砂の女 の商品レビュー
最初は、こんな非生産的な生活をなぜするのか理解に苦しむ展開でしたが、読み進めいくと、根底にあるものは何ら自分と変わらなく、逆にシンプルで正直な生き方なのだと思った。生きるための拘りって必要なのか。難しい事考えず、思うように生きた方がいいのか。悩む。
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穴の奥に閉じ込められたら発狂するだろうなと思ったが、しかし彼は不幸だろうか?彼と私たちの人生にどれほどの違いがあるだろう。我々が希望や夢と呼んで大切に飾ってあるものも現実から目を逸らさせるために仕組まれた幻かもしれない。本当の自由とは?そして自由は存在するのだろうか?
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「欠けて困るものなど何一つありはしない」という言葉が、この作品の言いたいことだったのかと思った。結局主人公は、生活に適応し、欠けたものを顧みなくなっていることから、世の中の適応性を物語に寓していると思った。 比喩が独特で読みにくさを感じた。
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情景描写がイメージつかない箇所あったけど、人物の描写について没入することができた。ある意味異世界物の元祖。物語の結末は冒頭にも記載されており、なぜそのような結論に至ったのかという話。タイトルは砂の女ではあるが、主人公はまた別。女を見てる人視点で描かれる。
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安部公房にしては読みやすい部類 虫取りにきただけなのに… 怒り、希望、絶望、諦観 感情の移り変わりが悲しげで 安部公房特有の絶妙後味の悪さがなお良し
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普段は点数化してるが評価するのが難しい。 個人的な感想としては、話の面白さや興味は78/100なんだけど、文章の美しさや文体、構成のしっかりさは120/100だと思った。 ここまで綺麗に文章を表現する緻密さを見たことない。 薄くて読みやすいだろうなーって思い手に取ったけど、内...
普段は点数化してるが評価するのが難しい。 個人的な感想としては、話の面白さや興味は78/100なんだけど、文章の美しさや文体、構成のしっかりさは120/100だと思った。 ここまで綺麗に文章を表現する緻密さを見たことない。 薄くて読みやすいだろうなーって思い手に取ったけど、内容の読み応えが凄くて、密度がとても濃く感じた。 読み手自身も狂わされてるのか、男の感覚が狂い始めたことを違和感なく読み進めてしまう。 あそこまで地上に出ることを望んでいたはずなのに、そのチャンスを逃しいつの間にか「郷土愛心」をすり込められ、次の日の砂の穴にいる自分を思い描いている。 〜⚠️ネタバレ⚠️〜 男が地上における自分の存在意義を見失っているのが良く分かるとともに、だからこそこの村で重宝されるような発見をしたことを誇りにさえ思っていそうなラストでとても驚く。 同じこと繰り返して言うが、ここまで男の変わりようがすごいのに違和感がない。 比喩や表現の緻密さの賜物なのであろう。 昔の文豪だから合わないかもな〜(過去の三島由紀夫より)って思っていたがスルスルと読めてしまった。 軽くオススメ出来る本では無いがじっくり考えながら読みたい本としてはピッタリだと思う。
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昆虫採集にある土地に来た男が、知らぬうちに砂地の穴の下に閉じ込められる。中に入る女と家があり、そこで生活しながら集落のために仕事をすることを強いられる。色々な手段で抗おうとする中で、男の内面が様々に揺れ動いていく。最後の男の行動を読んだあと、虚しさと驚きにしばらく呆気にとられてし...
昆虫採集にある土地に来た男が、知らぬうちに砂地の穴の下に閉じ込められる。中に入る女と家があり、そこで生活しながら集落のために仕事をすることを強いられる。色々な手段で抗おうとする中で、男の内面が様々に揺れ動いていく。最後の男の行動を読んだあと、虚しさと驚きにしばらく呆気にとられてしまった。
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ぼくには、親戚にベラルーシ人がいる。 ベラルーシ人のお姉さんは、もちろんベラルーシに住んでる。経済学の教授らしい。それで、一度だけ会うことがあった。そのときにおすすめされたのが、この小説だったというわけだ。 ロシア語にも翻訳されたので読めるらしく。 そんなこともあって、日本人とし...
ぼくには、親戚にベラルーシ人がいる。 ベラルーシ人のお姉さんは、もちろんベラルーシに住んでる。経済学の教授らしい。それで、一度だけ会うことがあった。そのときにおすすめされたのが、この小説だったというわけだ。 ロシア語にも翻訳されたので読めるらしく。 そんなこともあって、日本人として読むべきだなと思い、というか、日本人のぼくが読んでいないことを恥ずかしく思ったので、読んだということだ。 内容は、厭な感じのもので、下心満載のキモい男が、砂の街へ迷い込んで出られなくなるような話だった。
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確かこれは、河合隼雄の「こころの声を聴く―河合隼雄対話集」を読んで、読みたいと思った本のはず。いや、もしかしたらそれは安部公房の「カンガルー・ノート」だったかもしれないけど…。 結末は、男が亡くなったか、集落で苦しみ続けてるものだと思って読み進めてたから、最後の最後に、そんなことになるのか!と驚いた。なるほど、「罰がなければ、逃げる楽しみもない」とこういうことだったのか。 これは、寓話…なのだろうか。 砂の集落の暮らしを抜け出したい男の気持ちはよく分かる気がするけど、抜け出したところで待っている日常もパッとしないこともわざわざ詳しく書かれているのは皮肉な話。 この本が面白い本なのかは分からないけど…果たして、自由とは、幸せとは、どういうことなのか、考えさせられるお話…ということで、名作と呼ばれているのだろうと思う。
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