嘔吐 の商品レビュー
30年前の1980年4月15日に74歳で死んだフランスの哲学者・小説家・評論家・劇作家。多分、歴史上始まって以来の世界中で多くの人に読まれた哲学者ですが、それはとりもなおさず彼が自分の思想に基づいた小説や戯曲を書いたからに他なりませんが、それだけではなく、
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哲学者サルトルが書いた有名な小説なのだが、これがやたら面白かった。 今まで読んだ小説で五指には確実に入るくらい。 主人公の独白形式で実存主義とは何かということが書かれて、それがまた普段自分が考えているようなこととシンクロしていたので、哲学小説なのにすんなり読めた。 俺って実...
哲学者サルトルが書いた有名な小説なのだが、これがやたら面白かった。 今まで読んだ小説で五指には確実に入るくらい。 主人公の独白形式で実存主義とは何かということが書かれて、それがまた普段自分が考えているようなこととシンクロしていたので、哲学小説なのにすんなり読めた。 俺って実存主義だったんだね。 自分なりの思考でここまで到達していたとは・・・なんてね。 中二病的ではあるのよ。 歴史的名著を中二病的というのもどうかと思うんだけどね。 孤独な主人公が「自分の存在に理由なんてない」と言いきるあたり、まさに中学二年。 だがそれがいい。 勿論哲学的・文学的に掘り下げられているから読み手によっては難しいと感じるかもしれないし、共感できない部分も多々あるだろうから評価は分かれると思う。 こんな小説を以前にも読んだことがある。 それは埴谷雄高の死霊だ(ソースがウィキペディアで申し訳ないが彼も実存主義者のようだ)。 死霊も人間の存在というのをこれでもかと追い求めた小説だった。 サルトルが「不条理」と言っていたものを、埴谷は「自同律の不快」という言葉で表現していた(と受け取っていいのだろうか?)。 サルトルは「子どもを作ることは馬鹿なこと」と言い、埴谷は「子供を産まないことは真の自由」と言っていた。 うーん、何という共通点。 死霊が好きな自分が嘔吐を好きになるわけだ。 毒性が強いから処方には気を付けないといけない。 でも絶望しているなら読んでおくべき。
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2010/ 2010/ これは読みたい われわれがすでにウェルズちバルビュスに関して考察したすべての問題点を巧妙に総合している。非現実、世人や文明規範の否認、そして最後に、「出口もなく、回り路もなく、抜け道もない」むきだしの存在を映し出す「映写幕」、すべてこういったものが一つ...
2010/ 2010/ これは読みたい われわれがすでにウェルズちバルビュスに関して考察したすべての問題点を巧妙に総合している。非現実、世人や文明規範の否認、そして最後に、「出口もなく、回り路もなく、抜け道もない」むきだしの存在を映し出す「映写幕」、すべてこういったものが一つに織りこまれている。-コリン・ウィルソン この小説は歴史学者ロカンタンの日記という形をとるが、この歴史学者は、ウェルズのような一人まえの科学的な歴史家ではなく、ロルボンという策謀にたけた外交官兼政治家の生涯を探り出す仕事にたずさわっている文学的な歴史家である。
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何度繰り返して読んでも、違和感のある、どこか気味の悪い小説だなと思います。 私にとっては、その違和感、気味の悪さが考えることを喚起してくれます。 「そこに在る」「現実に在る」ことを確認すること、認識することがなぜ大事なのだろう。
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最も好きな小説は何か?と聞かれると答えは難しいが、これは候補の一つ。 「嘔吐」は、実存主義の思想小説という位置づけで語られるのかもしれないが、高3の時に夏休みをまるまる使ってこれを読んだ僕には、純粋に小説としてうっとりさせられるものがあった。パリの小料理屋での会話。部屋を包む芳醇...
最も好きな小説は何か?と聞かれると答えは難しいが、これは候補の一つ。 「嘔吐」は、実存主義の思想小説という位置づけで語られるのかもしれないが、高3の時に夏休みをまるまる使ってこれを読んだ僕には、純粋に小説としてうっとりさせられるものがあった。パリの小料理屋での会話。部屋を包む芳醇な匂いや、窓についた水滴までしっかり伝わってくるようで、そんな細かい描写が、たとえばブラームスの地味な作品をじっくり聞くような充実した気分にさせられた。一人で思索する男が、最後に夜の鉄道の駅に行き、女に会いにゆくようなシーンで終わっていたと記憶する(曖昧だけど)。 高3で実存主義小説の思想的な面が充分に理解できるわけもない。しかしこれが思春期のすごさだと思うけれど、小説みたいな情緒にのると、感受性豊かな年頃だと、あとで考えてもびっくりするような飛躍とともに何か高度なものを理解または把握することがある。思春期の小説の読み方は、大人になってからの読み方と、明らかに違う種類の読み方をしている。解釈は無茶苦茶だけれど、大人になってからよく理解しながら読むよりもはるかに高く感動する。そして大人になった今考えても、あの頃のほうがかえって何か本質を把握していたんじゃないか、と思うことがある。 高3の夏休みが終わって2学期になると、学校の先生たちは生徒に授業で負担を強いなくなる。受験を控えているから自分たちのペースでやれ、という感じで。それをいいことに僕は授業中にボーッとしていることが多くなったが、そんな時にひとりでに頭に浮かんでくるのが「嘔吐」の思想のことだった。読んでいる時にはあまりハッキリしなかったことが、そんな午後の物憂い授業中に「ハッ、あれは、こういうことだったんじゃないか」なんて思い浮かんだことが再三あった。 ランクを星5つではなく4つにしたのは、大人になった今読んだら、どんな感想を持つだろうか?というのがわからないから。
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予備知識はありましたがニコとまったく同じこと考えてて震えた。 哲学的でありすぎるのはしょうがないんですが、嫌いな人には受け付けられないだろうなあ。泣けるのに。 存在の上にぴったりと張り付いた「意味」の正体が分からなくなり、ついには自分自身の存在の意味さえも分からなくなるロカ...
予備知識はありましたがニコとまったく同じこと考えてて震えた。 哲学的でありすぎるのはしょうがないんですが、嫌いな人には受け付けられないだろうなあ。泣けるのに。 存在の上にぴったりと張り付いた「意味」の正体が分からなくなり、ついには自分自身の存在の意味さえも分からなくなるロカンタンの覚える吐き気。 淡々と語ることに意味のある日記を媒介として、自分自身の存在をあくまで客観視しようと努めた彼が、とうとう希望を見出せた静かな結末はどこかロマンチックで素敵です。
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難解でした。実存主義はわからなかったんですが、小説中のけだるい感覚は、いかにもフランスって感じですね。
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現代社会に大きな影響を与えた彼の中心的作品です。 サルトルの実存主義思想が反映された作品で、その点を多少踏まえないと、まさに嘔吐がでるほどつまらない作品になるかも(爆)。
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単なる小説の枠を超えた実存哲学の“聖典” 主人公ロカンタンがマロニエの木の根元で察した吐き気の正体 それはまさに実存そのものであった…
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旅行先で何日かかけて読んだ。やっぱりフランスの人ですね、といまは思う。こういう本をゆっくり読む暇人な生活をもう一度してみたい。
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