檸檬のころ の商品レビュー
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「痛いの」(ルパンとレモン) どの文章を切り取ればいいのか分からないくらい、一文一文が刺さりすぎた「ルパンとレモン」。 西と秋元との甘酸っぱい日々は、いつしか過去のものとなり、今や互いにとって「痛い」ものに変わっていた。 この痛みと正面から向き合った西は、大好きな秋元が、既に両思いである友達の富蔵と、最高の形で付き合い始めるために、次の試合でホームランを打とうと心に決める。 うん、かっこいい。かっこいいぞ、西。
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文自体は少し子供っぽく書かれていて読みやすかった。これも7個の短編が入っているけど、全部1つの「北高」というキーワードに関連している人たちで、先生だったり卒業生だったり生徒の視点で書かれていた。私は高校生になったらきっとこういう青春生活を送るものだと小学校の頃から思っていて、その思っていた理想にぴったりのようなお話。実際は全然そんなことなくてかけ離れてるけど、でも今の開智での高校生活は勿論すごく楽しい。特にお話についての感想は、1つ選ぶなら『レモンとルパン』が好き。 ずっと長年片思いしてきた相手に、やっとのやっとで想いを伝えた主人公に女の子が「痛いの。」の一言で片付けられてしまうとこが辛くてヒリヒリした。 本の中では複数の視点から同じ人のことを書いていて、同じ言動を見ても見る人によって思っていることや捉え方が違くて、当たり前なことだけれど現実世界ではやっぱり知ることができない域だから、本にされると分かりやすくて面白い。西くんから見た長年片想いしてきた大好きな人:秋元さんと、白田さんから見た憧れの人:秋元さんと、佐々木くんから見た彼女:秋元さん、そして本人視点の秋元さん はどれも別人かのように書かれていた。
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めっちゃ良かった。周りをじわじわ固めていっての最後の一編、そして最後のシーン。あれ以上に綺麗なものってないかもしれない。
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自分は中高女子校だったから、高校での恋愛とか身に憶えもないのに、なんか懐かしいような切ないような。 久々に本読んで泣いたなぁ。 よかった。
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久しぶりに大好きな短編集に出会えた感じ。 豊島ミホさんの描く何気ない田舎の風景、登場人物の心情、青春の1ページがキラキラと輝いていました。青春の思い出って、全てが全てハッピーエンドってわけじゃなく、どこかほろ苦かったりするまさに「檸檬のころ」。 でもだから青春っていいのよなあ 好...
久しぶりに大好きな短編集に出会えた感じ。 豊島ミホさんの描く何気ない田舎の風景、登場人物の心情、青春の1ページがキラキラと輝いていました。青春の思い出って、全てが全てハッピーエンドってわけじゃなく、どこかほろ苦かったりするまさに「檸檬のころ」。 でもだから青春っていいのよなあ 好きだったお話は「ルパンとレモン」、「ラブソング」。自分の青春時代と重ねて読んでしまって震えた…
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巻末解説にもあったが「ふつう」の人たちにフォーカスするのが上手い。高校生(ティーン)の繊細さが丁寧に描かれている。 高校生の、大人や自分とタイプの違うクラスメイトをやや馬鹿にしたがるというか、「自分は違う!」って思いたがる時期の青さに誰しもがハッとするはず。 彼らの「ムテキ」とそ...
巻末解説にもあったが「ふつう」の人たちにフォーカスするのが上手い。高校生(ティーン)の繊細さが丁寧に描かれている。 高校生の、大人や自分とタイプの違うクラスメイトをやや馬鹿にしたがるというか、「自分は違う!」って思いたがる時期の青さに誰しもがハッとするはず。 彼らの「ムテキ」とそれが萎んでしまう瞬間のオムニバス
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地方の高校が舞台の連作短編集。 高校生視点の話と大人視点の話があり、どちらも檸檬のようなほろ苦さがあって良いが、 個人的には圧倒的に高校生視点の話の方が好き。 というのも、時たま登場する楽曲が、自分がその時代に聴いてたり好きだったりしたものとがっちりハマっていて、 シーンによって...
地方の高校が舞台の連作短編集。 高校生視点の話と大人視点の話があり、どちらも檸檬のようなほろ苦さがあって良いが、 個人的には圧倒的に高校生視点の話の方が好き。 というのも、時たま登場する楽曲が、自分がその時代に聴いてたり好きだったりしたものとがっちりハマっていて、 シーンによってはぐわんぐわんと響くものがあったから。 懐かしい曲を聴いて、少し懐かしい気持ちになりながら、 自分の輝かしくない青春時代を振り返りたくなるような気持ちにさせられた。
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普通で何気ない日常。そのきらきらとした部分を切り取っているからこそみずみずしく、かけがえのないあの頃をハッと思い出させてくれる。田舎の新学校が舞台であることも相まって、より一層甘酸っぱく切ない物語。
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1つの街(主に高校)を舞台にした7つの青春短編集。 登場人物に繋がりはあるけども話は関連ないものが多い。 パットしないスポットライトの当たらない高校時代だけども、それでも色々有るんですよ、というような感じ。
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豊島ミホは自分でもあちこちに書いているように、決して幸せで楽しい充実した学生生活を送ったタイプの女子高生だったわけではなくて、どちらかというとその対極に位置するような、彼女自身の言い方をすれば「底辺」の女子高生だったわけだ。 その彼女が紡ぎ出す物語はどれもこれも繊細でナイーブな...
豊島ミホは自分でもあちこちに書いているように、決して幸せで楽しい充実した学生生活を送ったタイプの女子高生だったわけではなくて、どちらかというとその対極に位置するような、彼女自身の言い方をすれば「底辺」の女子高生だったわけだ。 その彼女が紡ぎ出す物語はどれもこれも繊細でナイーブな登場人物がキレイでまるできらきらと結晶化しそうなくらい美しい。 なんでこういう、高校時代にロクな思い出のない、友人の名もほとんど思い出せないような不遇な青春時代を送った者の琴線に触れるようなストーリを次から次へと作り出せるのかなぁ、と常々思っていたのだけれど、やはりそれは彼女自身の資質もさることながら、独特の「底辺」からあたりを見上げた高校時代の経験のたまものなのではないかなぁと最近思う。 「痛いの」 凄い!世界ってこんなにも熱いものだったんだ。 こういう台詞、シチュエーションも含めてなんかもう宝物のように感じるね。 彼女が創作活動をやめてしまっているのが本当に残念。
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