本陣殺人事件 の商品レビュー
金田一耕助初登場作品。 元々は東西ミステリーベスト100で1位の『獄門島』を読むつもりでしたがまずはシリーズ第1作を読まねばと思った次第です。 『本陣殺人事件』 終戦後間もない1946年に書かれた作品です。 日本家屋に関する言葉の意味が分からなさすぎて、現場の情景が浮かばず、そ...
金田一耕助初登場作品。 元々は東西ミステリーベスト100で1位の『獄門島』を読むつもりでしたがまずはシリーズ第1作を読まねばと思った次第です。 『本陣殺人事件』 終戦後間もない1946年に書かれた作品です。 日本家屋に関する言葉の意味が分からなさすぎて、現場の情景が浮かばず、その都度スマホで画像検索しました。枝折り戸、四つ目垣、格子戸、戸袋、欄間、鴨居…等々。 約200ページの話ですが、金田一耕助が出てくるのは70ページを過ぎたところ。 登場時点(昭和12年の事件)で25、26歳の青年だけど、20歳の頃にアメリカに渡って麻薬常習者になってたという話が出てきて、じっちゃんってそんなファンキーな人だったの!?と驚愕しました。 『金田一少年の事件簿』に漂うおどろおどろしさはじっちゃん譲りなんですね。トリックも思った以上に大掛かりで、これだけの話が戦後間もない時代に既に考えられていたことに驚きました。 (小説を読んだ後に連続ドラマ版(古谷一行主演、1977年)をU-NEXTで観ました。あの大掛かりなトリックが映像だとどう表現されるのかが一番の目的でしたが、見事に原作通りで、家屋等のロケ地もよく見つけたなという感じだし、犯行動機の改変も説得力があり、面白かったです。また、推理小説をそのまま映像化するのは難しく、どう取捨選択するかが大事であることがよく分かりました。映像化する時はトリックの詳細な説明よりも犯行動機などの抒情的な部分を強調した方がドラマとして受け入れやすいのでしょうね。あと70年代の女優さんは本当に美しいですね。) 『車井戸はなぜ軋る』 見事に騙されました。物語冒頭で僕は「事の真相はこうだろうな。ちょっと簡単すぎじゃないかな」と思って、実際そういう方向で進んでいくのですが、終盤の怒涛のどんでん返しに圧倒され、読み終わった後の脱力感が凄かったです。 これ金田一必要ないんじゃない?と思って調べてみたら、元々は1949年に発表された作品で、1955年に改稿して金田一ものにしたという経緯だったそうで、なるほどーと思いました。 『黒猫亭事件』 こちらも見事に騙されました。冒頭で事件の真相に触れていて、途中でなるほど、そういうことかと思ったのですが、終盤でさらにどんでん返しがあり、そのことも最初から堂々と書いてあることに気づいた時の衝撃が凄まじかったです。 金田一耕助は実在の人物で、横溝正史は彼が関わった事件の話を本人から聞いて、それを小説にしているという設定なんですね(『本陣殺人事件』の時は無許可で名前を出してるのはどうかと思いましたが)。次はいよいよ『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』でも名前だけ出てきた『獄門島』を読みます。
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金田一初登場作品!機械的トリックが凄い、犯行動機もまた凄い!!日本でしか発想できない日本的推理小説!!!
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#読了 八つ墓村に続いて読んだ。今回は一冊に三編が入っている短編集?なのかな。それでも一編一篇が充実していて満足感がる。この怪しい雰囲気が本当に好き。なぜもっと早く読まなかったのか。 ドラマなんかで見ると金田一耕助の人となりってあんまりよくわからないんだけど、こうして連続して読ん...
#読了 八つ墓村に続いて読んだ。今回は一冊に三編が入っている短編集?なのかな。それでも一編一篇が充実していて満足感がる。この怪しい雰囲気が本当に好き。なぜもっと早く読まなかったのか。 ドラマなんかで見ると金田一耕助の人となりってあんまりよくわからないんだけど、こうして連続して読んでいくとこういう人間なのかーとわかってドラマとか見直したらまた面白そう。
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『本陣殺人事件』名探偵金田一耕助の推理が光る。旧家の新郎新婦が惨殺死体で発見された。密室トリックの作り方と、犯人の意外性が良かった。ラストの語り手の記述に嵌められた。 『車井戸はなぜ軋る』本位田家という名家の娘が療養中の兄に宛てた手紙で物語が進む。 戦争から復員したもう一人の兄と...
『本陣殺人事件』名探偵金田一耕助の推理が光る。旧家の新郎新婦が惨殺死体で発見された。密室トリックの作り方と、犯人の意外性が良かった。ラストの語り手の記述に嵌められた。 『車井戸はなぜ軋る』本位田家という名家の娘が療養中の兄に宛てた手紙で物語が進む。 戦争から復員したもう一人の兄と、その異母兄弟が入れ替わっているのではないかという疑惑が、サスペンスの雰囲気を醸し出していた。殺人のトリックも井戸を上手く使っていた。 『黒猫亭事件』黒猫という店で相好の分からない死体が見つかった。『顔のない死体』は密室殺人、一人二役に並ぶ探偵小説の大トリックである。警察の捜査は難航するが、金田一耕助は分かっていた。最初の、探偵小説家の「私」と、金田一耕助の会話がラストに効いてくる。一人二役は読者に悟られてはならない、伏せておくトリックである。 金田一耕助は凄い。難事件をいとも簡単に解決する。正に名探偵!
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表題作では密室殺人、『黒猫亭事件』では顔のない屍体のトリックに挑んでいる。既に作者お得意の、日本の古い伝統、因習の残る社会で起こる殺人事件によって物語に漂う暗く重い、一種独特の雰囲気が出来上がっている。『車井戸はなぜ軋る』は『犬神家の一族』の原型と言っていいだろう。ミステリーファ...
表題作では密室殺人、『黒猫亭事件』では顔のない屍体のトリックに挑んでいる。既に作者お得意の、日本の古い伝統、因習の残る社会で起こる殺人事件によって物語に漂う暗く重い、一種独特の雰囲気が出来上がっている。『車井戸はなぜ軋る』は『犬神家の一族』の原型と言っていいだろう。ミステリーファンならば一度は手に取って欲しい一冊。
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初横溝正史作品。 表紙復刻に魅せられて買ってしまいました。 字体に古さを感じるけど、練られたトリックと、入り乱れた複雑な人間関係は現代でも通用する傑作でした。 表題作よりも、「車井戸はなぜ軋む」が、面白かったです。文通形式で進むタッチは読んだこと無かったので、意外と新鮮な気持ち...
初横溝正史作品。 表紙復刻に魅せられて買ってしまいました。 字体に古さを感じるけど、練られたトリックと、入り乱れた複雑な人間関係は現代でも通用する傑作でした。 表題作よりも、「車井戸はなぜ軋む」が、面白かったです。文通形式で進むタッチは読んだこと無かったので、意外と新鮮な気持ちで楽しめました。 黒猫亭事件は、人間の汚さ、おどろおどろしさが詰まったくらーい話でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
かつて宿場本陣として栄華を築いた一柳家で起きた密室殺人の謎に金田一耕助が挑む。 雪の降りしきる早朝、日本家屋で結婚式を挙げたばかりの新郎新婦が死体で見つかるという、趣たっぷりでワクワクする舞台設定だ。密室のトリックとしては、派手で面白いがかなり無理があるように思われる。実際にやってみたとして成功する確率は極めて低いだろう。 作中、耕助が登場人物の一人と探偵小説について語る場面があり、彼はそこで機械的な密室トリックを批判している。そして、この事件の密室も機械的なトリックで作られており、それを仕組んだのは耕助と語った相手であった。メタ的な視点だが、機械的トリックを好まなかった著者が、あえてそれを使って密室を作ったと考えると面白い。 物語の最後に著者は、必要な情報は与えているし、読者を意図的に騙すようなことはしていないと述べている。読者諸君が勝手に勘違いしただけでしょ、というようなことを言っていて、興が冷めてしまった。この記述は蛇足だっただろう。
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横溝正史の作品を初めて読みました。 江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。 一柳家の長男である賢蔵と女学校の先生をしていた克子。 その二人の婚礼を終えた深夜四時に人々の悲鳴と琴の音が響き渡る。人々が離家に行くと座敷には新郎新婦が血まみれで殺されていた。枕元には、家宝の名琴&quo...
横溝正史の作品を初めて読みました。 江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。 一柳家の長男である賢蔵と女学校の先生をしていた克子。 その二人の婚礼を終えた深夜四時に人々の悲鳴と琴の音が響き渡る。人々が離家に行くと座敷には新郎新婦が血まみれで殺されていた。枕元には、家宝の名琴"おしどり"と三本指の血痕の付いた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離家を完全な密室にしていた……。 金田一耕助の初登場となる作品! 密室殺人事件の設定やトリック、次々に明らかになる事実に惹き込まれました。 最後まで本当に面白かったです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
初横溝正史だったけど、めっちゃくちゃ面白かった……!!!! かなり古い本だから読みづらい部分もあるのかと思ったけど、むしろ逆。すごく読みやすくて、無駄な情報も装飾もなく頭に入ってくる。登場人物多いけど、あっさりこの情報は関係ないって捨てるのが斬新で驚いた。 きいた話を小説に起こすという手法でとられているのね。 有栖川有栖ばっか読んでたからか、淡泊だけど分かりやすい文体なのが印象的なのかもしれない。推理小説の中でもかなり読みやすいと思う。 展開も二転三転して飽きないし、どうなるんだろうって夢中になって一気読み。有休とったからもうちょっとほかのことしようと思ってたんだけど。 おどろおどろしい雰囲気と真相の恐ろしさは当然ながら、金田一のキャッチーさが可愛くてギャップ萌え。 驚いてどもる人を、僕の真似しなくていいですよっていちいち訂正するとこが好き。あと風間も好き。 本陣殺人事件はあまりにもすごいトリックと動機にびっくり。三本指だと琴が弾けるってのと、初夜を押入れに潜んでじっと見てたっていう文章に恐怖。猫の墓のシーンと窯から死体見つけたところ怖すぎた……。 車井戸はなぜ軋る、これはとっても残酷な話だよ。 疑心暗鬼になり崩壊していく名家の話。書簡形式好きなんだよね。聡明な妹がかわいそう。 黒猫亭事件が一番好きかなー。完全に犯人の手の上で転がされていました。金田一が犯人のことを散々な言葉で称するから気になってたけど、まさにって感じ。風間が好き、もう浮気すんな!(笑)猫が死んだ理由とか、鮎子という女とか、糸川の浮気の真相とか、回収がとっても気持ちよかった。 次は獄門島読む! 時々出てくる「あの獄門島事件の」って言葉が気になって気になってしょうがなかったの!
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表題作のトリックは少し納得がいかなかったが、恐怖心を煽るような不気味な演出は秀逸。 因習的な旧家から滲み出る薄気味悪さ、息の詰まるような閉塞感が凄惨な事件と相まって、良い味を出している。
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