山椒魚 の商品レビュー
蛙の嘆息は「自己肯定」ではないか。岩屋から出る出ないは問題じゃない。みんな孤独だけど、それを和らげてくれる相手の存在を肯定的に受け入れられれば、それでいいじゃないかと。
Posted by
表題作「山椒魚」について(井伏の処女作) 教科書にいかにも載せられそうな作品だと思った。今だとイジメ問題とかと絡めたりされるのだろう。(ちなみにこの場合、ラストを削る前のものを掲載するのだろうか。) 短く、かつ内容に展開もほとんどない。教科書的な主題を読み解く対象としては、わ...
表題作「山椒魚」について(井伏の処女作) 教科書にいかにも載せられそうな作品だと思った。今だとイジメ問題とかと絡めたりされるのだろう。(ちなみにこの場合、ラストを削る前のものを掲載するのだろうか。) 短く、かつ内容に展開もほとんどない。教科書的な主題を読み解く対象としては、わかりやすく扱いやすいはずだ。しかし、その読みを当てはめた瞬間、一気に色褪せる魅力。あまりにも薄っぺらくなってしまう。 実際この作品が描くことは、そうした主題とかなり類似しているのであろうし、そしてそれゆえに井伏が後に最後を大幅に削ったのであろうが、たとえどれほど主題的なものが道徳的なアレゴリーを含むとしても、この作品において重要なのはその寓意性ではなく、いかに描かれているかである。 そしてまた、「山椒魚」を評価しうるとすれば、それは、あつかましいほどのアレゴリーの、描かれ方によってでしかないであろう。 技術的な側面からはほとんど何も言えないが、この時期によくあるような翻訳調が見られるということと、それと絡んで語り手がユーモラスな感じを醸しているのがまあまあ良い。 ラストについては感慨深いのだが、今ここで語ることがこの作品を低めることになるであろうから、何も言うまい。
Posted by
ある日ふと気づくと、頭が大きくなりすぎて岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の姿を描く。滑稽さの中にある悲哀が光る井伏鱒二の処女作。短い小説ですが、詩的な表現が魅力的な作品だと思います。
Posted by
久しぶりに、また読んだ山椒魚。 岩屋の中に住んでるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚。 いつのまにか、自分にも藻が生えて、岩同然。 あたしも、山椒魚みたいに、ここで大きくなるのだろうか。 居心地に甘えてはいけない。 明日は、何かひとつでも、新しいことをしよう。 まず...
久しぶりに、また読んだ山椒魚。 岩屋の中に住んでるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚。 いつのまにか、自分にも藻が生えて、岩同然。 あたしも、山椒魚みたいに、ここで大きくなるのだろうか。 居心地に甘えてはいけない。 明日は、何かひとつでも、新しいことをしよう。 まずは、通勤路をちょいと変えてみるとする。
Posted by
岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の話。中学のとき教科書でさらっと読んだけど、大人になってからじっくり再読しました。山椒魚の置かれている状況と心の動きを丁寧に描いており、孤独でいることのやるせなさを思い起こさせます。山椒魚とカエルだけの狭い世界なのに、ちゃんと物語が成り立って...
岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の話。中学のとき教科書でさらっと読んだけど、大人になってからじっくり再読しました。山椒魚の置かれている状況と心の動きを丁寧に描いており、孤独でいることのやるせなさを思い起こさせます。山椒魚とカエルだけの狭い世界なのに、ちゃんと物語が成り立っているのがすごいところ。
Posted by
『山椒魚』のほか、『屋根の上のサワン』『へんろう宿』など12編を収録。 表題作は思っていたよりずっと簡潔だった。観察眼と、それを膨らませる想像力に圧巻。 全体的に、起承転結に乏しいノッペリした語り口。それを味がある文章と捉えるか、オチのない退屈な文章と捉えるかは好みの問題だと思う...
『山椒魚』のほか、『屋根の上のサワン』『へんろう宿』など12編を収録。 表題作は思っていたよりずっと簡潔だった。観察眼と、それを膨らませる想像力に圧巻。 全体的に、起承転結に乏しいノッペリした語り口。それを味がある文章と捉えるか、オチのない退屈な文章と捉えるかは好みの問題だと思う。ちなみに私自身はどっちかというと後者。
Posted by
小学校時に通っていた塾でこの「山椒魚」に出会った。すごく面白くて続きがやたらに気になった記憶がある。なんともいえないおかしさのようなものを感じていたのだと思う。 後日読んだらなんだここで終わりなのか、と思った記憶も。
Posted by
老成と若さの不思議な混交、これを貫くのは豊かな詩精神。飄々として明るく暗い。本書は初期の短編より代表作を収める短編集。岩屋の中に潜んでいるうちに体が、大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の狼狽、なかしみのさまをユーモラスに描く処女作「山椒魚」、大空への旅の誘いを叙情的に描いた「...
老成と若さの不思議な混交、これを貫くのは豊かな詩精神。飄々として明るく暗い。本書は初期の短編より代表作を収める短編集。岩屋の中に潜んでいるうちに体が、大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の狼狽、なかしみのさまをユーモラスに描く処女作「山椒魚」、大空への旅の誘いを叙情的に描いた「屋根の上のサワン」ほか、「朽助のいる谷間」など12編。 井伏鱒二1898~1993 新興芸術派 ジョン万次郎漂流記、黒い雨
Posted by
とにかくオチがない。だからどうした?という話ばかり。 観察眼はすごいのだろうが、劇的な展開も腑に落ちるオチもないのでやや退屈。
Posted by
山椒魚に限って言えば、観察力がすごい。友情とか葛藤とか描きたいなら人間にやらせたほうがやりやすいはずなのに、わざわざ生き物(しかもちょっとレア)をして話を進めるってのは細かい観察の賜物なのではと思う。
Posted by