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時の娘 の商品レビュー

4

106件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    43

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2022/01/27

ミステリの名作だと思うが読了するのに苦労した。 そもそもイギリスの歴史を知らなくて、名前が全然頭に入ってこない。複雑な王室の系図を結局最後までしっかりと理解できないまま読み終わった。本作を楽しむには、最低限のイギリスのこの時代の知識が必要かも知れない。 歴史上の事実として認め...

ミステリの名作だと思うが読了するのに苦労した。 そもそもイギリスの歴史を知らなくて、名前が全然頭に入ってこない。複雑な王室の系図を結局最後までしっかりと理解できないまま読み終わった。本作を楽しむには、最低限のイギリスのこの時代の知識が必要かも知れない。 歴史上の事実として認められているものを覆すエンタメは、それなりに数もあると思うが、学会において、その本を契機に定説が変わったことってあるのかな。

Posted byブクログ

2021/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古典ミステリを読もう企画 安楽椅子探偵が紐解く歴史ミステリ。 歴史ミステリを全く読んだことなかったが、こういうのなの?!こんな書き方のジャンルがあるとは。 史実を再考察して、謎を解いていく。 イギリス史がよく分からず、名前も似すぎてて、誰が誰だかよくわからなくなる…が、それでもなんか面白いとページが進んだ。 キャラクターが良いのかも。 一方の説だけ考えるのは正しくないとは思うが、この小説を読むと歴史書より信憑性あるように感じちゃうよね〜 主人公が入院してる理由がマンホールに落ちた、は出オチ感あった。

Posted byブクログ

2020/12/19

この表紙は、かの悪名高リチャード三世の肖像画だとか。大分印象が異なるな、というのが正直なところ。歴史上の評価が時間を経て変化するのはよくあること。これもまたそのひとつかも。

Posted byブクログ

2024/02/29

イギリスでは世紀の大悪人のように語られるリチャード三世。自身の玉座のために、幼い甥たちを殺害したとされる。彼は本当に悪人だったのか?本当に幼い王子たちを無惨に殺したのか?怪我で暇を持て余した刑事は、暇潰しがてら始めた歴史の考証にどんどん夢中になり…という内容。 日本でいえば、長ら...

イギリスでは世紀の大悪人のように語られるリチャード三世。自身の玉座のために、幼い甥たちを殺害したとされる。彼は本当に悪人だったのか?本当に幼い王子たちを無惨に殺したのか?怪我で暇を持て余した刑事は、暇潰しがてら始めた歴史の考証にどんどん夢中になり…という内容。 日本でいえば、長らく低い評価をされてきた明智光秀の復権話に近いでしょうか?? 読み終わった感想としては、とにかく薔薇戦争、リチャード三世の周辺についてある程度興味も知識もあるなら、そこそこ面白い。無ければチンプンカンプンって感じです。イギリス王室って同じ名前の人がとてもたくさんいて、親子だったり、親戚だったり、対立したり、協力したりととてもややこしい。例えば『かのエリザベスが〜』とかの記述で、どのエリザベスになるのか、ある程度ヨーク家の家系図が入ってないとほんと分かんなくなります。 私はそもそも呼んだきっかけが漫画の「薔薇王の葬列」関連の話を読みたいという気持ちでした。漫画のおかげで、エドワード、ジョージ、リチャード、エリザベス等々ちゃんと顔が浮かんでくるのでとても区別しやすかったです。 漫画は架空の物語にせよ、モデルになったリチャード三世に少なからず好感を抱いてたので、個人的には満足するお話でした。 ただ、サラッと読みすぎたのか、読み終わった今でもタイトルの時の娘が何を指しているのかいまいち分からなかったです。

Posted byブクログ

2020/05/02

骨折で入院した刑事グラントは、友人の女優マータが暇つぶしにとお見舞いに持ってきてくれた〈ミステリーを隠した肖像画〉カードのなかに、一際印象深い一人の男の顔を見つける。それは幼い甥たちを殺した残虐な王として知られるリチャード三世だった。肖像画がどうしても人殺しに見えないという刑事の...

骨折で入院した刑事グラントは、友人の女優マータが暇つぶしにとお見舞いに持ってきてくれた〈ミステリーを隠した肖像画〉カードのなかに、一際印象深い一人の男の顔を見つける。それは幼い甥たちを殺した残虐な王として知られるリチャード三世だった。肖像画がどうしても人殺しに見えないという刑事の勘から、ベッドの上で歴史の独自調査をはじめたグラント。やがてマータの紹介で知り合った大英博物館に入り浸りの青年キャラダインも加わり、歴史の裏に隠されたミステリーにのめり込んでいく。 リチャード三世の悪逆非道なイメージは、トマス・モアとそれを鵜呑みにしたシェイクスピアが作り上げた!とする歴史ミステリー。今ではわりとよく見る感じだが、一九五一年当時はこれが嚆矢だったのかな。訳者あとがきを読んで納得したのは、「歴史ミステリの生命は、“歴史をみつめる学者の眼をもってしてではなく、あくまで推理作家の眼をもって眺める”ところにあります」という点。たしかに推理小説の方法論が歴史学の方法と対比させることでくっきりとわかりやすくなっている。これはロンドン塔の二皇子殺害事件をホワイダニットで問い詰めていくと、リチャードではない真犯人が浮かび上がるはず、という小説なのだ。 前半はグラントの人となりが気に食わなくて(笑)入り込むのに時間がかかったけど、内気なアメリカ青年キャラダインが調査員として加わってから、グラントの印象もよくなった。二人が「トニイパンディ」という符号を共有し、バディとしての関係を深めていくあたりの会話は微笑ましい。 最終的に薔薇戦争の要点が掴めたのでありがたい。終盤にグラントが書くリチャード三世とヘンリー七世の比較メモすごいタメになる(笑)。これでわかった気になるのもトニイパンディだろうけど。歴史は勝者が語るものなんだなぁ。

Posted byブクログ

2020/04/02

ひょんなきっかけで、ウェールズに関する本を読み漁っていた時に出会った本です。 シェイクスピアなどの古典で、名前は聞いたことあるし、ひどいことした人なんだなぁ、というくらいのイメージしかありませんでしたが。。 昔々の話ですし、この本に書いてあることが真実とも限りませんが、目から...

ひょんなきっかけで、ウェールズに関する本を読み漁っていた時に出会った本です。 シェイクスピアなどの古典で、名前は聞いたことあるし、ひどいことした人なんだなぁ、というくらいのイメージしかありませんでしたが。。 昔々の話ですし、この本に書いてあることが真実とも限りませんが、目から鱗のお話でした。 歴史書ではなく小説なので、主人公が徐々に徐々に、真相(歴史上ほんとうにそうだったかは定かでないし、今となっては知るすべもないものの)に近づいていくという構成が、読者を飽きさせず、さらっと読めてしまう本です! この話が本当だったとしたならば、亡くなった後にまで丸裸にされて人目に晒されるなんて、なんて惨いんだと思うと同時に、日本の戦国時代しかり、平和な時代に生まれてよかったと考えさせられます。

Posted byブクログ

2019/12/07

犯罪が絡むわけでもなく、日常の中に不可思議なことが起こったわけでもない。それでも時に人は無や常識から疑問を見いだし、謎を設定し、そして真実を見つけようとする。研究なんかもそうですが、こうやって謎や疑問を自ら定め、そして自分の興味を第一の理由にそれに挑むのが、ある意味最も純粋な謎解...

犯罪が絡むわけでもなく、日常の中に不可思議なことが起こったわけでもない。それでも時に人は無や常識から疑問を見いだし、謎を設定し、そして真実を見つけようとする。研究なんかもそうですが、こうやって謎や疑問を自ら定め、そして自分の興味を第一の理由にそれに挑むのが、ある意味最も純粋な謎解きではないか、と思います。 そんな謎解きに挑むのが、足を骨折し病院で暇を持て余すグラント警部。警部はふとしたきっかけから、歴史上では悪人と名高いリチャード三世に対し疑問を抱き、様々な文献をあたり、彼が本当に大悪人だったのか推理を始めます。 推理の過程が非常に面白い! 史実に対し頼りになるのは、文献や当時の記録のみなのですが、グラント警部はその文献の記録の妥当性や公正性すらも考慮に入れます。例えば、その文献の著者は、当時の関係者なのかだとか、立場であるとか、伝聞のみで文章を書いたのではないか、だとか。 こうやって考えてみると、グラント警部は探偵としても優秀なんですが、情報リテラシーの鏡でもあるよなあ。ネットはもちろん、マスコミや新聞だって100パーセント中立はあり得ないわけで、必ず編集する側の意思は入ります。それも考慮して、日々の情報を読み解くことが大事なのですが、グラント警部はぜひニュースの解説員にもなってほしい(笑) 当時の歴史上の人物の行動と、その行動を取った意味と妥当性、そして利益。グラント警部はイメージに彩られた歴史の通説を排し、純粋にそうした観点のみで、歴史に思いを馳せ推理、考察していきます。この観点は非情に単純なのに、それだけで歴史の意味が変わってくるのは面白い! そして、この本で何より楽しいのは、グラント警部と、話の途中から警部に協力する研究生のブレントが新たな発見や、推理を純粋に楽しみ興奮しているのが、伝わってくることでもあります。 上記したように、巻き込まれた・持ち込まれた謎ではなく、自ら謎を設定し、具体的な被害も無く、興味だけで推理を進めていく物語だから、より純粋に”謎”それ自体を楽しんでいる感覚が、伝わってくるような気がします。なのでリチャード三世もイギリス史も全く詳しくない自分も、彼らと同じように純粋な謎解きを楽しめたのだと思います。 小説の中で様々な文献の名前が出てくるのだけど、これもそれぞれ面白そうで、これが架空の作品なのか、実際の作品なのかも気になるなあ。そして、そうした文献に対するグラント警部の辛辣な評価(レビュー)も、なかなか面白い。 ニュースの解説員はさっき書いたけど、書評家にもなってほしい。でも流行小説に対する評価は手厳しいので、出版社からは煙たがられるかも(笑) 本編とは関係ないのですが、ブレントを”むくむく仔羊ちゃん”とたとえてるのも印象的。どんな見た目だったんだろう。

Posted byブクログ

2019/09/18

 グラント警部は犯人を追跡中に足を骨折して入院することとなったが、ベッドから動けずに退屈を持て余していた。友人である女優のハラードは、歴史上のミステリーを探究すれば退屈がまぎれるのではないかと提案し、何枚もの歴史上の人物の肖像画を持参する。グラントは、その中の1枚に関心を持つ。グ...

 グラント警部は犯人を追跡中に足を骨折して入院することとなったが、ベッドから動けずに退屈を持て余していた。友人である女優のハラードは、歴史上のミステリーを探究すれば退屈がまぎれるのではないかと提案し、何枚もの歴史上の人物の肖像画を持参する。グラントは、その中の1枚に関心を持つ。グラントは人間の顔に現れる人物の性格を見抜く特技を持っていた。彼の眼には良心的で責任感のある人物として映ったその肖像画の主は、リチャード3世であった。  この小説は、「歴史がいかにして作られるのか」を探究し、確かな証拠がないにもかかわらず今や定説となってしまった歴史が、恰も真実のように語り継がれていることに疑問がある。グラントは、チューダー朝によって記された虚構が「歴史」として現在も流布しているのだという答えを導き出す。 著者テイは本書出版後間もなく没しており、本作が作者存命中に出版された遺作となった。  この作品が出版された際に、アントニー・バウチャー(推理小説の批評家)はこの作品を「推理小説分野において、永く古典とされる作品で(not only one of the most important mysteries of the year, but of all years of mystery)」と評しています。  お気づきかと思いますが、日本では〈安楽椅子探偵〉・江戸川乱歩先生が高く評価し、〈寝台探偵〉とも呼んでいます。探偵は一歩も動かない。登場するデータはすべて史実という制約が課せられている難しさはあります。  この作品が上梓され評判になり、高く評価しご自身の作品にも取り入れたのは、高木彬光の『成吉思汗の秘密』(1958年)等の神津恭介シリーズです。  「訳者あとがき」までお読みください。味わい深い作品だと思う。

Posted byブクログ

2019/08/31

 歴史ミステリーは、読んだ覚えがない。安部公房の『榎本武揚』は、世に知られた榎本を裏切者として見たものだったから、あれは歴史ミステリーなのかもしれない。でも他には覚えがない。ぼくには。  戦後の出版。生まれる前の本。ハヤカワ文庫の初版が出たのが、42年前か。ぼくはその頃はドスト...

 歴史ミステリーは、読んだ覚えがない。安部公房の『榎本武揚』は、世に知られた榎本を裏切者として見たものだったから、あれは歴史ミステリーなのかもしれない。でも他には覚えがない。ぼくには。  戦後の出版。生まれる前の本。ハヤカワ文庫の初版が出たのが、42年前か。ぼくはその頃はドストエフスキーか山岳書ばかり読んでいた頃。ミステリには何の関心も持っていなかった。ハードボイルドにも。冒険小説にも。  本書は、犯人追跡中にマンホールに落ちて怪我をした警部が、入院中の退屈さを凌ぐために歴史資料をひっくり返して、子供二人を殺させた悪人として知られるリチャード三世の素顔を探る。肖像画を見ているとどうも殺人者という風に見えない。真犯人は別にいるのではないか? そんな直観が、彼を思わぬ歴史解釈へと引っ張り出す。警察捜査の手法で暴き出す歴史の真実、というところに本書の面白みがある。何せ30冊も増版を繰り返し、今なお、ミステリの傑作として名を遺しているのがこの作品なのだから。  さて入院と言えば、ぼくも今年の一月と二月に二度、半月ずつの入院を経験した。その時には、ミステリ小説を一日か二日で一冊ずつというペースで読み、退屈と闘わずに済ませていた。それぞれの本の中の事件が一晩か二晩で解決する。そのスピードで次から次へとミステリを読み漁っていた。  本書のグラント刑事は、何日も何日も同じリチャード三世の事件に関わり、一つの事件に対し何冊もの資料や歴史本を読み漁る。手伝いのアメリカ人学生や親しい舞台女優にも外部での調べ物を手伝ってもらいつつ事件を探る。歴史を探る。  ミステリ読者は次から次へと新たな事件を求めるのに、捜査を職業とするグラント警部は一つの歴史的逸話の向こうの真実を暴き出そうと執念を燃やす。まずこの違いが、本作なのであると思う。執念と的確な捜査力や推理力。何を見るべきか、誰を探すべきかを知っている捜査畑の眼で見た歴史的真実。そこが本書の魅力、と言っていいだろう。ぼくのようなただのミステリ好きではこの物語の主人公は務まらないのだ。  何よりも一般に知られている歴史的資料は胡散臭いものばかりで、不自然で理屈に合わないものばかり。再調査・再推理の妥当性を嗅ぎ取ったグラントと助手訳のキャラダイン青年の知的好奇心の行方にぼくらはおつきあいすることになる。勝者に綴られた歴史は真実を隠蔽する。本書冒頭にある「真実は時の娘」と言う言葉と本書のタイトルを結び付け、良質の歴史ミステリがかくして出来上がる。  本日、本業を終えたその足で駆けつけた札幌翻訳ミステリー読書会の課題書が、実は本作である。このような機会がなければ英国史に暗いぼくが本書と出会うことはなかったであろう。主催者の方々の、価値ある名作を掘削してくる選定眼には、ただただ敬服と感謝を表したい。懇親会の食事と呑み物と、そこで交わされた貴重な話題やご意見にも深い尊敬と感謝の気持ちを!

Posted byブクログ

2019/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イギリス人ならもっとずっと理解できて楽しめるんだろうなぁ。 薔薇戦争とかリチャード3世とかヨーク家とかランカスター家とか、誰がイギリス系統で誰がフランス系統でとか、そういう歴史がわかってないから、おそらく半分も理解できなかった。 それでもそこそこおもしろく読めたので、歴史がわかってたらもっともっと楽しめたのにと思う。

Posted byブクログ