ひとりっ子 の商品レビュー
短編集ということもあり長編と比べると、小難しい物理とか数学の話が(比較的)少なく、イーガンの持つ人間観や未来像などがどのようなものかを理解するためには非常に読みやすかったです。 特に表題作は、イーガンの科学至上主義が非常によく現れた作品であるかと思います。ある夫婦の受難を、物理...
短編集ということもあり長編と比べると、小難しい物理とか数学の話が(比較的)少なく、イーガンの持つ人間観や未来像などがどのようなものかを理解するためには非常に読みやすかったです。 特に表題作は、イーガンの科学至上主義が非常によく現れた作品であるかと思います。ある夫婦の受難を、物理的にだけでなく精神的にも科学でもって和らげる様は、テクノロジーが進歩した未来では科学は宗教に取って代わられる、ということを説得力をもって語っているかと(反面、その科学の確実性を否定してまで救いを求める人間らしさも描かれている)。しかしながら物語全体を通して見るとよくある家族問題でしかない、というのも作者が、AIが知性を持ったり人間がデジタル化されるのを当たり前の未来であると確証しているからこそではないかと思います。 ともかくとしてイーガンが抱く未来像のディテールには毎度ぶっ飛ばされるので、読んでいて非常に気持ちが良いです。
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量子論が難しくて理解しきれてない部分もあるのだけど、とても面白い世界観だった。 ひと、と、もの、の違いって何なんだろうなあ。
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《目次》 ・「行動原理」 ・「真心」 ・「ルミナス」 ・「決断者」 ・「ふたりの距離」 ・「オラクル」 ・「ひとりっ子」
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イーガン作品は初めて読んだ。短編集。それぞれのエピソードのテーマは、人の意識、脳の領域に記憶や感情をインストールする技術、多元宇宙論、人造人間など。 登場人物の会話が完全に理解できないのが難点だが、ストーリーは面白い。この本で書かれている技術はいずれ実用化されそうなものが多いと...
イーガン作品は初めて読んだ。短編集。それぞれのエピソードのテーマは、人の意識、脳の領域に記憶や感情をインストールする技術、多元宇宙論、人造人間など。 登場人物の会話が完全に理解できないのが難点だが、ストーリーは面白い。この本で書かれている技術はいずれ実用化されそうなものが多いと感じた。
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『1984年』は2+2=5であることを証明するSFである と他の誰でもないこの作者が言うのだからそうに違いない それはともかく この作者の作品を久しぶりに読んだけれど SFとして最先端であるというより小説としての幅の広さが良くわからない感じ 『ルミナス』のように小説らしいSF小説...
『1984年』は2+2=5であることを証明するSFである と他の誰でもないこの作者が言うのだからそうに違いない それはともかく この作者の作品を久しぶりに読んだけれど SFとして最先端であるというより小説としての幅の広さが良くわからない感じ 『ルミナス』のように小説らしいSF小説が書かれている一方で 表題作のようにむりやり小説にしているようなお話もあり SFにおけるカガクテキな着想をお話にする手段に 質の高低でなく種類の幅が迷走しているかのように見えて落ち着かない 数理論文でないものを書きたいのだろうし SF作家として名声を獲得しているのに何かをいうこともないけれども 小説としては合わないと合う作品の幅が大きくて困る作者作品也
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相変わらず読みにくい部分もあるが、表題作はよかった 表紙 6点田中 光 山岸 真訳 展開 6点2006年著作 文章 5点 内容 698点 合計 715点
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ここに、ひとの感情を固定させることのできるインプラントがあるとしよう。インプラントは鼻孔に挿入された後、脳まで一直線に掘りすすみ、そこから放出されたウイルス大のロボットが適切な処置を施してくれるのだ。もちろん痛みはない。 さて、ここで質問。あなたは夫婦間、あるいは恋人への愛情を例...
ここに、ひとの感情を固定させることのできるインプラントがあるとしよう。インプラントは鼻孔に挿入された後、脳まで一直線に掘りすすみ、そこから放出されたウイルス大のロボットが適切な処置を施してくれるのだ。もちろん痛みはない。 さて、ここで質問。あなたは夫婦間、あるいは恋人への愛情を例えば倦怠期による磨耗から守るために、このインプラントを使用するだろうか。 テクノロジーの発展がもたらす社会的道徳や価値観の変容。本書は、まだ変容を受け入れきれていない社会を舞台に、倫理と欲望の葛藤、そして思わぬ落とし穴を描く作品がちらほら。現代SFの最高峰グレッグ・イーガンの短篇集は全7篇収録。 テクノロジーの発展により変容する道徳、価値観、人間のあり方。読んだイーガンの作品は多くありませんが(短篇集だけ)、これはイーガンの作品によく見られるテーマかと思います。とりわけ、テクノロジーの発展によってあわらになったアイデンティティを題材にした作品は「祈りの海」に多く収録。本書では「行動原理」「真心」「ふたりの距離」あたりがこれらに連なるかと。 数学SFの極北と評される「ルミナス」は、もちろん言及される数学や理論の9割以上を理解できておりませんが、本書で描かれる異質のファーストコンタクトはそれだけでワクワクさせられるものでした。 表題作や「オラクル」にて示される多世界解釈。多世界解釈とは、これまでも色んな作者が取り上げており、いわゆるSFサブテーマのひとつといえるものですが、その多世界解釈を理論に落とし込み(もちろん理解しきれてませんが)、ハードSFに仕立て上げるイーガンの筆力にはびっくり。表題作については、娘を亡くした両親が機械のこどもを手に入れる”だけ”に留まらないのが凄いところ。 うん、やっぱりイーガンはおもしろいぞ。そろそろ長編も読もう。とりわけ簡単なやつを…
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イーガンの短編集、第3弾(日本オリジナル編集)。 解説が奥泉光だったのでこれを最初に読んだのだが、実は3冊目だった。1冊目から読めば良かったか……。 短いものからやや長めのものまで7編が収録されている。共通するテーマは『人間』、或いは『人間性』だろうか。 奥泉光の解説が非常に的確...
イーガンの短編集、第3弾(日本オリジナル編集)。 解説が奥泉光だったのでこれを最初に読んだのだが、実は3冊目だった。1冊目から読めば良かったか……。 短いものからやや長めのものまで7編が収録されている。共通するテーマは『人間』、或いは『人間性』だろうか。 奥泉光の解説が非常に的確で、読んで感じたことはほぼ全て解説に書かれてあったw 確かにイーガンの突き詰めて行った部分というか、『身もふたもない』部分というのは笑いに繋がる傾向が強い気がする。 敢えてこの解説に付け加えるとすれば、『身もふたもない』部分に対する笑いというのは、文学畑の作品にもけっこう多いんじゃないか……ということで、事実、奥泉光の『東京自叙伝』や『神器』にはそういうところがあったように記憶している。その他、グロテスクな笑いというと倉橋由美子や安部公房もそういう傾向があるような……。
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2015年3月16日読了。グレッグ・イーガンの日本オリジナル短編集3作目。多世界解釈の中で同一性を確保できる人工の子どもを生み出す両親の苦悩を描く表題作など、私の量子論の理解レベルでは半分もこの小説の面白さを理解できていないと思うのだが、それでもこの作家のSF作品が私が今まで読ん...
2015年3月16日読了。グレッグ・イーガンの日本オリジナル短編集3作目。多世界解釈の中で同一性を確保できる人工の子どもを生み出す両親の苦悩を描く表題作など、私の量子論の理解レベルでは半分もこの小説の面白さを理解できていないと思うのだが、それでもこの作家のSF作品が私が今まで読んできたSFとは質的に全く異なるものであることは分かる。現在仮説の形で議論されている人間や世界への理解が全て(あるいは、部分的に?)実証され、それをコントロールする技術が実現したとき、その世界の人間は何に悩み何を選択するのか、それをロマン抜きでシミュレートしようとしている作品、というのが私の理解。奥泉光の解説「グロテスクなものへの笑い」も読みごたえがあった。
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