強力伝」も良いが、思わぬ事で落とし穴に落ち、狼と相対する事になった男を描いた「おとし穴」が秀逸。二進も三進も行かない状況でも、お金の事...
引き締り緊張感のある文体。まるで目の前で事が展開されているような緊迫感。 まさしくこれはよく出来た短編ハードボイルド小説集。 直木賞を取った「強力伝」も良いが、思わぬ事で落とし穴に落ち、狼と相対する事になった男を描いた「おとし穴」が秀逸。二進も三進も行かない状況でも、お金の事を考える人間の性と狼との対決の緊迫感はただものではない。また、そのラストにも衝撃を受ける。 今まで新田次郎の長編作品は何作か読んできたが、短編集は初めて。もしかしたら氏の本分は短編にあるかもしれないと感じさせる作品集であった。氏の気象官としての経験も存分に発揮されている。
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短編6作どれも大自然の摂理に抗う人の生き様と孤独が描かれており、ともすれば生死の生臭さすら漂わせる描写に五感が刺激され、読み進めるにつけ引き込まれます。 大自然vs人の信念。大自然は山海や自然現象、時には野獣となって抗う人間と対峙し、命のやり取りに転じます。自然の懐に抱かれずし...
短編6作どれも大自然の摂理に抗う人の生き様と孤独が描かれており、ともすれば生死の生臭さすら漂わせる描写に五感が刺激され、読み進めるにつけ引き込まれます。 大自然vs人の信念。大自然は山海や自然現象、時には野獣となって抗う人間と対峙し、命のやり取りに転じます。自然の懐に抱かれずして人はどんな未来が待っているのだろうなどと思いながらの完読でした。私が生まれる以前の作品ばかりですが、ストレスフリーで読めました。 『強力伝』力み過ぎて肩が凝りました。 『八甲田山』『凍傷』皮膚がチリチリとします。 『おとし穴』まんが日本昔ばなしに出てきそうな話で結末がなんともイタイ。 『山犬物語』『孤島』山と海、背景は違えど生臭さが鼻をつきます。 五感で味わっていただきたい作品です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
R4.2.26~3.5 (きっかけ) ・新田次郎はすでに数冊読んでいて好み。 ・以前何かのレビューで気になっていた。 ・古本屋で100円で購入。 (感想) とても面白かった。 どれもよいのですが、あえて好き嫌いをつけるとこのような感じでしょうか。(最高★5) ・強力伝(★4) 180kgの巨石を背負って白馬山に上った強力の物語。 ・八甲田山(★3) 面白かったが、もともと「八甲田山死の彷徨」を読んでいたので物足りなかった。 ・凍傷(★3) 面白かったけど少し淡々としていたように感じた。 ・おとし穴(★3) 面白かったが…何か物足りない。 ・山犬物語(★4) 山犬に娘を殺された恨みを果たす男の物語。 ・孤島(★5) 所長の苦悩がとても良い。
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「強力伝」 凄まじい、想像を超える話しだ。体力よりも精神力、頑固力の塊のような人だ。 「八甲田山」雪の恐ろしさ、正気を失っていく人の不気味さが本を閉じたくさせる。 「山犬物語」「孤島」自然と自然の中に生きる生き物と比べてひとのか弱さ。 全編を通して自然の中に取り残された時、...
「強力伝」 凄まじい、想像を超える話しだ。体力よりも精神力、頑固力の塊のような人だ。 「八甲田山」雪の恐ろしさ、正気を失っていく人の不気味さが本を閉じたくさせる。 「山犬物語」「孤島」自然と自然の中に生きる生き物と比べてひとのか弱さ。 全編を通して自然の中に取り残された時、自分だったら生きていける自信が無くなるような過酷な状況が読んでいて辛かった。 だけと、また他の作品も読んでみたいと思った。
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