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火の粉 の商品レビュー

4.1

577件のお客様レビュー

  1. 5つ

    173

  2. 4つ

    251

  3. 3つ

    113

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2024/03/29

2016年、手に汗に握りながら毎週楽しみにしていたドラマの原作! ユースケサンタマリアさんの不気味な演技も好きですが、ストーリー自体はドラマより原作の方がシンプルだったので原作の方が好みです。 なにを信じるか、を見極めることも大事ですが、誰を信じるか、も大切だと感じさせてくれる作...

2016年、手に汗に握りながら毎週楽しみにしていたドラマの原作! ユースケサンタマリアさんの不気味な演技も好きですが、ストーリー自体はドラマより原作の方がシンプルだったので原作の方が好みです。 なにを信じるか、を見極めることも大事ですが、誰を信じるか、も大切だと感じさせてくれる作品でした(そういう意味では、俊朗に終始イライラしっぱなしでした。)。 大事な場面で家族を信じられる、そんな家庭を築きたいなと強く思いました。 また、雪見から、先入観や偏見を持ってはいけないけれど、違和感や直感は身を守る上で重要な武器になるのだと学びました。 人から施しを受けるときは、距離感を間違えないようにしたいと思います。

Posted byブクログ

2024/03/15

雫井脩介さんは初読みの作家さんだった。 『火の粉』 裁判官を引退し大学教授となった梶間勲の隣家へ裁判官時代に無罪判決を下した男・武内真伍が引っ越して来た。梶間を恩人と慕い、紳士的な身の振る舞いと溢れんばかりの親切心で徐々に勲の家族に接近してくる武内。だが、梶間家には次々と不可解...

雫井脩介さんは初読みの作家さんだった。 『火の粉』 裁判官を引退し大学教授となった梶間勲の隣家へ裁判官時代に無罪判決を下した男・武内真伍が引っ越して来た。梶間を恩人と慕い、紳士的な身の振る舞いと溢れんばかりの親切心で徐々に勲の家族に接近してくる武内。だが、梶間家には次々と不可解な事件が起こり始める・・・ 法曹界を扱った小説は数あれど、裁判官目線で物語が進むのは珍しく、とても興味深くて冒頭で引き込まれた。 そして武内と勲の再会以降は、勲に代わり2人の女性目線で物語が進む。 1人は、勲の妻で同居する姑の介護を献身的につとめる尋恵だ。 実母の介護はおろか看取ることすら出来なかった尋恵は、その分もと姑の介護に奔走し殆ど一手に引き受けている。家庭での勲はいわゆる亭主関白で、家ごとの一切合切は全て嫁の尋恵に任せているというタイプの人間である。 それを理解し、愚痴一つ言わず懸命に奮闘する尋恵の姿は、私の亡き母にも重なる所があり胸がいっぱいになった。 今から20年程前の作品なので、世相の影響も大きいが、直面する問題の本質はいつの時代も変わらないのだと思う。 もう1人は勲と尋恵の長男で司法浪人中の俊郎の嫁・雪見である。夫が司法浪人中で収入がないため、義理の両親と介護が必要な祖母と同居する事となるが、実母よりも尋恵のことを母親として受け入れている。しかし3歳のまどかの初めての育児に悩みながらも、夫の俊郎には負担をかけまいと一人で抱え込んでいる節がある。勝ち気だが、少し無鉄砲な所があり、危なかしくも応援したくなる存在だった。 この2人の女性の揺れ動く心理の描き方が巧みでリアルで、これを男性の作家さんが描かれたというのが本当に信じられない程だった。 ネタバレになるので詳細は触れられないが、最後の別荘でのシーンはサスペンスホラー映画を一本観た時の様な、驚愕と戦慄で身震いしてしまった。 真相を知ると、犯行の動機は全く理解不能でもなく、居た堪れない気持ちになった。誰でも見返りが欲しいのだと思う。それこそが歪んだ感情を生むのだとしても。 その人間味まで読み手の感情を誘える所が、雫井脩介さんの筆力の凄さなのだろう。 また、ある種の責任を全うしたラストの余韻が、瀬戸際で一番大切なものに気付けたという救いのあるもので安心した。 でも心の隙間なんてきっと誰にもあると思う・・・ (笑●せぇるすまんではありませんよ) 身近な家族であっても、遠慮して言わなかったり、見て見ぬ振りをしたり、本当の意味で相手のことを思いやれなかったり・・・ いやぁ気をつけなければ!! やっぱり家族とは何でも話して、言いたいことは溜めずに話し合うのが一番なんだろうなぁと本作を通じて改めて感じた。 読後ふと見れば、全てはカバーイラストが・・・ タイトルの付け方も、唸るほどセンスが抜群だ。 565頁の長編小説だったが、展開も上手く、目線を変える構成が違和感なく秀悦で、全く長さを感じずにほぼ一気読み。 雫井脩介さん、また素敵な作家さんに出会ってしまった。是非他の作品も読んでみようと思う。 余談だが、 参考文献にあった『窯焼きピザは薪をくべて』 ここからあのバームクーヘンが生まれたのか・・・と感慨深くも癒されつつ、そりゃあピザじゃなくてやっぱりバームクーヘンですよね、 何回も何回も・・・ね。 って、やっぱり怖いわ〜 と最後まで尾を引いてしまった。

Posted byブクログ

2024/03/06
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おもしろかった 元裁判長の梶間勲の家の横に引っ越してきた武内。 無罪を言い渡した者と無罪判決を受けた者が隣同士なんて偶然がある? 武内はするするっと梶間家の母の懐に入っていく。とにかくいい人な表現。 けど一方で、初めから武内の妙な視線と空気感に嫌悪を抱く義娘の雪見。 2人それぞれの視点から見る武内があまりに違くておもしろいし、武内が絶妙に気味悪くておもしろい。 当初から武内をただ1人疑い、鋭い観察力と行動力を持つ義娘雪見、徐々に気づきながらうまく武内と付き合い家族を守ろうとする母尋恵 の2人の女性を見て、女はしっかり家庭を守る人だなと思った。 一方いつまでたっても雪見の話を信じず武内を疑うことをしない俊郎、武内に違和感を覚えつつ何も行動しない勲にイラつく^_^男は呑気だな‼️ 最後は武内が大暴れして狂気じみてるところも含めてクライマックス〜って感じでした。途中で殺されてしまった被害者家族の弟も、最後もう少しフォーカス当てて欲しかった、とは思った (遺体吊るされてる、奥さんに知らせる、まではあったけどその後も一応触れて欲しかった)

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2024/02/23

間違いなく傑作。 職業に対する誇りとか倫理みたいなものを抱える男性は一定数いると思うが裁判官ともなればそれは大きな責任感、 ともすれば重圧だと思う。 そんな男が無罪判決を下した元被告の男が、 隣人として越してきた。そして…。という話。 この時代に男女でわけるのもうんぬん。という風...

間違いなく傑作。 職業に対する誇りとか倫理みたいなものを抱える男性は一定数いると思うが裁判官ともなればそれは大きな責任感、 ともすれば重圧だと思う。 そんな男が無罪判決を下した元被告の男が、 隣人として越してきた。そして…。という話。 この時代に男女でわけるのもうんぬん。という風潮もあるが、歴然とある意識と家庭内での立場の違い。 そんななかの登場人物の心理描写がグロテスクに感じるほどに上手い。 さて、次はどの作品を読もうか。

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2024/01/04

これも前に読んだ本。読み始めたら最後まで止まらない。バームクーヘンが流行ったのはこの本を読んだあとだったっけ?

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2023/12/18

読んで良かったかと言われるとなんとも微妙、というのが本音です。サイコパスな隣人にじりじりと家庭を破壊されていく内容なので、とても気持ちが悪く、特に子育て中の身なので怖くも感じてしまいました。現実にこんな人がいるかもと想像すると嫌な気持ちになります。ミステリーや推理小説はあまり読ま...

読んで良かったかと言われるとなんとも微妙、というのが本音です。サイコパスな隣人にじりじりと家庭を破壊されていく内容なので、とても気持ちが悪く、特に子育て中の身なので怖くも感じてしまいました。現実にこんな人がいるかもと想像すると嫌な気持ちになります。ミステリーや推理小説はあまり読まないので、慣れている人は大丈夫なのかな? 最後の方は結末に向かって読むのが止まらなくなったので、面白いといえば面白いのだと思います(^_^;) こんな恐ろしい小説が書ける作家は凄いなーと感心しました。

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2023/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

途中までは読み進めるのが辛いほど、人の嫌らしさや介護、保育の大変さが生々しく描写されている。。 そして、最初は少し人との距離感が近いとは思うも、親切な隣人… 少しずつ弱みにつけ込み、異常さが垣間見えてからは一気読みでした。 個人的にはラストも良かったです。

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2023/11/30

時間を忘れて読んでしまった。 物語全体から感じる薄気味悪さが、癖になるような感覚で次々ページをめくってしまった。 異常なほど優しい人はこわい。

Posted byブクログ

2023/11/27

元裁判官・梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内が引っ越してきた。武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴むが、やがて次々と事件が起こり……。驚愕の犯罪小説!(e-honより)

Posted byブクログ

2023/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

怖い隣人系の中でもだいぶ怖め。 解説にも書いてあったが、女性陣の心理描写が非常に上手く書かれていた。 雪見には同情しまくれるし、義母も騙されるだけのもどかしいキャラではなく現実でも全部あり得ると思わされる。杏子も良い味出してる。 男性陣は良い具合にクソく書かれていて、雪見の夫は分かりやすくクズだが、問題なのは義父の勲。 長年凝り固めた根性の寡黙ジジイはマジで厄介。 最後に勲が「死ねええっ!」と、一見唐突な感情のぶちまけ方をするが、この描写は納得できる。 後に勲本人は責任を取ったとえらく美化し宣うが、この類のおじ様は必要に駆られてこだわりを捨てる瞬間信じられないほど無様になる。人じゃない動きをする。 半沢直樹のあれよな、土下座のシーン。 殺人をしてもなお自分の判断を覆した報復とは認められないのだから、ここまでくると改心するのは無理なんだなと。 だから家庭内で寡黙って良くないよ。 頭で自分だけの意見を反芻しちゃうんだから。 そこだけ脳の血管がぶっとくなって凝り固まる前に家族でおしゃべりしようね。 という私的な愚痴が出てくるくらい面白かった。

Posted byブクログ