1,800円以上の注文で送料無料

悪霊島(下) の商品レビュー

3.6

25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/07/28

 1979年から1980年にかけて発表された、横溝正史の金田一耕助シリーズの最後の長編。横溝はこの後、1981年の末頃に79歳にしてガンで死去。 『八つ墓村』(1949)などの傑作をたくさん生み出した頃に比べると、後年の作品は今ひとつな観があったが、本作は非常に良かった。  相変...

 1979年から1980年にかけて発表された、横溝正史の金田一耕助シリーズの最後の長編。横溝はこの後、1981年の末頃に79歳にしてガンで死去。 『八つ墓村』(1949)などの傑作をたくさん生み出した頃に比べると、後年の作品は今ひとつな観があったが、本作は非常に良かった。  相変わらず語り口が非常に上手い一方、たまに次のページに同じような内容の描写を繰り返してしまうといったポカもあることは確かだ。  しかし、本作はストーリーも良いし、昭和前半の時代にはあからさまに書くことの出来なかったような性的なグロテスクさの主題が屹立しており、印象深い。  この作品は1967(昭和42)年を舞台にしているが、この辺りまでは人びとは互いの信頼関係を基礎にした人間関係を結んでいたということを、読みながら痛感した。この頃には、まだ良心に基づいて警察とマスコミの間にも信頼関係がある。  昭和終わり頃から世間は経済奴隷化まっしぐらでもはや倫理も信頼関係も崩壊していき、その果てに、荒れ果てた現在がある。  1980年の横溝正史は高齢者であり、その小説世界もすっかり古くさくなっていたことだろうが、旧い世間の人間関係の平和さが狂った犯罪と対比されてのぞき見ることが出来て、なんだかあたたかい気持ちになる。

Posted byブクログ

2024/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

出た!!!ショッキングな出来事が起こったと同時に気が狂ってのちにさつじんを犯す女だ!!! 数年後の磯川警部と三津木くんがどうなってるか見てみたい。幸せであって欲しい。

Posted byブクログ

2024/01/27

面白かった。登場人物も個性豊かで特徴的で、言動が劇調で頭にみんなが動いている様子が浮かんでくる。本当に想像を刺激して、思い浮かばせるのがさすがと思う。その書き方が楽しい。

Posted byブクログ

2023/07/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一時期一気にシリーズを通して読んだが、唯一この悪霊島の上巻が手に入らず、下巻だけしばらく棚に積まれていた。 やっと上巻が再販されて、久々に横溝正史を読んだ。 やはり面白い。 金田一耕助シリーズは常に一定の面白さがあるが、長編ということもあり続きが気になる展開だった。 犯人はお決まりのパターンなので意外ではないが、蒸発した男たちの行方や誰の息子なのかとか色々な予想もできて面白かった。 せっかくなら犯人と竜平が話すシーンが欲しかった。裏で決着つけるのではなく。 それにしても磯川警部というか奥さんが悲しすぎる…

Posted byブクログ

2023/01/23

ミステリって読んでるうちに「こいつが怪しいな!」って目星をつけるじゃないですか。で、それがひっくり返されるのが楽しかったりするじゃないですか。でもこの話はそういうのがないのでそこは拍子抜けするかもしれないですね。ただ孤島のおどろおどろしい雰囲気はめちゃくちゃ好きです。

Posted byブクログ

2022/04/19

「横溝正史」の最後の長篇推理小説『悪霊島』を読みました。 「横溝正史」作品は2008年9月に読んだ『本陣殺人事件』以来ですね。 -----story------------- 昭和42年。 「金田一耕助」は、瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に再開発計画を持ち込んでいる島出身...

「横溝正史」の最後の長篇推理小説『悪霊島』を読みました。 「横溝正史」作品は2008年9月に読んだ『本陣殺人事件』以来ですね。 -----story------------- 昭和42年。 「金田一耕助」は、瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に再開発計画を持ち込んでいる島出身の億万長者「越智竜平」の依頼により人捜しをするため、島がある岡山県にやって来ていた。 しかし捜していた男は、海で瀕死の状態となって発見される。 「金田一」は友人である岡山県警の「磯川警部」から、男の最期の言葉を録音したテープを聴かされる。 そこには「あの島には恐ろしい悪霊が取り憑いている…腰と腰がくっついた双子…?の鳴く夜は気をつけろ……」という不気味なダイイング・メッセージが録音されていた…… ----------------------- 舞台となっている刑部(おさかべ)島は、岡山の水島沖にある島で、水島の他、倉敷や玉島、児島、井原、下津井、鷲羽山等も舞台となるし、登場人物が岡山弁を話しているので、場所が容易に想像でき、入り易い作品でした。 それにも関わらず、読んでいて、なんだか疲労感を感じる作品だったのも事実。 閉鎖された空間(本作品は島)での濃密な人間関係、 快楽を求めるが故のドロドロとした愛憎関係、 猟奇的な殺人事件、 戦中戦後のどさくさによる混乱、 等々、「横溝正史」作品の定番テーマが盛りだくさんというほど盛り込んである作品なのに、、、 なんでかなぁ… 推理要素が稀有だったことや、島の自然(洞穴や崖、谷等)や事件の背景が作り物っぽくてリアリティがないこと、それにドロドロした愛憎関係が濃すぎて、ちょっと嫌悪感を感じたのが原因かな。 映画では、シナリオが端折ってあったせいか、そこまでイヤな感じはしなかったんですけどね。 ということで、上下巻で700ページ近い作品でしたが、読後の充実感がなかったなぁ。残念。 「金田一耕助」シリーズの最後を飾る作品としては、ちょっと淋しかったですね。

Posted byブクログ

2020/11/07

晩年の作品と聞く。双生児と孤島、洞窟などシリーズの世界観に悉く魅了された。警部の身の上話に踏み込むなど、人間描写も氏の集大成だったのではないか...真犯人は誰であれ、残された者の純朴さと溌剌とした生命力が本シリーズの核心と次世代への望みではなかったか...

Posted byブクログ

2020/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事件が錯綜して混乱しそうだったけど、最後、ついに綺麗に回収・収束されていった! 以下ネタバレ大有りです。 横溝正史の小説はミステリーなのに、ホラー感が強いのは何故だろう、といつも思っていたのだけれど、悪霊島は特にその雰囲気や場面がそれにぴったりだった。 終わり方も、大団円とか、全ての謎が詳らかになるのではなくて、もしかしてあなたは…という問いかけで終わったり、重要人物が全てを語る前に死亡したり、しかもなぜ死んだのかは不明だったり…そういう余韻というか、ある種の座りの悪さのようなものが世界観を不気味なままにしているのかも。 ゾッとした場面…鵺野なく夜に気を付けろ…の本当の意味を知った時。簑笠が生乾きだったという証言を得た時。紅蓮堂の双子を祀ってある場面。巴御寮人の無邪気さと狂気が同じものであったと思った時。

Posted byブクログ

2020/06/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

金田一が挑むのは、二十二年前に引き裂かれた男女の悲劇を発端に島で起こる怪奇な失踪&殺人事件。 愛し合う相手との仲を裂かれ、待望の出産も精神的ショックに見舞われ、別れた恋人の体つきに似た若者を次々と誘惑し貪る巴御寮人には同情しかけたが、激しい魔性が暴走した挙句の殺しのエグさにドン引き。でも、一途に狂える女の性に密かに共鳴するのも否定できない。 吉太郎の男の嫉妬も加わった愛憎の嵐。 成仏して下さいと言わんばかりのこの決着は彼女に一番相応しかったな。内容のおどろおどろしさに比べて幕を引くべき人が引いた最後はすっきり。

Posted byブクログ

2019/11/23

探偵防御力が低いと言われる金田一だが、今回はけっこう被害を防いだのではないだろうか。犯人は…まあ順当な結末。

Posted byブクログ