仮面の告白 の商品レビュー
私が三島由紀夫を好きになったキッカケの本です♬ 文章中、欲望と理性との葛藤が巧みに表現されてます!
Posted by
表現力、文章力がすごい 主人公ほどではないけど、仮面を被って生きてるのかもしれない。考えさせられた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めてすぐに「すごい小説を読んでしまった……」という、何かとても大きな秘密を知ってしまったような気持ちになった。 主人公の少年は「女性に性的欲求が向かない」と本当は分かっているのに、「皆と同じ・普通」でいようと必死に努め、女性と関係を持ってみようとする。 そして、そこでまざまざと見せつけられる自分の本当の欲求に、「やはりそうなのか」と刻印を押されたような気持ちになってしまう。 自分の本能に抗おうとする葛藤と、そのずっと苦しんで悩んでいる姿に、胸が痛くなった。 前半に多く書かれている主人公の性的指向の表現が凄く、読み終えてからも強烈なインパクトで頭に残っている。 印象的な場面はたくさんあるが、挙げるとすれば二つある。 一つは幼少期、紺の股引を穿いた汚穢屋(おわいや/糞尿汲取人)を見て、『私が彼になりたい』『私が彼でありたい』と思う場面。 その欲求の重点は「彼の紺の股引」であり、彼の職業でもあった。 そしてもう一つは、グイド・レーニの「聖セバスチャン」の絵を見て、初めて射精する場面だ。 どんな絵か知らなかったので調べてみたが、「なるほど」と納得してしまうくらい色っぽく、肉の質感や手触りまで感じられそうな絵だった。 また、年上の同級生・近江に想いを寄せているシーンが、特に好きだった。 思春期の少年の気持ちが、この時期特有の初々しさや痛々しさを含んでいて、それがとても良かった。 実は昔、『金閣寺』を途中まで読んで挫折したことがあり、三島由紀夫作品では初めての読了本となった。 文章の印象は、当たり前かもしれないが「頭がいい人の文章だ……」ということだった。 言い表すのが難しいが、小説の中では主人公のぐちゃぐちゃした葛藤が描かれているのに、その言葉たちは綺麗に整列して並んでいるような、そんな感じがした。 そして特に感じたのは、自分に酔っているような文章だなぁということだった。 悩んでいる自分にうっとりしているような感じ。 それはもしかすると、多彩な比喩表現から感じたものかもしれない。 言葉や言い回しが難しかったにも関わらず、面白くて夢中で読んだ。
Posted by
青少年の悩みを格調高い美しい日本語で綴るまさに純文学 書かれた時代を考えると主人公が同性にしか性欲を感じないという設定は相当勇気がいるものではないか。戦争を境に変わっていく日本の暮らしが背景に描かれ、その中で葛藤する姿は秀麗な表現をもってしても時に生々しく、心に刺さる。
Posted by
性癖の“告白”は、極めて難解で周りくどく強烈。 この小説の核となるこの“告白”により、“男”、“死”、“美”についての生々しい描写に衝撃を受ける。 我を男であると、希望を持たせた園子。第四章の描写は、なんというか名残り惜しい。
Posted by
女を愛する自分を演じる「私」。園子は主人公が見出した唯一の希望だったのだと思うと、切ない。努力で人を好きになるものではないし、心の赴くままにときめきを感じる人を愛せないのは辛い。現代でこそLGBTに理解ある時代に移り変わってはいるが、マイノリティの苦悩はいつの時代も変わらないのか...
女を愛する自分を演じる「私」。園子は主人公が見出した唯一の希望だったのだと思うと、切ない。努力で人を好きになるものではないし、心の赴くままにときめきを感じる人を愛せないのは辛い。現代でこそLGBTに理解ある時代に移り変わってはいるが、マイノリティの苦悩はいつの時代も変わらないのかもしれない。
Posted by
緊急事態宣言前に滑り込みで鑑賞した全共闘の映画に感化されて初三島由紀夫。 どうやら自伝的代表作という解説を見かけたので、一冊目に選んでみた。ちなみに彼の本はごく一部しかkindleで出版されていないので久々の文庫での読書。 右傾化した小説家で最終的には割腹自殺をしたという予備知識...
緊急事態宣言前に滑り込みで鑑賞した全共闘の映画に感化されて初三島由紀夫。 どうやら自伝的代表作という解説を見かけたので、一冊目に選んでみた。ちなみに彼の本はごく一部しかkindleで出版されていないので久々の文庫での読書。 右傾化した小説家で最終的には割腹自殺をしたという予備知識くらいしかなかった状態だったが、映画を見てほぼ神童レベルで若くから小説も評価された秀才と認識したうえで読むとかなり今でも色褪せない描写がすごい。 途中、お高くとまった方の変わった性癖の暴露(時代を考えるとすごい話だが)感が続き飽きたりもしたのだが園子の登場以降は所謂淡い恋バナっぽくて引き戻された。 文学的な要素の理解が弱いので、いまひとつだなと思ってしまった部分はあるのだが次は金閣寺あたりにチャレンジしてみようと思っている。
Posted by
絶対に読みきれないと思っていた。 分からない言葉、読めない単語、沢山あった。それでも、最後まで読めてしまった。 読み進めていく毎に、本に引き込まれるのでは、と錯覚した。 少年が何か一つを知り、気づき、悟り、成長していく毎に、ドロリと黒い何かが、心の奥底に沈殿していくような、...
絶対に読みきれないと思っていた。 分からない言葉、読めない単語、沢山あった。それでも、最後まで読めてしまった。 読み進めていく毎に、本に引き込まれるのでは、と錯覚した。 少年が何か一つを知り、気づき、悟り、成長していく毎に、ドロリと黒い何かが、心の奥底に沈殿していくような、現実に足を絡み取られ、引き摺り落とされていくような、息苦しさに藻掻く苦痛を感じた。 私はまだまだ読解力も知識も足りていない。またいつか、再度この本と向き合いたいと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以前、読んだ「命売ります」とは全然違ったな。 でも、読みにくさはないが……ちょっと重かったな。 友人の姉に恋しているのだと信じこみ、同世代の初心な学生がするようなことをしてみたが、その不自然さに自分の心が気付いていて、抵抗する。 女性とキスをしても、何も感じない。 とある女性のために本を選んでいて、それが"月並みなことをやっているという嬉しさは、自分にとって格別のものだった"と言うところで、主人公の今までの気持ちを思うと、キューッとなってしまった。 最後の暗示的な一文の意味は…… 色々と考えさせられる本だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自分が自分の性のことを分からずに自問自答する姿を追っていくにつれ苦しくなった。 時代背景を鑑みると尚更苦しい。 (と感じたものの私は時代背景についての知識が足りないので今後調べてみることにする) 最終的に主人公が同性愛者だということを確信したものの、その後の展開が明るいとは思えない。 それもまた苦しい。 ぎらぎらとした光が同性愛者としての始まりを暗示する終わりには、圧倒させられた。 そのように、この本では何より言葉の表現力に驚かされた。 自分も語彙力、表現力を鍛えることにする。
Posted by