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沈める滝 の商品レビュー

3.7

38件のお客様レビュー

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生きてる、感情がある…

生きてる、感情があるという女性に全く興味関心を惹かれない主人公。偶然出会った女性は無感動な人間で、彼は惹かれていくが…。普通とは違った愛情物語という感じ。無機物には物凄い愛情を注げるのに、人間に対しては無関心といった主人公が印象的でした。

文庫OFF

独りの青年がある女性…

独りの青年がある女性との恋愛を通じて、一人前の立派な大人に成長する姿が描かれています。ダム開発現場が舞台ですが、でっかいダムを見に行きたくなりました。

文庫OFF

女性に対して即物的な…

女性に対して即物的な対応しかできない主人公と、無感動な女性を描いた恋愛長編。「沈める滝」というタイトルが良いです。

文庫OFF

2024/07/11

もうだいぶ前に読んだ作品なのだが、感想を書きたくなったので...。 読み易さ、内容の分かり易さ共に◎ 不感症の女と無機質な物にしか興味関心が無い男の話。 人工と自然。有機物と無機物。男と女。対比の面白さも然る事乍ら、無から有を生み出す三島の創造は流石だ。 ある日突然、また読みた...

もうだいぶ前に読んだ作品なのだが、感想を書きたくなったので...。 読み易さ、内容の分かり易さ共に◎ 不感症の女と無機質な物にしか興味関心が無い男の話。 人工と自然。有機物と無機物。男と女。対比の面白さも然る事乍ら、無から有を生み出す三島の創造は流石だ。 ある日突然、また読みたくなる一種の中毒性がある作品でもある。

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2024/07/07

 自然/人工 と 事物/観念 の、2x2象限。  観念(とりわけ恋愛の観念)から逃避している城所昇という男が、事物という障壁の力を借りて恋をしようとする話。しかして、そこから生まれた人工の観念にはすぐに飽き、女・顕子の情愛も面倒くさくなっていく。  観念にのめり込む女の愚かさ...

 自然/人工 と 事物/観念 の、2x2象限。  観念(とりわけ恋愛の観念)から逃避している城所昇という男が、事物という障壁の力を借りて恋をしようとする話。しかして、そこから生まれた人工の観念にはすぐに飽き、女・顕子の情愛も面倒くさくなっていく。  観念にのめり込む女の愚かさと、事物に逃避する男の情けなさ、そういうものを感じる一作である。噺としてのまとまりはあっても、救いの断片は見受けられない。★は小数点刻めるなら、3.5ぐらいにしたい。

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2024/06/16

不感症女が金持ち男と遠距離恋愛のおままごとをした結果、沼ってメンヘラ化し最終的に滝に飛び込んでしまう話、、と思ったらナニコレの連続で笑えた

Posted byブクログ

2022/06/23

独特の世界観。愛を信じないイケメン貴公子×不感症の女 って題材が尖ってるが、けっこう人間味のある結末。あらすじから想像した話とは違ったが、三島由紀夫らしさのある作品だった。

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2022/05/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めて三島由紀夫の作品を読み、感情表現や比喩の豊かさ、独特で偏った思想をリアルに描写していることに驚いた。読み慣れない文章や馴染めない思想を理解する難しさを感じつつ、的確な言葉の使い方がとても美しいと思った。 石や鉄などの硬い無機質の物質を愛する青年は女性の無機質な部分(無感情)に惹かれる。愛を知らない男女が「人工的な愛」を生み出そうとする話。 読了後に、沈める滝という題が恐ろしく感じる。まっすぐな愛が、受け止められずに捨てられた場合、愛は歪み極端な結果を生むことになる場合があると思った。

Posted byブクログ

2022/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

滝が女性の溢れる情熱を表しているようで、それが「沈める」とは、いい題名だと思う。 自然の中の大きな人工物であるコンクリートのダム、雪に閉ざされた閉鎖的な観測所、手紙のやりとり、何にも心が動かない男女。モチーフが良い。でも女性が感情を呼び覚まして、男が興味を失って絶望している流れは、そこまで印象に残らない(ありきたりに思えてしまう)。肉体の快楽でも精神的な依存でもなく、手紙やほんの一言の電話でしか愛を交わせない関係とは、どのような愛の形なんだろうと考える。

Posted byブクログ

2021/07/05

昭和30年頃を舞台に、当時の三島由紀夫自身と遠くない年代と見受けられる主人公による物語が展開している。独特な心象世界のようなモノを有する青年の、或る女性との交流による「揺れ動き」というような物語かもしれない。そして、作品の発表当時に女性と交際していたという経過が、作中の描写に大い...

昭和30年頃を舞台に、当時の三島由紀夫自身と遠くない年代と見受けられる主人公による物語が展開している。独特な心象世界のようなモノを有する青年の、或る女性との交流による「揺れ動き」というような物語かもしれない。そして、作品の発表当時に女性と交際していたという経過が、作中の描写に大いに繁栄されているという説も在るらしい作品だ。 主人公の昇は、電力会社に勤める土木技師である。発電所の建設等に係るという仕事だ。 この昇は、電力会社の会長を務めていた祖父の下で育ったという生い立ちだ。大学で学んで技師になって安定した給与も得ているが、一定の財産も持っている。「付合いが悪い…」とはよく言われたが、昇は自身としての愉しみ、人生を謳歌していると言えた。「一夜の関係」という感で、色々な女性との交流が在り、そういうことを愉しむことを専らとしていた訳だ。 そんな或る時、昇は顕子と出会う。「感動しない女」と称する、少し変わった個性の若い人妻である顕子に、昇は強く惹かれたようだ。 その顕子と知り合った頃、昇の周囲では建設が始まったダムの仕事で現場に入るという話しが在った。雪深く、冬季には近くの街との往来が困難な現場での“越冬”という話しも在った。昇は、そのダム建設現場の“越冬”に参加する間、可能な手段でとりあえず連絡を取ることを顕子と約し、そして現場へ向かった。 昇と顕子との関係が如何いうようになって行くのか?更に2人の各々の人生は如何なるのか?そういう物語だ… “越冬”という状況も含めて、昇が動く辺りの描写が色々と出て来る本作だ。それらに凄く強く惹かれる。そして、この少し変わった性格、感じ方の顕子が昇との関係で様相が変わって行く。そんな物語がなかなかに興味深い。 愉しく本作に触れながら、何となく「こういう作品がドンドン世に問われていた時代が在った…」と複雑な想いも湧き上がった。何か「不思議な魅力」の一冊になっているような気もした。 存外にお薦めな作品を見出したというように思う…

Posted byブクログ