楼蘭 の商品レビュー
歴史作品を中心に12編収録。楼蘭とは「中央アジア、タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部(現在の中国・新疆ウイグル自治区チャルクリク)に、かつて存在した都市、及びその都市を中心とした国家の名称」である(wiki調べ)なんとロマンを掻き立てることか、更に「さまよえる湖」ロプノールの西...
歴史作品を中心に12編収録。楼蘭とは「中央アジア、タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部(現在の中国・新疆ウイグル自治区チャルクリク)に、かつて存在した都市、及びその都市を中心とした国家の名称」である(wiki調べ)なんとロマンを掻き立てることか、更に「さまよえる湖」ロプノールの西岸に位置し、シルクロードが西域南道と天山南路に分岐する要衝にあって、交易により栄えたとある。日本人はシルクロードに弱い。なぜなら島国に住むわたしたちの感覚からして、大陸の雄大さは永遠の憧れなのであろう。
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人間の智慧と言うものは何と言っても浅いもので…己が身を亡ぼす地獄の門へ向かって一歩一歩足を運んでいたのであります。文章とはこういう事なのか。直接的でないのが好きだけど。
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四半世紀ぶりに取りて読む。中学生のときは李陵と比べて格段に低い評価をしていたが、改めてこれはこれで趣の深い作品である。
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楼蘭は、移動するロブ湖をめぐる話。叙述詩を読んでるみたい。小磐梯は噴火の前の静けさが物凄く不気味に描かれている。今の時期だから余計にこわく思えるのかもしれない。
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中国歴史だけかと思いきや、日本、インドの歴史や童話小説をモチーフにした話もちらほら。 表題桜蘭は50ページ前後の短い話だが、南インドにまつわる虎の話はちょっとした小話にも最適かと。 何人かにこの話をしてあげると喜ばれる。 オチが予想外で。
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井上靖の歴史小説メインの短編集。 何と言っても出色だったのは『補陀落渡海記』 補陀落渡海とは、補陀落なる浄土目指して小さな船で単身海を渡ろうとすることで、住職の間で昔行われていたそうです。 もちろん、実際は海の藻屑と消える運命でして…。 そんな補陀落渡海に世間に背中を押される形で挑む羽目になった冴えない坊さんの物語。 悟りを会得して海を渡りたいと願いながらも、 今まで渡海した僧侶たちも結局のところ 悟りどころか狂気に憑かれていたり、 自殺まがいで渡海を行ったり、 真正の信仰心から渡海を試みていなかったことに主人公は気づいてしまいます(読んでいてドストエフスキーの『悪霊』を連想したりもしました)。 揺れる主人公の姿が痛ましく、彼を取り巻く世間に対する怒りがひしひしと伝わってきます。 ほか 漢と匈奴に翻弄される小国家の物語『楼蘭』 西域平定に乗り出す後漢の名将班超の物語『異域の人』 山月記を思わせる変身譚『狼災記』 も面白かったです。
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井上靖好きなんだ!(へえ) 好きなのでどの話も非常に楽しく読めたのですが、特に「褒似の笑い」がよかったです。 何なんだこの女は、とずっと思っていた褒似の正体が、そういう事か! と自分の中ですっきりと腑に落ちた最後の1ページ。よかったです。
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2012/03/13読了 歴史小説は少しでも知識がないときついなあ。短編集だったので、いくらか伝説、伝承、おとぎ話のようなものもあり、「完全にとっつきにくい!」というわけではなかったけれども。 ただ、知識があったほうが面白かっただろう。 戦や文明の進化の中で、発展・衰退・消滅す...
2012/03/13読了 歴史小説は少しでも知識がないときついなあ。短編集だったので、いくらか伝説、伝承、おとぎ話のようなものもあり、「完全にとっつきにくい!」というわけではなかったけれども。 ただ、知識があったほうが面白かっただろう。 戦や文明の進化の中で、発展・衰退・消滅する名も無き国々と生きたであろう人々、私たちは彼らの生きた証を知らない。 確かに存在したかも分からないことは、想像の中でしか存在できないのかもしれない。 同じ人間という生き物が、今昔でこうも違うのだと、面白くも切ないという感じを持った。こういう系統の文章を読むのもいいかもしれない。
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歴史物に興味がなかったのですが、そしてなんとなく、井上靖に縁がなくこれまできましたが、趣味の登山繋がりで「氷壁」を読んだのがきっかけで、手に取りました。 表題作の「楼蘭」だけ読み終えました。興味深い歴史です。淡々と事実(おそらく)を述べているだけのようで、翻弄される歴史が胸に迫ります。しかし、歴史物を読み慣れていないので、やや疲れて、巻末近くの普通の小説に飛んで読んでいるところです・・・。
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井上靖の西域ものから、ずいぶんシルクロードにあこがれた。 まだ未踏だけれどいまだにいつかは、と思う。 その中でも一番ロマンをかんじたのがたしかコレだった。
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