源氏物語の時代 の商品レビュー
高校レベルの知識しかなかったところなのでたいへん勉強になりました。一条天皇と彰子の印象がかなり変わった。今年の大河の副読本に良い感じかと思います。
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一条天皇の時代の空気が手に取るように伝わる。 道隆、定子、清少納言。道長、彰子、紫式部。 ドラマチックな時代に、生まれるべくして生まれた「枕草子」と、「源氏物語」なのだ。 深い資料の読み込みと、繊細な考察。 すべてに納得がいった。 図書館で借りたけど、あまりにもよかったから、即購入しました。
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源氏物語の時代といえば、一条天皇の時代。 彼の2人の后、定子と彰子に支えていた清少納言と紫式部がそれぞれ枕草子と源氏物語を書いた時代。 そんな時代を資料や文学作品を紐解き書かれたもの。 ちょうど、永井路子さんの「この世をば 上下」「望みしは何ぞ」と同じ時代。永井路子さんの小説は多...
源氏物語の時代といえば、一条天皇の時代。 彼の2人の后、定子と彰子に支えていた清少納言と紫式部がそれぞれ枕草子と源氏物語を書いた時代。 そんな時代を資料や文学作品を紐解き書かれたもの。 ちょうど、永井路子さんの「この世をば 上下」「望みしは何ぞ」と同じ時代。永井路子さんの小説は多くの資料を読み解き研究を重ねて書かれたもの。40年以上前に書かれた物と、本書の間には30年の隔たりがあるが、概ね同様。 そう思うと改めて永井路子さんの凄さを感じる。 どちらも「栄花物語」「実資の日記」などから多くの引用で同時の様子を考察している。 取り上げている歌や文章が異なるのて、それぞれ読むと理解がより深まる。 積善寺供養での高階貴子の服装、一族の振る舞い、それに対する詮子の心情など、永井路子さんの創作か、実際にそういった資料があったのか、いずれにせよ道隆の栄華は高階一族によるもので、それはあまり評判の良いものではなかったのだろう。 石山寺行きでの揉め事に始まり、伊周の内覧の件など、本書と永井路子さんの本を読み比べると、より一層一条や周囲の理解が深まるだろう。 残された資料によって書かれた人を読み、千年以上前の人々の気持ちに思いを馳せるのも良い。 何年経っても、人の中にある愛しいと思う気持ちや、嫉妬妬みなどの気持ちは変わらない。
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2024大河への助走② 日本史や古文を学ぶ中で断片的な知識はある一条天皇の御代を、流れで理解できる。 貴族の日記や歴史物語の引用がバランスよくて、歴史的な信頼性にも言及しつつ紹介してくれているので初心者にも優しい。 感情に訴えられるような解釈もあるので他の研究者の論はどうなの...
2024大河への助走② 日本史や古文を学ぶ中で断片的な知識はある一条天皇の御代を、流れで理解できる。 貴族の日記や歴史物語の引用がバランスよくて、歴史的な信頼性にも言及しつつ紹介してくれているので初心者にも優しい。 感情に訴えられるような解釈もあるので他の研究者の論はどうなのか知らないといけないなと思ったけど、すごく引き込まれたので入門として大正解だった。この本の参考文献にもあたっていきたい。
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定子が道長の権力の下で不遇の生涯を閉じたことは知っていましたが、彰子の人生については入内前後のことしかしりませんでした。本の半分以上は一条天皇と定子のことで、それは『枕草子のたくらみ』と被っています。私としては、定子と同じくらいのボリュームで彰子のことも知りたいなと思いました。 ...
定子が道長の権力の下で不遇の生涯を閉じたことは知っていましたが、彰子の人生については入内前後のことしかしりませんでした。本の半分以上は一条天皇と定子のことで、それは『枕草子のたくらみ』と被っています。私としては、定子と同じくらいのボリュームで彰子のことも知りたいなと思いました。 副題にあるように、一条天皇をめぐる物語で、彼の誠実な人柄ゆえの愛情や苦悩が描かれていて、切ないお話でした。
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源氏物語の時代はどんな時代情勢だったのか、一条天皇と藤原家と源氏物語の関わりについてわかりやすく解説してる本でした。 ぼんやりしていた一条天皇という人がくっきり浮かび上がるようで面白かったです。
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おもしろい!とても充実した読書だった。 山本さんの著書には何冊か触れながら、代表作ともいうべき本書は読む機会がないままだった。タイトルに引きずられ、『源氏物語』の解説書なのかなと思い込んでいたが、むしろサブタイトルがストレートに本書の内容を表している(メインタイトルの意味は山本...
おもしろい!とても充実した読書だった。 山本さんの著書には何冊か触れながら、代表作ともいうべき本書は読む機会がないままだった。タイトルに引きずられ、『源氏物語』の解説書なのかなと思い込んでいたが、むしろサブタイトルがストレートに本書の内容を表している(メインタイトルの意味は山本さんが解説で明かしている)。 冒頭は『大鏡』の「花山院の出家」から始まる。古典の教科書にも載っている有名な段で、初めて読んだとき、のけぞった。なんと、こんなことがあったなんて! 大宅世継と夏山繁樹というふざけた名前の200歳近いじー様たちが、かつて見聞きした内容を、虚実ない交ぜに、あーでもないこーでもないと言い合う『大鏡』の舞台設定も最高である。こうして私は古典が好きになってしまった。 冷泉天皇や花山天皇、本書の主人公である一条天皇は、歴史の教科書ではほぼ取り上げられることはない。下手をすると1行で終わる。それが古典の授業では、1000年も前の彼らの日常、感情、息遣いが、当時の文章で読み解けることに興奮した。 ただ、古典の授業は、物語や日記を抜粋するだけである。いわば点であり、全体が線になって見えてこない。そんなそこはかとない長年の不満が、本書を読むことで解消された。 本書の前半は一条天皇と定子の純愛がメインとなる。中関白家の栄華、明るく闊達な定子のサロン、そして道長の横やり。ご存じの通り、一条と定子の純愛は悲恋で終わる。 後半になり、ようよう紫式部、そして彰子の登場である。本書を読むまで彰子のイメージはぼんやりしていた。本書全体を覆うのは、やはり一条の定子への愛と影響である。しかし、本書で最も変わり、成長したのは彰子ではないかと思う。この人のことをもっと知りたいと感じた。 感性の人である清少納言が私は好きだが、内省的で理が勝った紫式部もまたおもしろい。彼女たちの内面を鮮やかに描き出す山本さんの視点に興味が尽きない。 上に挙げた人たちだけではない。1000年前に展開されていた無数の人間関係が咲き誇る。Netflixなんて目じゃないぞ。古典好き、歴史好き、そして人間ドラマが好きな人なら垂涎ものの一冊なのだ。
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古文・漢文の世界に苦手意識のある私。 高校の時にサボっていたことがトラウマになっているのです。 でも…。 地球っこさん、いるかさん、お二人のレビューがなかったら この素晴らしい本を 一生 手に取ることはなかったかもしれない。 心より、心の底より、 ありがとうございます! 本書は...
古文・漢文の世界に苦手意識のある私。 高校の時にサボっていたことがトラウマになっているのです。 でも…。 地球っこさん、いるかさん、お二人のレビューがなかったら この素晴らしい本を 一生 手に取ることはなかったかもしれない。 心より、心の底より、 ありがとうございます! 本書は、『源氏物語』が書かれた時代について 研究者の山本淳子氏が 現存する歴史資料と文学作品を元に再構成したもの。 なんというか、研究考察物語(?) みたいな感じ。 読み始め、次々登場する天皇やキサキ、側近の名前と人々の関係に 「まいったな~」と、トラウマ全開状態でした。 ところが読み進めると、とても面白いのです。 一条天皇(在位 986~1011年)が満6歳で即位。 …って、まず驚き! 元服(満10歳)すると、従姉の定子(満14歳)をキサキに迎えます。 後に定子付き女房に就いたのが清少納言。 『枕草子』は定子のために書かれたと、この書にはあります。 一条天皇と定子は慕い合っていたのですが、 実家が原因のもめごとがあり 定子が一旦、出家してしまいます。 後に 一条天皇に呼び戻されて、曖昧な立ち位置に置かれることになりますが。 当時の天皇は、血筋を残すことが大きな仕事でしたから 定子出家の間に、時の権力者 藤原道長の娘・彰子(満10歳か11歳)が入内します。 ちょっと眩暈がするような年齢です。 後に この彰子付き女房となったのが、紫式部。 当時、紫式部は夫を亡くし、2歳の娘を抱えていたといいます。 失意の中、現実にも運命にも束縛されない心に目覚めて 『源氏物語』作者への道を歩み始めていたということです。 天皇の心はずっと定子に向いていたようですが、彰子が21歳で懐妊。 彰子は出産のため実家に戻りますが、 内裏に帰るまでの間、紫式部に漢文の教えを乞い 『源氏物語』の冊子制作を命じます。 里帰りからの手土産として、彰子から一条に贈る品だったのではないか。 このように山本淳子氏は考察します。 彰子が一条天皇と向き合おうとした仲立ちに『源氏物語』が選ばれたと。 一条天皇というのは、周りの意見に耳を傾けながらも きっぱりと意思決定をする聡明な天皇だったようです。 32歳で崩御してしまわれるのですが、在位は25年間と長きに亘りました。 定子は24歳の若さで亡くなりますが、 彰子は、当時には珍しく87歳という天寿を全うします。 でも長く生きるということは、近しい者たちを見送り続けるということ。 波乱の人生だったと想像されます。 彰子の側で、周りの人々の愛や 要職への執着を目の当たりにした紫式部。 始めは、人生に絶望して架空の世界に居場所を求めただけだったかもしれません。 それでも、彼女の知性と感受性と才能が 新しい文化の花を開いたのですね。 そう思って『源氏物語』を紐解くと、これまでとは違った景色が広がりそう。 失意や絶望をバネに大きく羽ばたいた紫式部、素敵です。
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うーーーむ 面白かった~ 地球っこさんに教えていただいた この本。 自分の人生に影響を与えた本が何冊かあるが、この本もその中の一冊。 この本にもっと早くに出会っていたら。 いや以前なら、そこまでは心に入ってこなかったのか。 歴史的な一条天皇、定子、彰子、それぞれの女房 清少納...
うーーーむ 面白かった~ 地球っこさんに教えていただいた この本。 自分の人生に影響を与えた本が何冊かあるが、この本もその中の一冊。 この本にもっと早くに出会っていたら。 いや以前なら、そこまでは心に入ってこなかったのか。 歴史的な一条天皇、定子、彰子、それぞれの女房 清少納言と紫式部。 これまではなんとなくの歴史上の人物だったのが、この本によって、それぞれがその時代を生き抜いた生々しい一人の人間だった。 一条と定子の純愛にも感動だったけれど、彰子の心の強さにも感動。 歴史っていままであまり興味がなかったけれど、これまでの考え方が全く変わってしまいました。 本当に素晴らしい一冊でした。 地球っこさん ありがとうございました。。。
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※このレビューにはネタバレを含みます
源氏物語を完読するための参考書として、読んでました。 一条帝が帝位につくまでの混乱から始まる歴史はほとんど学ぶ機会がなかったので、楽しかったですね。 彼の前帝である花山帝が皇位を捨てて、宮廷から逃げ出して、出家してしまったいうのが何とも(;^_^A その当時に権力を持っていたのが藤原道隆。その娘である定子へ後宮に入ったのが14歳。彼女は一条帝の一番の寵愛を受けたわけですが、父の死後、兄と弟の失脚により出産間際に勢いで出家。 この辺りは切ないですね。 晴れて皇子を産んだというのに斜陽の中にある仮出家した元中宮の短い切ない人生。それに寄り添った清少納言。 対して12歳という歴代最年少で後宮に入った彰子。彼女は定子に比べると後ろ盾はしっかりしていても、周りの女房は高位の貴族の子女ではあるけれども、定子の周囲にいたような機知に満ちた女房は紫式部が使えるまではいなかったという不幸。 彼女に隠れて一条帝のために漢文を学ぶ姿はとても孤独で切ないですね。 歴史に残る随筆や文学を生み出した一条帝の時代に平安文学サロンを生み出すことになった二人の后の人生は切なくて、時代の翻弄されたものだったというのが哀しいですね。 読んでよかったと思います。定子が好きな私ですが、道長に影に隠れてしまった彰子のことを知ることができたのは幸いです。
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