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鏡子の家 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

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4人の全くタイプの違…

4人の全くタイプの違う青年と、彼らに常に変わらない目を持って接する鏡子の物語。4人は全然違うのに、どこかしら似たところがありそれぞれにふさわしい人生の終わりを見つめる。少し長いですが、面白かったです。思想面の強い作品かなと思いました。

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このように長い話を時…

このように長い話を時代と絡めながら書いていて、人の成長、変遷をぶれずに描ききっているのがすごい。読み応えあり。

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下手をすると退屈に感…

下手をすると退屈に感じてしまうかも知れませんが、倦怠的な雰囲気がよく出ています。かなり長め。

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鏡子と四人の青年の物…

鏡子と四人の青年の物語が並行しながら、時に交錯しながら進行していく。各人の成長が見事に描かれいます。三島由紀夫はこれを書いた時、芸術家・革命家のどちらの人生を意識していたのだろうか?

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鏡子を中心に4人の男…

鏡子を中心に4人の男の成長と変貌が長々と書かれている。途中で退屈になるが、最後の方は劇的な変化がありおもしろかった。

文庫OFF

2024/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本作『鏡子の家』は1959年に発表された長編小説です。三島由紀夫は1954年に『潮騒』で新潮社文学賞、56年に『金閣寺』で読売文学賞を受賞し、プライベートでも58年に瑤子夫人と結婚するなどまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。 そんな三島が精魂込めて書き下ろした『鏡子の家』。この作品の大きな主題は「時代」であると三島自身が述べています。 三島はこの小説で鏡子の家に集まる4人の青年に時代を投影し三島流の「戦後は終わった」文学を表現しようとしました。これは三島にとっても初めての試みで野心的な挑戦でした。 しかし500日をかけ精魂込めて書き下ろした『鏡子の家』は批評家に酷評され、失敗作の烙印を押されてしまいます。三島はこのことに深い傷を負うことになりました。 『鏡子の家』はたしかに成功作とは言えないでしょう。実際に三島由紀夫は精魂込めて書き下ろしたこの作品が世間に受け入れられず、さらには識者からも理解されないという孤独を味わうことになります。 私自身もこの作品を「面白いです!ものすごくおすすめです!」とは残念ながら言えません。ですが読んで失敗したとは全く思いません。たしかに350ページほどまでは苦行でした。ですがその後はもう夢中です。それは事実です。そして『豊饒の海』へと繋がり得る水仙の花や、夏雄や収の破滅は非常に読み応えのあるものでした。 そうした意味でもこの作品を読めたことは私にとって大いに意味深いものでした。

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2024/03/25

むちゃくちゃ面白い。一番好きなのは夏雄。音楽家のclarkのインタビュー(timeout tokyo)を読んでいると、夏雄のことを思い出す。天才ゆえのピュアで危なっかしい制作への情熱。 下記はclark 「純粋なカオスだよ。満足する答えを出すのが難しいな。カオスや状態の領域でい...

むちゃくちゃ面白い。一番好きなのは夏雄。音楽家のclarkのインタビュー(timeout tokyo)を読んでいると、夏雄のことを思い出す。天才ゆえのピュアで危なっかしい制作への情熱。 下記はclark 「純粋なカオスだよ。満足する答えを出すのが難しいな。カオスや状態の領域でいえば、僕は間違いなくカオスの端にいる。」 「何事もなぜやるかを本当に理解している人って存在するんだろうか?それを把握したと思えばすぐに、現実というタマネギの別の皮の層みたいなものが現れて、無限の深淵に直面するよ。」 「渋谷のホテルのエレベーターに乗ったまま作曲したら、音楽にどんな効果が出るだろうって思って」 10年前くらいに読んだからまた読み直したい

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2022/01/14

解説者が「メリイ・ゴーラウンド方式」と評した手法が登場人物の栄華と衰退をを明らかにしていく。 返す返すも1970年が無ければ、今、どんな評価と作品になっていただろう。

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2021/09/10

いまさらいうのもなんだが、三島由紀夫は日本の大作家である。堪能した。 三島由紀夫の作品中での位置づけはどうなのだろう、精緻な構想といい、ひねり方といい、技巧に長けていて、うまいストーリーではある。もっと早く読めばよかった。 或る時代(1954年ころ、朝鮮戦争後の退廃した世代相...

いまさらいうのもなんだが、三島由紀夫は日本の大作家である。堪能した。 三島由紀夫の作品中での位置づけはどうなのだろう、精緻な構想といい、ひねり方といい、技巧に長けていて、うまいストーリーではある。もっと早く読めばよかった。 或る時代(1954年ころ、朝鮮戦争後の退廃した世代相)の中で悩む青年たちを描き出している。 いつの時代だとて青年は懊悩するものだ。 この時代はこんなに退廃の気分がしていたのか?中学生になったばかりの私にわかろうはずが無いが、こんなデカダンスの世だったのだろうか、ことさら作者が借りているのか、さておいて。 四人の個性的な青年のストイシズム追求の物語が、解説者(田中西二郎)言うところの「メリ・ゴオ・ランド方式」でぐるぐるまわる。 エリート社員杉本清一郎(会社で出世するタイプの)、大学のボクシングの選手深井峻吉(後にプロ入り)、日本画家の山形夏雄(美的感覚が天才的な)、俳優舟木収(美貌だが配役をもらえない)ら四人が、鏡子というマダムのサロンを中心にして桜の季節から2年後の桜の季節までの、浮き沈みの物語。 ストーリを追う小説でないことは確かで、それぞれの美意識を四人の青年がストイックに追求した結果が果たしていかなるや?いや、鏡の役割の鏡子も含めて五つの唯美意識のゆくえがテーマである。 それは三島由紀夫の芸術の唯美家としての姿でもある。凡庸な私がどれほど理解できたかは別として、追体験の芸術的苦悩は味わうに興ありである。

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2021/06/16

三島由紀夫の特番を見て購読。金閣寺の後に書かれた本で、当時も大注目されたが、評価は二分されていたらしい。4人の主人公(エリートサラリーマン、ボクシング一筋の選手、才能ある若き芸術家、売れないが美貌の役者)が、その友人である資産家の女性(鏡子)と、それぞれの生き方を語り共有する形式...

三島由紀夫の特番を見て購読。金閣寺の後に書かれた本で、当時も大注目されたが、評価は二分されていたらしい。4人の主人公(エリートサラリーマン、ボクシング一筋の選手、才能ある若き芸術家、売れないが美貌の役者)が、その友人である資産家の女性(鏡子)と、それぞれの生き方を語り共有する形式。親しい友人だが互いに干渉しないのがルール。三島はこの作品でも「美とは何か」「人生の意味とは何か」「哲学を持たない社会の劣悪さ」を描こうとしているのだと思う。また、それぞれが干渉しないというのは、友人であっても、根底では分かり合えないのだということなのか。5人のうち、4人の人生は破綻する。これは、のちの三島の行動を知っているだけに、何かの暗喩に思えてならない。金閣寺でも「世界を変えるのは理念か行動か」という問いがあったが、現実の社会はそんな単純なものではない。この本ではその2つが5つになっているが、それでも生き残るのは1つというのは変わらないのか。

Posted byブクログ