日本語の作文技術 の商品レビュー
著者本人の言によると、本書は本多勝一氏の著書中、一番部数が出てゐる作品ださうです。 もつとも各講座やセミナアなどのテクストとして駆使されてゐるケースも多いので、純粋な読者はどれだけゐるか分かりません。本書に関しては、「副読本として読まされたが、内容に反感を抱いた」といつたやうな感...
著者本人の言によると、本書は本多勝一氏の著書中、一番部数が出てゐる作品ださうです。 もつとも各講座やセミナアなどのテクストとして駆使されてゐるケースも多いので、純粋な読者はどれだけゐるか分かりません。本書に関しては、「副読本として読まされたが、内容に反感を抱いた」といつたやうな感想も多いからです。つまり本多氏とは思想的立場を異にする人々なので、さういふ意見が出るのは当然と申せませう。 しかし虚心に文章作法の手引きとして読むと、これほど分かりやすく役に立つ書物はさうありません。例へば名著の誉れ高い丸谷才一氏『文章読本』は、その作品自体は読者を酔はせる絶品でありますが、読者が実際の効果を得るには、かなりの努力が必要になる。何しろ「名文を読め」といふのが要諦で、あとはことごとく枝葉末節に過ぎない、迂遠な話だらうが何だらうが、秘訣はそれしかないと丸谷氏は諭すのであります。 ところが『日本語の作文技術』では、文字通り作文の技術(ビジネス書ふうに言へば「スキル」)を伝授します。それは、明日からでも早速使へるものであります。 本書は構成にも気が配られてゐます。多田道太郎氏の文章を引用しますと、 「小声で言っておくと、ごく忙しい目にあっている人は、全巻を通読しなくてもいい。第一章から第四章まで読めば、それだけで確実に、文章はよくなる。この本はそういうスゴイ本なのだ。」 即ち優先順位の高い順に頭から並んでゐるのであります。その伝でいくと、分かりやすい文章を書く鍵は、修飾する言葉とされる言葉の関係を明らかにすることらしい。つまり語順ですね。一例として、 「私は小林が中村が鈴木が死んだ現場にいたと証言したのかと思った。」 といふ悪文の典型のやうな例文を提示します。この文章は根本からをかしいけれど、まづ修飾と非修飾の関係をはつきりさせるだけで、かなり改善されます。即ち、 「鈴木が死んだ現場に中村がいたと小林が証言したのかと私は思った。」 次の章では句読点を論じます。正しくテンとマルを駆使できてゐない文章が多いからです。正しい位置にテンがないと、分かりにくいだけではなく、場合によつては真逆の意味になることがある。これも様様な文例を示して解説します。以上で第四章までが終りです。 つまり、修飾の関係と句読点で、相当の技術が使はれてゐるといふのであります。これを読んで以降、私もテンを使ふ時は、本当にそれが必要なのかどうか考へるやうになりました。それにしてはヘボい文章ですが。 巻末付録の「メモから原稿まで」は、取材メモの取り方やまとめ方、さらに原稿の書き方が説明されてゐます。第一線で活躍し続けた著者の舞台裏を披露してゐて、まことに参考になります。現在は原稿用紙ではなくPCに向かふのが一般的かもしれませんが、考へ方は敷衍することが出来ませう。 喰はず嫌ひをせずに、読んでみては如何ですかな。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-139.html
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久しぶりに参照したので登録。 「本書と師匠の赤入れ地獄のみで現在の僕の文章能力は出来上がっています」 責任の所在が明確ですね。以上
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むかし卒論を書くときに読んだ本を再読。1~4章を読むだけで読みやすい文章がほんとに書けるようになると思う。例文などに著者の政治的性向もあらわれているけど、その辺りはさらりと流して読めばOK。
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久しぶりに文句なしに☆5をつけられる本に出会いました。 普段僕たちが使っている日本語を書くためには何が必要なのか。 学校では習うことのできなかった日本語の面白さ、文章の繊細さを知ることができます。 この本を読んだら最後、もう文体を気にせずに文章を読むことができなくなると思い...
久しぶりに文句なしに☆5をつけられる本に出会いました。 普段僕たちが使っている日本語を書くためには何が必要なのか。 学校では習うことのできなかった日本語の面白さ、文章の繊細さを知ることができます。 この本を読んだら最後、もう文体を気にせずに文章を読むことができなくなると思います。 すごい本ですよこれ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
論文やレポート作成をどうしたらよいか悩んでいた大学1年次の前期試験前に購入。 何冊か読んだ文章作成本の中で、 最も画一的に、句読点の打ち方や節の結び等を教示してくれた。 文章をどう書いたらよいか、どう書けば読み手に分かりやすいか、を考えるすべての方におススメします。
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修飾の順序や句読点の打ち方、助詞の使い方など、今まで感覚に任せていたことを論理的な原則に基づいて行えるようになった。日本語をもっと修練したいと思える本。
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作文技術についての本だけど、私にとっては思考の整理方法を学ぶ機会にもなった一冊。 まぁ、他者に伝わる文章を書くためには、自分自身の考えが整理されてる必要があるから、当たり前と言えば当たり前だろうけど。笑 ・修飾する言葉とされる言葉の距離 ・修飾する言葉の順序 ・句読点のうちかた...
作文技術についての本だけど、私にとっては思考の整理方法を学ぶ機会にもなった一冊。 まぁ、他者に伝わる文章を書くためには、自分自身の考えが整理されてる必要があるから、当たり前と言えば当たり前だろうけど。笑 ・修飾する言葉とされる言葉の距離 ・修飾する言葉の順序 ・句読点のうちかた ・漢字とカナのバランス ・助詞の使い方 ・段落の分け方 レポート書くときに参考になると思います。 「…で、結局何が言いたかったの?」と突っ込まれることが多い私の文章も、 この本で学んだことを意識しながら書くことで、今後少しは読みやすくなることを期待します。笑
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20110713読了。 わかりやすい日本語を書くにはどうしたら良いか。 著者は、日本語を書くには技術を使えばセンスがなくとも かなりわかりやすく書くことができると言う。 文章構築の際の大きな技術として ・修飾語 ・句点 の使い方を紹介している。 複数の修飾語が一文にある場合 ...
20110713読了。 わかりやすい日本語を書くにはどうしたら良いか。 著者は、日本語を書くには技術を使えばセンスがなくとも かなりわかりやすく書くことができると言う。 文章構築の際の大きな技術として ・修飾語 ・句点 の使い方を紹介している。 複数の修飾語が一文にある場合 1.修飾節を修飾句より前にもってくる 2.修飾語が長いものを短いものより前にもってくる 3.修飾語の長さが同じ場合、文の全体イメージをあらわす修飾語を前に持ってくる との原則をまもることで読みやすい文を作ることができる、と 多様な例を紹介してくれる。 また句点の使い方では 1.重要でないテンは打たないこと 2.語順が逆のとき(短い修飾語が先にくる場合など)にテンを打つ としている。 非常に実用的な良書。
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文章の書き方について実例を交えて分かり易く解説しています。中学、高校の国語の教科書よりも、この本の方がはるかに役に立ちます。 例文が極左的なのが玉に傷ですが。
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「赤いとげのあるバラ」の花の色は? では,「とげのある赤いバラ」の花の色は? 作文者の意図をキチンと伝えるための,学校では教えてくれない「作文技術」の本。
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