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鏡子の家 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

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2010/07/01

三島の神視点三人称の書き方は他作家に比べてぶっちぎりで読みやすい。四つの(最初は平行だった)線が微妙に角度や形を変えて、最終的にはまた平行に戻る話。収の在り方は三島の一つの理想だったと読むのはありきたりすぎるか。

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2009/10/04

ひさびさの三島作品。 いままで読んだ、どれとも違う印象が残った。 4人の若い男たちのなかで、 いちばんお気に入りだった夏雄が最後に立ち上がれてよかった。

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2009/10/04

世の中にはいろんな人生があり、その生活環境、職業が異なれば、価値観や美意識も異なり、事によっては善悪の基準も違っても不思議ではない。 たとえば エリート会社員、ボクサー、画家、俳優。。。 そんなまったく異なる職業の若者が4人いたとして、それぞれの環境で見えない将来に不安を...

世の中にはいろんな人生があり、その生活環境、職業が異なれば、価値観や美意識も異なり、事によっては善悪の基準も違っても不思議ではない。 たとえば エリート会社員、ボクサー、画家、俳優。。。 そんなまったく異なる職業の若者が4人いたとして、それぞれの環境で見えない将来に不安を抱きつつ、いきがりつつ、もがいている。 その彼らがあたかも家に戻り安らげるような空間が、この「鏡子の家」。その家の鏡子自身も離婚経験を持ち一人娘がいながらも、その雰囲気には妖しさとともに、人を寄せ付けない凛としたものすら感じるのに、若者たちはその鏡子の空間を慕って集まる。 他に二人いる女たちはその若者たちのうち二人の両方に体も許すが、鏡子はそれをしない。若い男と女が入り乱れる秩序のない空間になりかねないところが、その鏡子の居住まいがそれを抑えている。 1部においてはそんな秩序に安らいでいた若者たちが、2部においてはそれぞれの人生を進む中で挫折し、崩れていく様が淡々と語られ、鏡子の存在はむしろ薄くなる。 帰る場所を忘れてさまよう彼らの迷い道は哀れで、やるせない閉塞感に包まれていく。 たとえば、鏡子の家では誰とも寝なかった会社員清一郎がニューヨークの乱交パーティで体験することは、鏡子の家との究極の対比。 青春小説というカテゴリーにしてしまうにはあまりにも重く苦しい、退廃的な雰囲気に包まれる。その中には寸分の救いもない。 しかし、人は皆誰もが鏡子の家のような存在が必要なのだと教えてくれる。自らの裏の顔を見ることが出来る「鏡の家」を。 長編でありながら、淡々と進む物語に読者はいつしかどっぷりとつかってしまう。 静かなる傑作。

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2009/10/07

2009/7/5図書館にて借りる 2009/8/7読了 鏡子(きょうこ)の家。早く読みたい作品です。 登場人物 清一郎(せいいちろう): 夏雄: 収: 俊吉:

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2009/10/04

あいかわらず読書感想しづらい三島作品。 あいかわらずレトリックが冴え渡る三島作品。。 あいかわらず死者が出る三島作品。。。 この作品は結構面白かった。 主要人物が複数人いてまとめるのが大変そうだと思ったけど無理にまとめずに所々敢えてバッサリと切り捨てちゃう事でその問題を解決してる...

あいかわらず読書感想しづらい三島作品。 あいかわらずレトリックが冴え渡る三島作品。。 あいかわらず死者が出る三島作品。。。 この作品は結構面白かった。 主要人物が複数人いてまとめるのが大変そうだと思ったけど無理にまとめずに所々敢えてバッサリと切り捨てちゃう事でその問題を解決してるくさい。 この荒手法で無駄な話の広がりを産むこともなく、読者が迷う事もないかんじ。 この作品は特に想像力働かさないでも文章にそのまま身を任せて読み進めて行けばいいんでないか。 つーわけで三島作品の中では比較的楽に読める方だと思う。 最後がいいネ。すごくいい。三島には珍しい終わり方ぽいけど。 まーその意外性が効いたってのもかなりデカイくさい。 でもまー『最後が良いらしい』とか思って読んだらどーってこともないだろうけど。

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2009/10/04

自分にとって非情に大切な思い入れのある作品。鏡子の奔放さ?も、ある意味清々しくてオシャレだ…と思ってた(笑)

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2009/10/04

これが評価されなくてがっくりしちゃったって本当なのかな。個人的には大変面白い、彼らしい傑作だと思うんだけど。書き出しからぴりっとさせられて、身を乗り出しちゃう。

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2009/10/04

『愛し合っていないということは何と幸福だろう。なんて家庭的な温かみのある事態だろう』  「そうしてやがて、世界が一時きに崩壊するんだ」  「すばらしい音をたてて」 

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2009/10/04

昭和34年刊。この年は、剣道を始めたり、馬込の新居に引っ越したり、長女が誕生したりして、三島の人生にとって大きな出来事が続いた。 本の内容は・・・ 時代は、朝鮮戦争後。名門の資産家令嬢である鏡子の家に集まる四人の青年たち。貿易会社のエリート社員、私立大学のボクシング選手、日本画家...

昭和34年刊。この年は、剣道を始めたり、馬込の新居に引っ越したり、長女が誕生したりして、三島の人生にとって大きな出来事が続いた。 本の内容は・・・ 時代は、朝鮮戦争後。名門の資産家令嬢である鏡子の家に集まる四人の青年たち。貿易会社のエリート社員、私立大学のボクシング選手、日本画家、無名の俳優。彼らは、すなわち全員が三島自身なのだ。 500ページを超える超大作で、二部立てで刊行された。にもかかわらず、一語々々をものすごいエネルギーで磨き選び抜き、精巧なタッチで描ききっているところに、この作品の魅力がある。私生活の充実振りがうかがえる。したがって、精読するには、ある程度の語彙が理解できないと苦しくなってしまう。他の三島作品を数冊読んだ後に読めば、わりと読みやすいかもしれない。内容的には、非常に面白い作品なので丁寧に読むことをすすめる。

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