高熱隧道 の商品レビュー
昭和11年に着工し…
昭和11年に着工した黒部第3ダムの隧道工事を描くノンフィクション。摂氏150度もの岩盤を掘り進める工事は過酷を極める。自然に立ち向かう人間たちが、いとも簡単に命を落としていく。国策として進められ、300余人の犠牲を強いられた工事など、今では考えられない。
文庫OFF
私の読書歴の中で最も…
私の読書歴の中で最も衝撃を受けた本の一つ。吉村昭という作家にはまったきっかけの本でもあります。黒部ダムは今でこそ観光地としてその名勝が有名ですが、その完成まで、何百人もの人名が失われた。自然の驚異に挑んだ無謀なる人間達の執念。淡々とした筆致が不気味でもあり、読後の感動もまた割り切...
私の読書歴の中で最も衝撃を受けた本の一つ。吉村昭という作家にはまったきっかけの本でもあります。黒部ダムは今でこそ観光地としてその名勝が有名ですが、その完成まで、何百人もの人名が失われた。自然の驚異に挑んだ無謀なる人間達の執念。淡々とした筆致が不気味でもあり、読後の感動もまた割り切れなさが残る・・・
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ノンフィクションというのが信じられないくらい壮絶な仕事内容。現代では考えられない忍耐力と根性と主従関係とお金の力。いや、考えられなくないのかもしれないけど。残業なし、有給、フレックス、〇〇ハラスメント。ホワイト企業とブラック企業。間違いなくこの建設会社は現代ではブラックであるが、...
ノンフィクションというのが信じられないくらい壮絶な仕事内容。現代では考えられない忍耐力と根性と主従関係とお金の力。いや、考えられなくないのかもしれないけど。残業なし、有給、フレックス、〇〇ハラスメント。ホワイト企業とブラック企業。間違いなくこの建設会社は現代ではブラックであるが、そんなことを言っていたら発電所が作れないとなると、ブラックであればあるほど、意義のある仕事のような矛盾がある。当時スコップを手に瓦礫をかき集めていた彼らもやりがいとか、これが社会のためとか、国が豊かになるためとか、全く思ってないのではないか。単に生きたいくため。家族を食わせていくため。この想いだけでここまで過酷な仕事ができ、環境に順応している彼らにはリスペクトしかない。
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大規模工事について、ふと興味を持ち手に取る。 200ページ程の内容で、割とすぐに読み終わる。 戦前の黒部第三発電所工事にまつわる灼熱の掘削作業についての物語。 100度を上回る熱を発する岩壁の中、黙々と掘削が進められ、坑夫が犠牲になっていく。 物語は彼らを指導する技師の目線で描...
大規模工事について、ふと興味を持ち手に取る。 200ページ程の内容で、割とすぐに読み終わる。 戦前の黒部第三発電所工事にまつわる灼熱の掘削作業についての物語。 100度を上回る熱を発する岩壁の中、黙々と掘削が進められ、坑夫が犠牲になっていく。 物語は彼らを指導する技師の目線で描かれていた。 作業日誌のように、作業の進捗と起きた出来事を中心に語られていく。 人の手が加わることを拒むような黒部峡谷の自然が、数多の試練を課してくる。 起きている出来事が現代の基準とは大きく異なる。 社会にとっての人命の軽さ、家族にとっては現代と同じく重い家族の命、太平洋戦争直前の緊迫感、行政組織の歪さ。それが説得力を持って描かれている。 しかし、命を賭す者と指示する者の構造は現代に照らし合わせても同じことが続いているように感じた。 短期間で死に直結することはなくとも、じわりじわりと死んでいっている労働者。 そんな重いテーマを感じた。
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リアルにあったことだからこそ戦慄。 現場作業員と監督者の間にある口には出せない水面下の思いや立場、考え方が生々しくも現実感をより引き立てる非情に溢れている。 知った上で富山に改めて行きたい
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圧倒的な読みごたえと面白さ、学びにあふれていた。 どこまでが真実なのかはわからない。緻密な取材による確かな骨組みと、その上に乗る人間ドラマ。 あとがきで登場人物は架空だと語られていた。恐らくそう大差ないやり取りは実際あっただろうし、真面目で極めつくす性分や帰属意識など日本人として...
圧倒的な読みごたえと面白さ、学びにあふれていた。 どこまでが真実なのかはわからない。緻密な取材による確かな骨組みと、その上に乗る人間ドラマ。 あとがきで登場人物は架空だと語られていた。恐らくそう大差ないやり取りは実際あっただろうし、真面目で極めつくす性分や帰属意識など日本人として共感できる部分も多い。 厳しく圧倒的な自然への挑戦。泡雪崩ホウナダレという言葉を初めて知った。人間がどうにかできるレベルではない。それでも立ち向かう人々の描写に心を打たれる。 日々上昇を続ける温度の不気味さの表現も素晴らしい。絶望感が重くのしかかってくる。 それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返す姿勢に感銘を受けた。 多数の犠牲者が出てしまった。戦争もそうだけどご先祖さまが礎となり守ってくれた日本を、我々もつないでいく責任がある。日々の暮らしで意識することはあまりないけど、ふとした時に思い出すきっかけになればいい。 ところで、文庫本の巻頭に地図が折りたたまれていて参考にしながら読むのに役立ちありがたかった。 が、一番重要なエリアが折り返し部分に当たっていて見づらく残念すぎる。
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★★★☆☆昔ながらにトンネル工事では人が死ぬことがあると聞いたことがあった。言い伝えのようなものだと思ってきたが、このことだったのか。戦争という異常な状況がからんでくるが、中止されなかったことが不思議。死ぬまでに1度は訪れてみたいなぁ。
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黒部第三発電所の建設に伴う隧道(トンネル)工事の記録文学。建設当時は日中戦争から第二次世界大戦へと突き進んでおり、阪神地区の軍需利用のためにもトンネル貫通は国策であったと思う。 人を寄せ付けない黒部峡谷の厳しい自然との戦い、最高温度166度の高熱岩盤との戦い、工事監督者と労働者...
黒部第三発電所の建設に伴う隧道(トンネル)工事の記録文学。建設当時は日中戦争から第二次世界大戦へと突き進んでおり、阪神地区の軍需利用のためにもトンネル貫通は国策であったと思う。 人を寄せ付けない黒部峡谷の厳しい自然との戦い、最高温度166度の高熱岩盤との戦い、工事監督者と労働者との戦いなど読者のすぐそばで人夫の息遣いや発破の爆発音などが聞こえてくるような臨場感がある。余談だが、先日入ったサウナは85度。ただ座っているだけで5分と持たなかった。この倍の温度で隧道工事に当たった人夫たちは筆舌に尽くし難い環境下だっただろう。私たちは多くの犠牲者、人夫たちの尽力の元、今の豊かな暮らしがあることを忘れてはならない。
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今では空気のように当たり前の存在となっている電力が、自然との格闘の末、築き上げられたものであることを記した記録文学。 170℃近い岩盤温度により自然発火するダイナマイトや泡雪崩など、想像をはるかに超える自然現象との死闘と、そこに当たり前のように払われる人命の犠牲によって、管理者...
今では空気のように当たり前の存在となっている電力が、自然との格闘の末、築き上げられたものであることを記した記録文学。 170℃近い岩盤温度により自然発火するダイナマイトや泡雪崩など、想像をはるかに超える自然現象との死闘と、そこに当たり前のように払われる人命の犠牲によって、管理者側と労働者側の間に生み出される不協和の描写にリアリティがあり印象的だった。 黒部の太陽の映画も見てみたが、上のような感情の機微が描かれている本作に対して、大味で淡々とストーリーが進むだけであり、長い割にはあまり楽しめなかった。 黒部の太陽の原作小説や、吉村昭の他の作品も読んでみたい。 また、黒部ダムは、立山に登山に行った時に、大汝山の山頂から覗いたことがあるだけなので、2026年にキャニオンルートが開通したら行ってみたい。今のところ、下ノ廊下を踏破する勇気はまだない。
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2025年7月21日、マツコの知らない世界の「ひんやり楽しい!観光トンネルの世界」にて。「富山県/黒部宇奈月キャニオンルート」が開通したばかりとのことで番組内で紹介されて。ゲスト?のおじさんが「吉村昭さんの小説にも書かれてましたけど、岩盤温度が160度ということで〜」と言ってた。...
2025年7月21日、マツコの知らない世界の「ひんやり楽しい!観光トンネルの世界」にて。「富山県/黒部宇奈月キャニオンルート」が開通したばかりとのことで番組内で紹介されて。ゲスト?のおじさんが「吉村昭さんの小説にも書かれてましたけど、岩盤温度が160度ということで〜」と言ってた。 ゲスト?おじさん「実際、窓を開けてみると、かるく40度くらいあるんですよ。2つの火山の下にあるので、いまも非常にたいへんなところですし、もちろん工事はたぶん日本の土木史上、最大の難工事だったと思います」 テロップ《日本の土木工事史に残る難工事といわれる》 こんなにレビュー多くて高評価とは。
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