続 氷点(下) の商品レビュー
陽子にとっての罪のゆるしとは。 育ててくれた母の夏江のように自分はならない、、と自分が正しいと思って見下していたと気づいたとこ、そして自分を捨てた実の親を憎むとこ、最後の陽子の気持ちは燃える流氷として描かれていたのはドラマティックであった。 特に夏江とかちっぽけすぎて共感できない...
陽子にとっての罪のゆるしとは。 育ててくれた母の夏江のように自分はならない、、と自分が正しいと思って見下していたと気づいたとこ、そして自分を捨てた実の親を憎むとこ、最後の陽子の気持ちは燃える流氷として描かれていたのはドラマティックであった。 特に夏江とかちっぽけすぎて共感できないところもいっぱいあったけど、世の中のいろいろな問題や感情がいろいろちりばめられた作品なのかもと客観的にみつつ、自分の中の罪の意識を考えさせられた作品だったかな。今このタイミングで読めたのは自分的によかったけど、また罪とはなんて忘れていく。そしてまたぶつかっての繰り返しなんじゃないかと思うけど、自問自答してくのも悪くないし、むしろ考えて答えを探していく人生なのかもなと思った。
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なんか、最後は凄い事になったなぁ。結局人を赦すという事がテーマだったと思うがなんとなく、尻切れとんぼのような感じ。これからは、達也が一生苦しみを背負って生きるという事だけはわかる。現代でこんな風に生きてる人の方が少なくなってるんじゃないかな。
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一生を終えてのちに残るのは われわれが集めたものではなく われわれが与えたものである。 この言葉 忘れないようにしよう。
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今回は達哉が気持ち悪かった。大学生にもなって学校での事を家で話す?なんぼ母親に似てるからいうてもなぁ・・・。 辰子さんの家で男達が老人の日や母の日について語ってるのを読むと今も昔も同じやなぁと思った。
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今冬ドラマ化予定の石原さとみちゃん主演、氷点。 どこまで放送されるのかわかりませんが、とりあえず続編までも読み終えました。 前作品でのテーマは原罪。 そしてこの続編でのテーマは罪のゆるしとなってます。 人間って勝手なものですべて起こったことを自分中心の観点から判断しますよね。 実はそれっていかに傲慢なことなのか・・・っていうのが最後の結末。 まあこれはキリスト教の教えみたいなんですけどね。 本文の描写の中にもそれが何度か出てくるんです。 他の人のやったことは許せないのに、同じようなことでも自分がやったことなら許せる・・・みたいな。 こういう感情ってけっこう日常茶飯事だと思うんですけど、そういった感情を個人個人が持ってるから世の中ってややこしいんですよね。 最後のほうの流氷の描写は、ちょっと読むだけではわかりにくかったのでドラマの放送が楽しみです。 以下に簡単なあらすじをまとめてみました。 続編は、自殺を図った陽子が大学生として新しい一歩を踏み出すところから始まります。 新たに登場するのが、陽子の実の母とその子どもたち(とその父親)。 それから、徹と北原をはさんでの三角関係は、もう一人の女の子を交えての四角関係になります。 読みすすめていくうちに彼女が誰であるか予想はついたんですけども。 このことも、罪のゆるしというテーマを扱うには大きな存在というわけです。 そしてもちろん夏枝と啓三、村井、由香子たち(もちろん辰子や高木も)を抜きにして語られることはないんですが、陽子と比べると対照的というか、暗いというか、けっこう重苦しい展開だったりします。 ま、陽子のほうも前編に比べるとかなり暗いんですけどね。。。 物語の軸としては、陽子の弟にあたる達哉がポイントとなって進んで行きます。 最後の結末へ向けてのストーリーも彼がいなければありえないですから、けっこう重要な役割です。 彼が起こした行動によって、ラスト、陽子はある決断をすることになります。 そう。 陽子は徹、北原のどちらを選ぶことになるのか・・・・?! 陽子にとっての罪のゆるしとは?!
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突然ですが、出てくる名言を備忘録的な意味で書き出します。 「おもしろいだろう。つまり、人を殺した、強盗に入った。これが吾々にとっては大きな石なんだね。しかし、うそをいった、腹を立てた、憎んだ、悪口をいった、などという日常茶飯事は小石なんだな。つまり、ひとには始末のつけようがないんだね」続・氷点(上)234 「人間は、たとえ自分に非があっても、責められればひらきなおるものかも知れない。(中略)泥棒にも三分の理という諺がある。どうしてこんな気持ちになるのだろう。もともと人間には、いかに悪いことをしても、責を当然として受ける素直さがないのだろうか。」続・氷点(上)287 「父の啓造を愛していたという由香子に、陽子は好意を持ってはいなかった。今もむろん、そのことに関しては受けいれることはできない。だがそれだけで、その人間全体を全く否定してはならないような気がした。確かに一事を以て、その人間の根本を問われることもあるかもしれない。 しかし由香子の場合、その全存在を問われることもあるかもしれない。」続・氷点(上)310 「何度も手をかけることだ。そこに愛情が生れるのだよ。ほうっておいてはいけない。人でも物でも、ほうっておいては、持っていた愛情も消えてしまう」続・氷点(上)315 「自分一人ぐらいと思ってはいけない。その一人ぐらいと思っている自分に、たくさんの人がかかわっている。ある人がでたらめに生きると、その人間の一生に出会うすべての人が不快になったり、迷惑をこうむったりするのだ。そして不幸にもなるのだ」続・氷点(上)318 ジェラール・シャンドリ「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」「おもしろいものだね。あくせくして集めた金や財産は、誰の心にも残らない。しかしかくれた施し、真実な忠告、あたたかい励ましの言葉などは、いつまでも残るのだね」続・氷点(上)320 「叱られるからするとか、しないとかいうのは、サーカスの犬か猿みたいよ」続・氷点(下)87 「たとい、わたしが自分の財産を人に施しても、また自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である」続・氷点(下)226 「しかし、人間は、あくまで自分を正義の基準とすると牧師はいった。自分を絶対の基準とし、それよりも高い者をも、低い者をも、嘲笑する。例えば中学生などが学校で掃除当番をさぼろうといい出したとする。全員が賛成なら文句はないが、一人だけさぼらぬ人間がいると「いやな奴だ」と冷笑する。後略」続・氷点(下)229 「常に相手を正しくないとして責めているからだ。相手を正しくないというのは、自分は正しいと思っていることなのだ。冷たい気持で正義を求めても救いはないのだと、啓造は、少し気持ちを和らげていった」続・氷点(下)230 「妻のある啓造に心を寄せた由香子に、陽子はどうしても許し難いものを感じてきた。が、なぜかいまは、啓造を愛した由香子を憎めなかった。(人間には、不幸な出会いというものがあるのかも知れない)」続・氷点(下)355 「自分がこの世で最も罪深いと心から感じた時、ふしぎな安らかさを与えられることの、ふしぎさも告げたかった。」続・氷点(下)367 「裏切ったことのある人と、ない人の一生では、ずいぶんちがうのじゃないかしら」続・氷点(下)44 「三井さん、友情というのは、もっと静かなものよ。そんなにあせったりなさっては、いけないわ」続・氷点(下)83 「ごめんなさい、心配かけて。でもね、わたし自殺しようとしたからいえると思うけれど、真実に生きるということよりは、死ぬことのほうが、やさしいわ」続・氷点(下)138 聖書の引用「自ら復讐すな。復讐するは我にあり、我これを報いん」続・氷点(下)191 「そしてそれらが、お互いに影響し合い、役立ち、調和している」中略 (要するに、これらの人間が、すべて活かし合うといいのだ)続・氷点(下)246 「ただひたすら、石にかじりついてもひねくれまい、母のような女になるまいと思って、生きてきた。が、それは常に、自分を母より正しいとすることであった。相手より自分が正しいとする時、果して人間はあたたかな思いやりを持てるものだろうか。自分を正しいと思うことによって、いつしか人を見下げる冷たさが、心の中に育ってきたのではないか。」続・氷点(下)362 心底、感動しました。 自分の中で、この小説と出会えたタイミングなども含めて、まさに出会うべきして出会った小説ではないかと。 自分も出来るなら、陽子のように生きてみよう。 そう思わせてくれる、美しい力がある作品です。
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「氷点」上巻を読み終えて、いざ下巻へ…と思ったら。 陽子は実は佐石の子ではなかったことになってるし、陽子の母は三井恵子…だ、誰?? 話が飛びすぎでついていけない…それもそのはず、私が買っていたのは「続 氷点」の下巻でした…。 高木の配慮により、佐石の娘ではなく他の子を養子縁...
「氷点」上巻を読み終えて、いざ下巻へ…と思ったら。 陽子は実は佐石の子ではなかったことになってるし、陽子の母は三井恵子…だ、誰?? 話が飛びすぎでついていけない…それもそのはず、私が買っていたのは「続 氷点」の下巻でした…。 高木の配慮により、佐石の娘ではなく他の子を養子縁組させられていた辻口。陽子のことをルリ子の仇 佐石の娘と思い込み、冷淡にし続けていた夏枝。陽子を絶望させ、自殺未遂にまで追い込んでしまったことへの自責の念を抱えながら、彼女が殺人犯の娘ではなかったことに安堵する辻口夫妻。 陽子の弟や本当の佐石の娘まで登場して、ますます昼ドラ風に… 赦すこと、赦されること。裁くこと、裁かれること。ザ・三浦綾子作品。 私は夏枝や恵子にイラッとしちゃうのですが…特に夏枝…何で高木さんまで夏枝にホの字なんだよう…
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自分は背信の上に生まれた娘だと思う陽子は、生みの親恵子を許すことが出来ない。陽子と恵子を中心とした人間関係が因果に交わっていく。 登場人物全員集合という勢いの因果関係だった。自分の感想を書くよりもこの高尚な解説を下記に示すことにした。 文学とは何か?それは人間を解明するも...
自分は背信の上に生まれた娘だと思う陽子は、生みの親恵子を許すことが出来ない。陽子と恵子を中心とした人間関係が因果に交わっていく。 登場人物全員集合という勢いの因果関係だった。自分の感想を書くよりもこの高尚な解説を下記に示すことにした。 文学とは何か?それは人間を解明するものである、ということができょう。しかし、人間をどのように解明しようとするのか。漱石の文学のように人間の愛の不確かさと救いの無さを解明するのか。それとも芥川文学のように人間のエゴイズムのものすごさを解明するのか。太宰文学のように人間失格の様相を巧みに解明するのか。それぞれが秀れた人間の解明であろう。しかし、そのいずれの文学にも人間の救いは不在である。人間の病状の診断はあっても、ではどのように生きてゆくべきかという処方箋はない。三浦綾子の文学の全ては、人間の底深い現実を解明し、では如何に生くべきかを指し示す救いの文学であり、生きる希望の文学なのである。 「一生を終えて後に残るのは、我々が集めたものではなくて、我々が与えたものである。」
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人は人である限り、罪を持つというのが『氷点』。じゃあ、その罪を人はどうやって許すのか、というのが『続 氷点』。 「許すとは、何と困難なことであり不可解なことであろう。 人間同士、お互いに許し合えたとして、それで果たして事はすむのかという問題がある。 たとえ人が自分を許して...
人は人である限り、罪を持つというのが『氷点』。じゃあ、その罪を人はどうやって許すのか、というのが『続 氷点』。 「許すとは、何と困難なことであり不可解なことであろう。 人間同士、お互いに許し合えたとして、それで果たして事はすむのかという問題がある。 たとえ人が自分を許してくれたとしても、私が裏切ったという事実は、厳然としてこの世に留まっている。だからこそ、私の血の中を流れる罪を、ハッキリと『ゆるす』と言ってくれる権威あるものがほしい。」 って下りが、忘れられない。 本当にそう。(2009年6月21日・記)
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日常生活で人が普通に抱くような憎しみ、嫉妬や、 犯してしまった過ち、 それを取り巻く事柄の因果関係が巧みに描写されていた。 望まれて生まれなかった自分に対し、いっそ殺人犯の娘でもよいと 感じた陽子の気持ちが苦しかった。 自分が生を受けた意味を見いだせない陽子をみて、 今後自分...
日常生活で人が普通に抱くような憎しみ、嫉妬や、 犯してしまった過ち、 それを取り巻く事柄の因果関係が巧みに描写されていた。 望まれて生まれなかった自分に対し、いっそ殺人犯の娘でもよいと 感じた陽子の気持ちが苦しかった。 自分が生を受けた意味を見いだせない陽子をみて、 今後自分が大人になっていく中で、 単純かもしれないが子供は愛していきたいと思った。 続氷点で描かれていた「罪」は、現実世界においても突拍子もないことでもないと思う。 それぞれ犯した罪をどう許すか、許せるのかみせてもらった気がします
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