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吾輩は猫である の商品レビュー

3.9

226件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

    54

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    3

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2023/01/09

「こころ」の次に読んだ漱石の小説。 とにかく、主人の「くしゃみ」を中心とした登場人物たちの会話が面白い。 長編小説としては、話の筋に一貫性がないが、これも一興というところか。 近代日本語?を操り、ち密に物語を構成していく文体は、日本語の美しさを大いに知れたし、各人物の滑稽話は笑い...

「こころ」の次に読んだ漱石の小説。 とにかく、主人の「くしゃみ」を中心とした登場人物たちの会話が面白い。 長編小説としては、話の筋に一貫性がないが、これも一興というところか。 近代日本語?を操り、ち密に物語を構成していく文体は、日本語の美しさを大いに知れたし、各人物の滑稽話は笑いが絶えなかった。 それでいて、現代批判を婉曲的、比喩的に言い表し、滑稽話の中に自然と織り交ぜ、考えさせてくれる語り口は圧巻だった。 終盤は厭世主義的な考えが垣間見え、ダークなゾーンを感じた時もあって今の世の中に対しても自分なりに考えを深めるきっかけをくれた。 ぜひともまた読んで考察を深めたい。 個人的には、くしゃみ先生が娘たちが食事の際に繰り出す体たらくを、一言も言わず、専心自分の飯を食い、自分の汁を飲んで、楊枝を使いながら放任してるシーンが一番好きであり、笑えたw

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2022/10/19

◆漱石先生の処女小説だにゃん。◆ じぶんのことを「吾輩」と名乗る猫。とある教師の家に住み着き、鋭い観察力で人間の滑稽さに失笑したり、人間の不徳に悲しみを覚えたり、人間の自惚れに困惑したり。最後には、大きなかめの中に落ちて死んでしまう猫。享年2歳。鼠はとらず、生涯無名の猫のまま…。...

◆漱石先生の処女小説だにゃん。◆ じぶんのことを「吾輩」と名乗る猫。とある教師の家に住み着き、鋭い観察力で人間の滑稽さに失笑したり、人間の不徳に悲しみを覚えたり、人間の自惚れに困惑したり。最後には、大きなかめの中に落ちて死んでしまう猫。享年2歳。鼠はとらず、生涯無名の猫のまま…。人間は我儘なものだといいつつ、「のんきと見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする」と。あなたも猫に観察されているかもしれませんよ。

Posted byブクログ

2022/09/21

2ヶ月ぐらいかかった(笑) ユーモアが、とんでもなかった。猫視点から僕たち人間をめっちゃバカにされたが、夏目漱石さんの言葉に、うんともすんとも言い返せないと思った。

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2022/08/16

猫から見た人間社会のおかしさ、上流階級であるくしゃみ先生の周りに起こる事件がとても面白い。寒月君、東風君、迷亭、金田君等登場人物のキャラが際立っていてっ漱石作品の中では軽快な小説だと思う。

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2022/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読書中ながら感想文です。【内容】主人・苦沙味先生の友人に迷亭という人物がいます。迷亭はあたかもあったことのあるが如く嘘を言ったりする法螺吹きで、明るい性格で、暗い性格はありません。その迷亭が蕎麦の食い方が面白かったです。まずは蕎麦を一気に掬(すく)い上げて、麺汁(めんつゆ)に下の方だけつける。そしてそのままツルツル、っと喉に飲み込む。飽くまで飲み込むであって、くちゃくちゃ噛んでから飲み込むわけではないのです。マニアックな食べ方のもので、これが蕎麦の美味しい食べ方。迷亭はこれでむせてしまって、同じ食べ方を二度三度しませんでした。【感想】僕は蕎麦の食べ方を自分も試してみたい!と思いました。たしかに下痢になる恐れはありますよね。でも人が乙な(ちょっと変わっている)食べ方をしていると自分も乙な食べ方をしてみたい!とも思ったのです。僕は下痢になってもならなくても、試してみる価値はあるものやと思っていて、美味しい食べ方には食いつきたいとも思いました。ただ食事を済ますよりも、「ああ、一工夫した食べ方で、いつもとは違う味がした〜!」とも思いたいのです。更に言えば、人と会食した場合においても、この蕎麦の食べ方をしてみたいのです。それによってちょっと変わった人という意味で味のある人ともなるでしょう。

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2022/03/26

明治38年の作とはね。テンポが良いとは、このことなのかも。ただ、オチには驚いた!出だしが有名なだけに。(^◇^;)

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2022/03/01

面白かった。ストーリーによらず、猫の視点と主人たち愉快な登場人物たちの小噺が本当に面白くて、盛りだくさんで、著者の豊富な知識と表現力の素晴らしさに敬服させられた。 さすが、お札になるだけの人は違うわ。 映画や小説などは、どうしてその展開や結末を意識してしまいがちだけど、いま語...

面白かった。ストーリーによらず、猫の視点と主人たち愉快な登場人物たちの小噺が本当に面白くて、盛りだくさんで、著者の豊富な知識と表現力の素晴らしさに敬服させられた。 さすが、お札になるだけの人は違うわ。 映画や小説などは、どうしてその展開や結末を意識してしまいがちだけど、いま語られているその話そのものが大事であり面白いんだよ、ということの大切さを教えてくれる内容だった。 まさに今置かれている自分の状況にもっとも欠けている部分の大切さをあらためて教えてくれたと勝手に思っている。

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2022/01/24

昭和53年9月15日 33刷 再読 漱石、最初の小説。「ホトトギス」連載後刊行。 当時、ユーモア作品という紹介で、題名からも読み易いのかと読んでみたけど、ユーモアが高尚すぎて読みきれなかったかなあ。 まあ、主人公猫の、当主苦沙味先生は、漱石先生と思われ、その回りに集まる当時の文...

昭和53年9月15日 33刷 再読 漱石、最初の小説。「ホトトギス」連載後刊行。 当時、ユーモア作品という紹介で、題名からも読み易いのかと読んでみたけど、ユーモアが高尚すぎて読みきれなかったかなあ。 まあ、主人公猫の、当主苦沙味先生は、漱石先生と思われ、その回りに集まる当時の文化人の井戸端会議。猫を語部として、明治日本やら風習やら結婚やら、なんでも風刺してしまう。当時としては、画期的なコメディだったのではないですかね。 ラストの方に、自殺についての考証が発言されていて、未来は自殺が本来の死となるだろう、と。(ユーモアたっぷりの表現で) その後、芥川が太宰が三島が自死していく。今も自殺者は減る様子はない。中々のイロニーになってしまった。

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2022/01/31

なんて時代錯誤的な内容なんだろう、それが冒頭を読んだときの私の感想でした。というのも、主人の妻君に対する態度や言葉使い、今では使ってはならないような不適切な言葉がしばしば出てきていたためです。読み初めは、そのようなことばかりが気になってきてしまい、最初はすんなりと頭に入ってきませ...

なんて時代錯誤的な内容なんだろう、それが冒頭を読んだときの私の感想でした。というのも、主人の妻君に対する態度や言葉使い、今では使ってはならないような不適切な言葉がしばしば出てきていたためです。読み初めは、そのようなことばかりが気になってきてしまい、最初はすんなりと頭に入ってきませんでした。 しかしながら、読み進めていくうちにこれが明治時代の大ベストセラーだったと言うことをなんとなく理解できるようなものがありました。 くしゃみ先生が未来の結婚の姿について述べているところです。西欧の個人主義を突き詰めていくと、結局、私は私、あなたはあなたとなり、「人と人の間に空間がなくなって生きているのが窮屈になる」。そうすると、親子兄弟、夫婦と言えども「離れてなくては楽ができない」と言う部分です。 既婚者の三人に一人は離婚経験者、親と別居は普通と言う現代において、明治の時点で、既にそのような人間関係、社会の構造を登場人物を通して、夏目漱石が語っていたことに、その先見性を感じました。 2022/01/30 早稲田の漱石山房記念館へ。 お寺の多い場所にふと現れるコンクリート作りの建物。 庭から入ると猫塚が。吾輩は猫であるのモデルとなった猫の墓だという。さまざまな木々の生える庭をぐるりと回って入館。 私の他に来館者は数名。 まず目が釘付けになったのは、漱石の書斎。 赤いペルシア絨毯、床に置かれた机、筆、硯、平積みの本。漱石はコレクションとしての蔵書はしなかったという。あくまでも本は読まねば意味がない、と言った感じだろうか。蔵書は東北大学図書館へ運ばれて戦火を逃れた。 なぜ、漱石はこれほどの月日を経てもなお、生き続けるのか。 展示されている数々手紙を見て、人と向き合うこと、交友の深さなのではないかと。 漱石山房で開かれていた木曜会のメンバーは後に各界で活躍する。その多さに、漱石山脈と言われたという。 武者小路実篤に宛てた手紙が、なんとも漱石の心の温かさを感じる。 「気に入らない事、癪に触る事、憤慨すべき事は塵芥(ちりあくた)のごとく沢山あります。  それを清めることは人間の力で出来ません。それと戦うよりも、それを赦すことが人間として立派なものならば、出来るだけそちらの方の修養をお互いにしたいと思います」 人間を見つめ続けたからこそ、時を経てもなお、温もりを感じるのだろう。

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2021/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高校のレポート課題のために熟読した思い出の本。「吾輩はなぜ猫であるのか」という題名で考察してた。懐かしい。 初めて読んだときには有名な冒頭部分しか知らなかったので結末には驚いた。生意気な猫だったが読むうちに愛着が湧いていたので死んでしまったのは残念だった。 これといって大きな事件は起こらず、日常を描いた作品で読み進めるのに少し苦労した。しかし、猫の哲学がなかなか深く、的を得ていて、現代にも通用する面白さだと思った。 この本は精神を病んでいた漱石の気晴らしとして書かれたそうだ。一見明るくユーモラスだが、明治時代の生活が滑稽に風刺されている。このウィットに富んだ英国風のブラックジョークはイギリス留学の間に培ったのだろうか。ラストの結末はもしかしたら漱石がもがくのをやめて、楽になりたいという願望がこめられていたのかもしれない。

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