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幻の女 の商品レビュー

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92件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

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  3. 3つ

    19

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2021/04/21

「夜は若く彼もまた若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の心は苦かった」という稲葉明雄の名訳が素晴らしい。妻と喧嘩し部屋を飛び出したスコットはバーで〈かぼちゃ型の帽子〉を被った女に会う。その女と芝居を観に行き、部屋に戻ると刑事が待っていた。そしてネクタイで絞殺された妻の死体。スコッ...

「夜は若く彼もまた若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の心は苦かった」という稲葉明雄の名訳が素晴らしい。妻と喧嘩し部屋を飛び出したスコットはバーで〈かぼちゃ型の帽子〉を被った女に会う。その女と芝居を観に行き、部屋に戻ると刑事が待っていた。そしてネクタイで絞殺された妻の死体。スコットは殺害容疑で逮捕される。スコットのアリバイを証明できるのはかぼちゃ型の帽子の女だけ。しかし彼女は現れない。スコットに死刑宣告が下る。果たして女は実在するのか?彼女はどこなんだ!と一緒になって探し回る気分。彼女しか自分の無実を証明できる人はいない。この強烈なスリルは衝撃的でした。語るまでもない名作!

Posted byブクログ

2020/12/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古くは古書店で原書と遭遇した乱歩が、他人が既に購入予定で採り置きしていたものを横取りしてまで読んで、大絶賛した本書。 早川書房のミステリベスト100アンケートで第1位を獲得した本書。 また「『幻の女』を読んでいない者は幸せである。あの素晴らしい想いを堪能できるのだから」と誰かが評するまでの大傑作、『幻の女』。 とうとうこの作品を読む機会に巡り合った。 内容は既に巷間で語られているせいか、特に斬新さを感じる事は無かった。また有名な冒頭の文、「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」に代表されるほどの美文は特に散見されなかったように思う。それはチャンドラーの文体のように酔うような読書ではなく1日に70ページも進むようなクイクイ読ませる読書だったからだ。 しかし、当初思っていた以上にその内容は趣向を凝らし、読者を飽きさせないような作りになっているのは素晴らしい。 主人公が妻殺しの無実を証明するためにアリバイを立証する幻の女を捜すが、なぜか見つからない。ただこれだけの話かと思ったが、主人公ヘンダースンを取り巻く愛人、無二の親友が当日彼に関わったバーのバーテンダー、劇場の出演者などを執拗に探るが最後の最後で不慮の事故に遭い、徒労に終わること。 これは何度となく繰り返されるプロセスなのだが、それぞれがアイデアに富んでいて非常に面白い。特に愛人のキャロルがそれら関係者の口を割らせるために執拗に付き纏う様はどちらが敵役なのか解らなくなるほど、戦慄を感じさせる凄みがあった。 そして死刑執行当日に訪れる驚愕の真相と犯人に仕掛けたトリックの妙。親友が主人公の妻殺しの真犯人探しのためにわざわざ南米から戻ってくるというのがそこまでするかなぁと思っていたのが見事に腑に落ちる。そして世界が崩れる音が聞こえ、理解するのに何度も読み返した。 やはり傑作は傑作であった。 しかし、私的な感想を云えば、最後に幻の女の正体が判る事は、蛇足だったのではないだろうか。幻の女は最後の最後まで幻の女であって欲しかった。これが正直な感想である。

Posted byブクログ

2020/05/09

東大王 水上氏の本で推薦されていたので読んでみた。「スロウハイツ」に続き2冊目。 とても古い本であるが、とても面白かった。古典の名作。 ドラクエのように、課題を終えたらまた次の課題という展開で、途中で本を閉じることができない。 ツッコミたくなる点がないではないが、素直...

東大王 水上氏の本で推薦されていたので読んでみた。「スロウハイツ」に続き2冊目。 とても古い本であるが、とても面白かった。古典の名作。 ドラクエのように、課題を終えたらまた次の課題という展開で、途中で本を閉じることができない。 ツッコミたくなる点がないではないが、素直に面白いと言える小説だった。 (86)

Posted byブクログ

2019/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

知人の勧めで。面白くて一気読みしてしまった。 主人公は妻殺しの冤罪で拘留される。裁判で死刑判決を下される。死刑を免れるには、事件時刻に主人公が連れて歩いていた女に証人になってもらいアリバイとするしかない。しかしその女について目撃証言もないどころか、主人公を見かけたバーの店員や劇場の受付、レストランのボーイは「連れはいなかった」と証言し、女は幻だったのではないかと思えてくる。刻一刻と迫る死刑執行の日。もうダメかと諦めていた主人公に差し伸べられたのは古人の手助け。古人はあの手この手で「幻の女」を探し出そうとするも徒労に終わる。最後の一手でやっと「幻の女」をとらえるが、個人の女捜索の目的は、実は主人公の願いとは全く別のものだった…

Posted byブクログ

2020/02/11

古典的名作に対しておこがましいが、うまく出来ている。 普段ミステリーはほとんど読まず、読むとしても評価の動かない名作ばかり選ぶので、このジャンルに対しては「はずれ」を経験したことがなく、蜜月関係を維持している。 本作は1930~40年代のNYの、街の魔物性が強く伝わってくるよ...

古典的名作に対しておこがましいが、うまく出来ている。 普段ミステリーはほとんど読まず、読むとしても評価の動かない名作ばかり選ぶので、このジャンルに対しては「はずれ」を経験したことがなく、蜜月関係を維持している。 本作は1930~40年代のNYの、街の魔物性が強く伝わってくるようで、そこも好きな点。

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2019/02/23

古典ミステリ。今読んでも色あせない。 死刑の期限が迫る中、親友の男は幻の女を探す。関係者が口を揃えて「そんな女は見なかった」という恐ろしさ。届いたと思った瞬間スルッと消える手がかり。 結局、女の正体は、拍子抜け感はありますが、そこまでのスリルが良い。あとプラットフォームのすれ違う...

古典ミステリ。今読んでも色あせない。 死刑の期限が迫る中、親友の男は幻の女を探す。関係者が口を揃えて「そんな女は見なかった」という恐ろしさ。届いたと思った瞬間スルッと消える手がかり。 結局、女の正体は、拍子抜け感はありますが、そこまでのスリルが良い。あとプラットフォームのすれ違う緊迫感、地下室の即興演奏会、小部屋の荒んだ女とのかけひきなど、ストーリーから離れた細部まで脇役まで、各シーンが印象的でイメージしやすくて、さすが名作。

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2018/07/17

読者の期待をふくらませ、いかに裏切るか、というのがミステリの醍醐味なら、この小説の読者の騙しかたはなかなかすごい。 流石に不自然な部分もあるが、裏切り方が鮮やかなのはやられた、って感じ。

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2017/09/27

いわずと知れた名作です。名作中の名作なんです。 彼の作品には、エドワード・ホッパーの絵画が似合います。こちらも「ナイトホークス」という代表作が御座いますが。 絵心のない私ですら感ずるものを覚えて、PCの壁紙なんかにもしていました。併せてご覧になられる方が居たら幸いというか

Posted byブクログ

2017/04/16

名作として名高いこの本は、1人の女性を探すことで話しが進む。主人公の男がある女性と一緒に居る間に家で殺人が起きる。アリバイの証明のためにその女性を探すが、だれ1人として女性を覚えていない。これはどういうことだろうか。 この作品は文庫本ですら1976年に発行されており、古典と言え...

名作として名高いこの本は、1人の女性を探すことで話しが進む。主人公の男がある女性と一緒に居る間に家で殺人が起きる。アリバイの証明のためにその女性を探すが、だれ1人として女性を覚えていない。これはどういうことだろうか。 この作品は文庫本ですら1976年に発行されており、古典と言えるだろう。当時、この作品が世に衝撃を与えたことは想像するに難くない。しかし、ミステリ小説が溢れるようになった現在、その衝撃を未だ持ち続けているとは思えなかった。 ミステリという視点ではどうしても、都合が良すぎると思ってしまう点がいくつかある。ミステリのような整合性が重要視されるジャンルでは、気になってしょうがない。 最後の方で驚きが用意されているものの、私はあまり驚けなかった。確信は無かったが、なんとなく思っていたことが当たっていたのが残念でならない。ただ、読者の焦点をずらす設定にしている事は本当に上手いと感じた。やはり有名作だけあって、読み応えもあり、先が気になる展開を見せてくれている。人に薦めるのにはうってつけの作品だと思う。 それと、冒頭が素晴らしい。やはり有名らしいが、この表現は痺れた。 夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。

Posted byブクログ

2016/03/28

サスペンス。 文章も内容も、非常に現代的な印象を受ける。洗練されている、という感じ。 ただ、純粋なサスペンスというのが、自分には合わないと痛感。

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